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巨人軍 平成の"強力先発三本柱"を振り返る

 今季の巨人軍の注目ポイントのひとつに、先発投手陣の整備が挙げられる。
 昨年の勝ち頭 山口俊の抜けた穴をどう埋めるかという事だ。

 また今季は試合数が減少し、過密日程となっているので、中5日の起用も増えるだろう。そうなると故障に強い、磐石な先発投手が3人は欲しいところだ。

 そこで今回は、平成の巨人軍の歴史で強力な"先発三本柱"を形成した年を振り返ってみよう。

 また、今回は、
年間160イニング以上投げていて且つ10勝以上挙げている投手が3名いること
を三本柱の条件とさせていただく。

では早速。

【2017年】 シーズン4位

マイコラス 188回 14勝 8敗 防2.25
菅野 智之 187.1回 17勝 5 敗 防1.59
田口 麗斗 170.2回 13勝 4敗 防3.01
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平均 182回 15勝 6敗 防2.27

 2017年というと、13連敗などもあり、11年振りのBクラスとなったが、その先発投手陣は近年トップクラスの成績を収めている。

 エース菅野が17勝、防御率1.59と神がかった成績を挙げれば、マイコラスがリーグトップの188回を投げ14勝、187奪三振でタイトルも獲得。更に前述の田口がキャリアハイの13勝、防御率3.01と強固な先発三本柱を形成した。
 また、3投手が170イニング以上投げたのは23年ぶりのことでもあった。
 この3名で27の貯金を作ったはずだが最終的にはチームの貯金が4まで減っているのがなんとも悲しい。

 それにしても3人平均182イニング投げて防御率2.27はかなり素晴らしいと思う。


【2012年】 シーズン1位

内海 哲也 186回 15勝6敗 防1.98
澤村 拓一 169.2回 10勝10敗 防2.86
杉内 俊哉 163回 12勝4敗 防2.04
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平均 172.2回 12勝7敗 防2.29

 2012年は前年から導入された統一球の影響で日本全体で投高打低となっていたシーズンである。
 そんな年の巨人軍は12球団ダントツのチーム防御率2.16という驚異的な数字が物語るように、12球団屈指の投手陣を形成していた。

 救援はスコット鉄太朗が結成された年でもあり、先発は内海が2年連続最多勝、澤村はルーキーイヤーから2年連続二桁勝利、杉内は移籍初年度から奪三振王と磐石の3枚が並ぶ。
 また、それ以外にもホールトンが158回を投げて12勝、防御率2.45。高卒2年目の宮國椋丞が6勝 防御率1.86と、とにかく層が厚かった。今回は条件を設けさせて頂いたため、わずか2イニング足らずでホールトンは外れたが、上記3名に引けを取らない。
 ただ、先程も言ったが統一球の年であるため、一概に他の年と同列で並べて比較することは出来ないだろう。


【1994年】 シーズン1位

桑田 真澄 207.1回 14勝11敗 防2.52
斎藤 雅樹 206.1回 14勝8敗 防2.53
槙原 寛己 185回 12勝8敗 防2.82
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平均 199.1回 13勝9敗 防2.62

 次は一気に18年遡り1994年。
 言わずど知れたあのメークドラマの年である。
この時代になると先発投手は先発完投型が多かったため、現代と比べるのは難しいが、参考程度に見て欲しい。

 先発三本柱と聞くとまずこの3名を思い浮かべる方が多いのではないか。伝説の10.8決戦がこの3投手による継投だったのはまさに総力戦というに相応しい優勝決定試合だ。

 この年は後半戦に打線が貧打となり、この3名は勝ち星が伸び悩み往年のファンが「彼らはまだ勝てた」と言うのは防御率を見るとよく分かる。

 また、平成唯一である完全試合投手 槙原寛己が生まれたのもこの年である。

 それにしても時代とはいえ3投手が合計で598イニング投げているのは驚愕だし、それを踏まえてこの防御率も改めて凄いと感じる。


【1992年】 シーズン2位

桑田 真澄 210.1回 10勝14敗 防4.41
槙原 寛己 196回 12勝13敗 防3.58
斎藤 雅樹 187.2回 17勝6敗 防2.59
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平均 197.2回 13勝 11敗 防3.55

