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FF7REBIRTHリバースの世界観の考察

FF7リバースを、クエストなどを無視してストーリー優先でクリアした初回プレイ後の、世界観についての個人的な考察のメモです。全てのネタバレが含まれますのでご注意下さい。また、ゲーム初心者の素人の考察ですので、その点ご容赦くださいますようお願い申し上げます。

リバースの世界では、個人個人が行う『選択』によって、世界が分かれていく。
私達が生きる世界で例えると、私がA大学に行くという選択をした瞬間、『A大学に行かない(そして、B大学に行く)』という別の世界が誕生する。

ただ、私は一般市民であるので、その世界の誕生自体は、星である地球にとっては些末なことでしかなく、私個人が辿る人生が変わってしまっても、地球の辿る歴史や結末には関係がなく、歴史は一つに集約されていく。

でもそれが、私ではなく、地球が辿る歴史に大きく関与する人や出来事の選択であったら。歴史が変わってしまう、地球の結末が変わってしまうので、運命の番人が修正をかけてしまうのが、リバースの世界観の基本。

地球でいえば、19世紀にイギリスで産業革命が起きたことは変えられないし、第二次世界大戦が勃発したことも、冷戦が終わったことも、変えられない。
「正史」という言い方がしっくりする人も多いと思う。

でも、例えば第二次世界大戦当時のイギリス首相チャーチルの朝ごはんのメニューとか、好きな紅茶のメーカーとか、そういう些末な選択は、変わってもいい。そういう瑣末な選択で世界が分かれても、正史には関係なく、やがて交わって歴史は一つにまとまっていく。

ただ、一見些末なことに見えても、重要な選択であるパターンも存在する。

例として不謹慎なことを許してほしいが、第二次世界大戦当時、アメリカが原爆を日本のどの都市に落とすかという選考会議があったのだが、候補12都市のうち、京都は、選考委員が「新婚旅行に行ったから」という理由で外される。

この場合、新婚旅行当時は、その選考委員がどこに新婚旅行に行くかは些末なことなので、選択で世界は新しく分岐して誕生するけれど、「原爆をどこに落とすか」は全く些末なことではなく、地球の歴史にとって重要なことなので、京都以外の選択をして分離した世界には、リバースの世界観だと、運命の番人フィーラーによる修正が入る。

そういう世界観を理解した上で、リバースの忘らるる都で、クラウドが一旦セフィロスがエアリスを刺すのをはじいたにもかかわらず、エアリスが即座に死亡していたことを考えると、FF7の星の歴史にとって、エアリスがあそこでセフィロスに殺されることは、絶対に変えてはいけないことなんだろうと思われる。

でも、エアリスの死に至るまでには、多くの些末な選択が存在していて、多くの些末な世界が誕生して層になっていた。

ザックスが、フラッシュバックみたいに多くの分離した世界に登場していたのは、そういう些末な選択の結果誕生した世界達。けれど、どの世界も『忘らるる都でのエアリスの死』という星にとって重要な歴史的出来事に至らないため、どの世界も『終わる』。つまり、『世界が終わる』。

また、ザックスが銃弾に風が吹いてミッドガルに生還するという世界までは、些末なことなので、それぞれの世界が分離して存在しているが、ザックスがずっと生存していると、バスターソードはクラウドに渡らないし、クラウドはティファと再会してアバランチに協力しないので、どの世界もザックスが神羅兵に銃殺されるような、ザックスが死ぬ形で世界が終わる。

星の歴史、運命にとって、クラウドは重要だが、ザックスは重要ではないため、些末な世界の誕生はあり得ても、すぐに終わってしまう。

その、クラウドとザックスの、星にとっての重要性、ひいてはセフィロスの目論みにおける重要性の度合いの違いから、セフィロスは、ザックスに『お前ではだめだ』と言ったのだと考えられる。

セフィロスが最終戦でクラウドに『これは夢か、現実か』と問う場面があるが、多くの些末な世界にとっては、それが夢か現実かは、あまり関係がない。

人は夢で、『やたらリアリティのある夢』を見ることがあると思うが、それが分離して誕生した些末な世界だとすると、夢側から見ると現実の方が夢、あり得たかもしれない世界、なのである。些細な一般市民にとって、分離した世界というのは、夢と現実の間に入れ替わっているのかもしれない。

