マガジンのカバー画像

ちょっと変わった田舎暮らし、はじめます。

12
💡ほっこりしたい時におすすめ! 会社で嫌がらせを受けている主人公が、仕事を辞めて田舎で暮らすことにした。1人で静かに暮らすイメージをしていたが、その予想はすぐにないものになる。ち…
運営しているクリエイター

#私の作品紹介

ちょっと変わった田舎暮らし、はじめます。#12 お風呂

* 家についてからはお風呂の栓と蓋をしてすぐにお風呂を沸かした。 お風呂が沸くまでの間、私はスマホで撮った写真を眺めていた。 「今日で120枚か。」 ちょっと撮りすぎちゃった気もするけど、思い出として残しておけるから、とつい撮ってしまう。私が写真の整理をしている横でごろうちゃんは持って帰ってきたタンポポの花をじっと眺めていた。 そう、行き道で出会ったタンポポ。帰り道も同じ道を通ったので、持って帰る?と提案したら嬉しそうにしていたから持って帰ってきた。コップに水を注いで

ちょっと変わった田舎暮らし、はじめます。#8はじまり

* すっかり暖かくなった陽の光に照らされて、揺れる草木の匂いがする風が吹いた。それは桜のように、あるいはタンポポのように、暖かく少し甘い匂いだった。 目が覚めると、木でできた天井が広がっていた。 窓際の障子を開けたまま寝たから、朝日がまぶしくて起きた。 昨日からこっちに越してきたけど、ほぼ掃除で一日目が終わってしまった。掃除が終わって家から歩いて15分のコンビニにご飯を買いに行った後、あの子を預かった。私の横に敷いた銀マットの上で、ダウンベストとシェルジャケットに包まっ

ちょっと変わった田舎暮らし、はじめます。#9はじまり その2

* —フォークを器用に使いながら、お蕎麦を口に運ぶごろうちゃん。それを眺めながらお蕎麦を食べる私。前の職場であった嫌がらせなんて、もうどこにもない。こんな幸せな時間が続けばいいのにな。— これからは田舎で一人暮らしだって、ずっと思ってたけど、昨晩ごろうちゃんを預かってからその考えはちょっと揺らぎ始めていた。 ペット、とは言えないけど、こうして誰かと生活するのもいいかもしれない。いや、誰かと一緒に生活したい。そう思うようになってきた。 まだ引っ越してきて2日目の昼なのに。

ちょっと変わった田舎暮らし、はじめます。#10お花見の準備

* まだ少し薄暗く、日の光がまだ部屋に入らない朝6時。昨日の晩に作っておいた味噌汁と冷ご飯を温めながら、スマホで天気予報を見ていた。 当然、今日の天気と気温、降水確率とかが載ってるわけだけど、ちょっと下にスクロールすると他にも情報が出てくる。UV指数とか花粉指数とか、天気痛予報までいろんな情報が配信されている。 何気なく『桜の開花予報』チャンネルをタップした。 現在地を取得すると、大体の開花状況が表示される。この周辺は、『満開』の文字と桜の花のマークが表示されていた。

ちょっと変わった田舎暮らし、はじめます。#11 おさんぽ

* リュックの中にサンドイッチの入ったタッパーと、銀マットと、ボトルに入れた水を詰め込んだ。暖かいとはいえ風が冷たいので、薄手のシェルジャケットを羽織ってリュックを背負った。 ごろうちゃんにも何か着せてあげた方がいいのかな。 「ごろうちゃん何か着る?」 「あったかいの!」 多分、ダウンベストのことだろうけど、ごろうちゃんの背丈にしては長すぎるのでいったん却下にした。代わりに大きめのマフラーで上着っぽくアレンジして羽織らせてあげた。ごろうちゃんと玄関に向かって、靴を履い