 この年も顔ぶれは1994年と変わらないが、大きな違いとして防御率がかなり悪化している。
 桑田は不振もあり、シーズン自責点は100点を超えており、被安打、被本塁打もリーグワーストにしてキャリアワーストを記録している。
 それでも桑田は不調とはいえ6年連続の2桁勝利を果たしたのは流石だし、苦しみながらも誰よりマウンドに立ち続けた姿は当時のエース像にハマる。

 それに斎藤が貯金11を作り最多勝にも輝き、名実共に球界のエースの階段を昇っている。


【1991年】 シーズン4位

桑田 真澄 227.2 回 16勝8敗 防3.16
宮本 和知 189.2回 10勝 11敗 防3.37
斎藤 雅樹 178.2回 11勝 11敗 防3.38
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平均 199回 12勝 10敗 防3.30

 この年は、現投手総合コーチの宮本和知が三本柱入り。
 前年から2年連続で二桁勝利を挙げたが、チーム打線が貧打に喘ぎ負け越し。それでも防御率は14勝を挙げた前年よりも改善させた。
 また、この年は槙原寛己も186イニングを投げたものの援護がないのと自身の不振も重なり9勝に留まったため条件を満たせなかった。

 この年は斎藤も調子があまり良くなくキャリアワーストの自責点をマークしている。

 こうして見るとこの年は、桑田は活躍したと言えるが他の2名はこの時の"時代"がバックアップして条件を満たし、三本柱入りした感が否めない。


【1990年】 シーズン1位 (番外編)

斎藤 雅樹 224回 20勝 5敗 防2.17
宮本 和知 190.1回 14勝 6敗 防3.69
桑田 真澄 186.1回 14勝 7敗 防2.51
木田 優夫 182.2回 12勝 8敗 防2.71
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平均 195.2回 15勝 7 敗 防2.76

「三本柱」に関しては以上になるが、ここで平成で唯一「四本柱」を形成した年を番外編として紹介したい。

 1991年でも2012年でも惜しくも成し遂げられなかった四本柱(条件を満たした投手がチームに4名)を形成したのは1990年だ。

 この年はリーグ優勝を果たしているのだが、その中心は投手陣だった。
 斎藤が2年連続20勝 防2.17で投手二冠、宮本はキャリアハイの14勝、謹慎明けの桑田は遅れをものともせず斎藤に次ぐリーグ2位の勝利数と防御率を記録。更に高卒2年目の木田が12勝、香田勲男も11勝と、5名の二桁勝利投手を排出。
 さらに驚きなのがこの年の巨人軍は彼ら5名に加えて、槙原、水野雄仁、吉田修司、廣田浩章、加藤初の計10名しか一軍で投げていないという運用だ。

 チーム72完投というのも現代ではまず有り得ないだろう。
 これらからこの年の巨人軍の投手陣は"巨人史上最強投手陣"と言われている。


まとめ

 今回は平成の強力先発三本柱を紹介したが、文中でも述べたが、平成初期(90年、91年、92年、94年)の例は今とは時代もシステムも変わっているのであくまで参考程度に見てもらいたい。

 また、私独自の条件を設けさせてもらったため、6例の紹介となったが、他にも素晴らしい投手陣が揃った年は存在している。

 こうして見ると2017年の三本柱は平成30年間の巨人軍でもトップクラスの安定感があり、今年の巨人軍と少し陣容が似ているところがあるため、目指すべき姿として頭に入れていてもいいかもしれない。(順位は上げて欲しいが。)

 待ちに待った開幕まで残り3日。
 今年は過去に例のないシーズンとなるが、野球が見れる喜びを噛み締めてその日を待ちたい。

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