へいsiri。彼はあなたの仲間なの?


 仕事のやる気スイッチが入らず、実家にあるキーボードを久々に弾いてみた。

小学生の頃ピアノに興味をもったものの、先生がおしとやかすぎて、

ピアノを弾きながら寝るという快挙を成し遂げた。


 すごく昔のだから電源入れるだけで「ジー」と音がする。

それでも唯一少しだけ弾ける曲を弾いて、まだ私いけるんとちゃうかと

根拠のない自信を胸にピアノを弾き続けた。


 そういえば元彼が初めて家に来たときもピアノを一度だけ弾いたなぁ。

(調子にのりすぎて、自分の家には新しく購入した電子ピアノがある)

唯一何度も練習してある程度は弾ける「宇多田ヒカルのflavor of life」を弾いて

どや顔したあの頃がなつかしい。

(それでも彼は相変わらず「ふーん」という態度だった。

 私は何度彼のことを天邪鬼だと思ったろう。

 感情に乏しすぎる。これは人間ではなくロボットなのか。

 より好きになるだろうという思いもこめて弾いたのに、

 なんだ「ふーん」て。

 ここは「すごいね素敵だねかわいいね!さらに好きになったぜベイビー」だろう。

 という気持ちはもちろん隠し、

 「この曲知ってた?」という大人の笑顔を見せた私が健気すぎる)


 そうね、今日はあの頃に戻ったつもりで。

「ありがとうと 君に言われると なんだか切ない」


歌詞を噛みしめながら、切ない気持ちに酔いしれながら、

flavor of lifeを弾こう。

ペダルを捨ててしまって、スタッカートになることは気にせず。

ポップのflavor of lifeだって、気持ちをのせてしまえばこちらのもの。


「あっりっがとうと~ きみにっ 言われ~るとっ

 なんだぁ~かっ 切ないっ」


 決戦日まであと9日。

  - ohana.


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