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F‥だぁ

やっとFコードの入ったコード練習が始まった。
図表の示すとおりに左手の指を置いてみる。おっ、えっ?、
私が長年、思っていた形と違っていたので、驚いた。これは‥、もっとずうーっと昔に驚くべきだった。人差し指をまさか。一つのフレットで寝かせて、全ての弦を押さえるとは。色々、人は考えるものである。今はSNSでわからないことは、すぐに調べられる時代だが、私が高校時代、当時はそうとも行かず、本当の押さえ方はわからなかった。
さて、今にして本当の押さえ方がわかったところで、練習に入る。そして、先日の教室でコード練習票をもらった時、先生から一つコツを教わった。言われた通りに人差し指を置き、Fコードを押さえた時、少し頼りないながらも、それらしい音が鳴った。じっと見ていた先生がニコニコした笑顔で、「おっ、鳴りますね。」私は、「ほんと、鳴りましたね。」
まだ、「はい。弾けました。」と言えないところが味噌である。

家で練習パターンを弾いてみる。Fコードだけなら、確かに鳴るが、鳴って、ほっとしていると、またもや、いくつかのコードと混ざり合ってF、それがまた繰り返すとなると大変厄介であった。要はコードチェンジができないということである。少し練習して、当時は、他の用事も諸所あったりで、少しサボった。
次のレッスン時に、私の音を聞いて、「後ろの親指の力が、全然足らない。」という様なことを言われた。少し怒っている様にも感じる。先生は、練習の足りなさをお見通しであった。
次の機会までには、も少し頑張ろう。
遠方から通っている私は、時間の許す範囲で、月に一度くらいしか、この教室には通っていない。練習不足でのレッスン参加は、大変もったいないことに気づいた。
私の通う教室は、希望する枠が空いていれば、ひと月何回でも通えるシステムなので、私の様に月一回の人は少ないだろう。むしろ、住宅事情等の理由で、気軽に通い、日頃の練習室として活用している人の方が多いようだ。

早く弾けるようになりたい。
そこで、家にいる日は、たとえごく少しの時間でも、ギターを手にすることを決めた。勿論、ご近所迷惑にならない時間に。ひたすら何回も。
曲を引いているわけでもないのに、不思議と少しも飽きなかった。何度も弾いていると、コード順を覚える。で、上手になったかというと、不思議なことに気づいた。真面目に弦を押さえる左手をガン見しながら、Em、C、次は、Amと頭で考えながら押さえて弾いている時より、何も考えずに、むしろテキトーに休憩がわりに弾き流した時の方が弾けているのだ。ビールなんか飲むと、さらにいい感じだ。

あまりにも,この現象を不思議に思い、ある日、息子にそれを言うと、「そうだよ。だって、歩く時、いちいちハイ、左足。はい、右足。とか足を見ながら考えて歩いてないでしょ。」と言われ、「あっ、そうだね。」と、腑に落ちた。

ローコードテェンジは前より自然な感じになっている。が、左手のFコードへの移動がままならない。何か他にもコツはないものかと、YouTubeを検索した。「Fコードのコツ」とか「Fコードの押さえ方」とか、いくつかの挙げていただいている動画を何回も見直す。先人の話は貴重だ。少しづつ、ちょっとは聞ける形になってきたように感じた。とにかく、弾く。

そして、時間の空いた日に教室の予約を入れた。
「どうですか。」私のテーブルの順番。私は、そのままギターの課題を弾いて聴いてもらい、「うーん、まだ上手く弾けなくて、もう一回家で練習してきます。」と答えた。
すると、暫く考えてから、先生は、「楽譜、今持って来ますから。これを弾いてみて。」一曲のコード符を、私に手渡した。「Fコード入ってるから。」そう言いながら、初めての曲の楽譜を私に手渡した。

初めて手にした曲の楽譜。嬉しかった。やっと曲、やったぁ曲である。
思えば、私は相当な鈍足ぶりが甚だしいのだが。それは、少し前によく耳にしていた曲だった。確かに、要所にFコードが何度も出てくる。初心者の私が弾く一曲目にしては、ちょっと、いや、ものすごく頑張りが必要な曲であった。







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