リメイク、リバースでは、多くの選択肢で分離した世界で、エアリスが生存する世界をエアリス自身が模索していたように思うが、やはり、星の歴史にとってそれは変えることができなかったし、セフィロスが運命の番人に介入して(黒いフィーラー)、変えることを許さなかったようにも考えられる。

だから、『エアリスの死』は変えられなかったし、ザックスの生存も、結果的にエアリスの死に影響してしまうため、変えられなかった。

それが、リメイクとリバースのお話だったのだと思う。エアリスの死と、ザックスの死を避けようと多くの選択肢で分離した世界を層にするお話。

3作目は、原作だとセフィロスの野望は叶えられない結末でそれが星の正史だから、セフィロスは違う一手を考えているはずで、それをエアリスやクラウドが阻止する話になる、と思う。

ここまでの言説で、『原作通りに進むように動いていたリメイクのフィーラーが、黒いフィーラーなのは、おかしくないか?』という疑問が浮かぶ。ただ、セフィロスは黒マテリアはどうしても欲しかったはずなので、エアリスの死まではおおよそ正史どおりで特に問題はない。また、ティファを偽物だとクラウドに思わせようとしたことは何?という話も、おそらくセフィロス的にはティファは、クラウド、ザックス、そして英雄時代の自分と関わっていて、クラウドに『空っぽの人形』でいてもらうためには邪魔ではあるから、やたらと介入してきたけど、正史的には超重要という存在でもない、と説明できると思っている。ティファは、いないほうがセフィロスとしては都合がいいが、エアリスよりも重要度が低い存在なのだ。

ついでにいうと、原作にないゴンガガにいくこと、ザックスの両親に会うこと、シスネに会うことは、「あったかもしれない分離した世界」だけど正史に影響がでるほどではないから、運命の許容範囲として許されたのだ思われる。

それから、ソシャゲのエバークライシスでは、ポータルを使ってこの分離した世界に移動できる。だから、本編では無理かもしれないが、エバークライシスの世界だと分離した世界のザックスと再会することも可能…。

それで、タイトルの『REBIRTH』は、最終戦の敵が『リバースセフィロス』だったことからも分かる通り、生まれ変わるのは、エアリスでもクラウドでも、ましてや星でもなく、正史から外れて目的を達成しようとする『セフィロス』のことなのだろう。

つまり、3作目は、生まれ変わった、正史から外れて目的を達成しようとするセフィロスとの戦いになるはず。

セフィロスはそのために既に布石は打っていて、エンディングでクラウドが持っていた透明のマテリアが黒マテリアに変わった辺りはその一つだし、おそらくグレンを取り込んでルーファウスと話していたのもその一つなんだとろうと思われるが、3作目の伏線なので、詳細については今の時点では正直何も分からない。北の大空洞にいる「一人称が俺のセフィロス」と、リバースで敵のジェノバセフィロスは、違う存在の可能性を捨てきれない…。終末の7秒前、はやはりメテオのことか、と思うしその謎も残っている。エアリスが、コスタデルソルやアンダージュノンの宿で話をしていた男の子の存在も結局は分からなかった(追記3月21日 コメントいただいて確認したら完全にナナキでしたね。お恥ずかしい…。一応原文はそのままにしておきます)

最後に、何度も「正史」と書いたが、じゃあ星は何度も「正史」を繰り返しているのかというと、そうではなくて、「正史」というよりは、「運命」とか「予知書」みたいな感じが近いと思う。いくつも世界が分離してもやがて一つにまとまり、星が辿る運命は決まっていて、エアリスとセフィロスはその運命を感じ取る、先読みできている、もしくはそういう「予知書」のようなものを既に読んでいて、抗っているのだと思われる。

でも、抗っても、エアリスとザックスの死は、根本的には変えられなかった。いつか終わる世界に、ほんの少し、存在することができたかもしれない、だけ。

というのが、私の、リバースの世界観考察です。
ここまで読んでくださり、ありがとうございます。

最後に、こんなにストーリーが素晴らしいだけでなく、マップやギミック、クエストなど細かいところに至るまで膨大なボリュームを美しいグラフィックで楽しめる、最高のゲームを作ってくださったスクエアエニックス様に、感謝と敬意を表します。
本当に本当に、ありがとうございます。

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