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ギターやベース用のシールド(ケーブル)による音の違いと選び方

ギターやベースのシールドケーブルによって「音が変わる」という話を聞いたことがある人も多いと思います。

実際に様々なシールドのレビューを見てみると

・音が太くなる、中低域に厚みがある、パワフル、ファットなサウンド
・スッキリとしたクリアな音、トレブリー、クリスピーなサウンド、
・バランスが良い、癖がない
・ドライ、ナチュラル、オーガニックなサウンド
・音の立ち上がりが早い、スピード感がある
・音の分離が良い
・音抜けが良い


・・・というような言葉が並んでいて何を選べば良いのか分からないということも多いと思います。

そこで、私がこれまでに何十種類ものシールドを実際に使ったり比較をした経験をもとに、シールドを選ぶポイントと、おすすめのシールドと、そのメリット・デメリットをお話したいと思います。

これまでに様々なシールドを試した結論を述べておくと

  • シールドによる音の違いよりもエフェクター、アンプ、ギターによる音の違いのほうが大きいので、スタジオやライブで使う場合には音の違いはそこまで神経質になる必要はない(しかし・・・シールドを集めて比較するのは楽しい)

  • 音質の違いの要因は様々であるが音の違いが分かりやすいのは「静電容量」と「長さ」

  • レコーディングで使う場合には拘りがないのであれば静電容量が小さく短いシールドを使うのがベター

  • 取り回しの良さ、見た目なども大事

ということです。


そしてシールドの選ぶポイントとしては

  •  音の違い

  •  静電容量

  •  長さ

  •  シールドを使う位置(エフェクター・バッファーの前か後か)

  •  プラグの形状やノイズレスの有無

  •  シールド(ノイズの混入を防ぐための構造)の質

  •  固さ、取り回しの良さ、耐久性

  •  プラグの形状、サイレントプラグの有無

  •  メーカーの信頼性、ブランド力

  •  見た目

などがありますので、順番に説明をしていきたいと思います。


◆シールドによる「音」の違い


◇「静電容量」と「長さ」による音の違い


シールドを変えることによって音を太くしたり、逆に高音域が華やかな音・硬い音にしたりすることができます。

例えばジミ・ヘンドリックスは敢えてカールコードを使うことでパワフルで太いサウンドを出していたことなどが有名です。

シールドによって音が変わる要因はいくつかありますが、シールドを選ぶ際に参考にしやすく変化も分かりやすいのが「静電容量」と「長さ」です。

「静電容量」は簡単に言うと「電荷を蓄えられる量」のことですが、シールドの場合には「電気の流れやすさ」と考えると分かりやすいです。

「静電容量」が大きいシールドは途中で音声信号を伝えるための電気が減っていくためイコライザーで高域成分を削ったような「ハイ落ち」と呼ばれる現象が起きやすいです。

「ハイ落ち」は必ずしも悪いことではなく、高域成分が減った分、低域と中域が大きく聞こえるため「太い音」「中低域に厚みがある」「パワフル」「ファット」という印象になりやすくなります。

ただ「静電容量」が大きすぎるとワウを半分踏んだような音に近づいていき「こもった音」「遅い音」「パワーがない」という印象になっていくので、シールドで「ハイ落ち」をさせる場合にはアンプやエフェクターとの相性なども踏まえた上で自分の好みにあった丁度良いものを選ぶ必要があります。

一方で「静電容量」が少ないシールドは「ハイ落ち」する量が少ないため「スッキリ」「クリア」「トレブリー」「音が早い」という印象を与えるような音になりやすいです。

「ハイエンド」を謳っている高価格帯のシールドは「静電容量」が少ない傾向があります。

この「静電容量」はシールド(ケーブル)ごとによって1メートルあたりの数値が決まっていて各メーカーのウェブサイトで公表されていたりします。(公表していないメーカーもあります。)

そしてこの「静電容量」はシールドが長くなればなるほど長さに比例して大きくなっていきます。

ですから「太い音」「中低域に厚みのあるパワフルな音」を目指したい場合には「静電容量」が大きく長めのシールドを選び、ハイ落ちの少ないクリアな音を目指したい場合には静電容量が小さくて可能な限り短いものを選ぶと自分のイメージに近くなる可能性が高いです。

ちなみにジミ・ヘンドリックスはカールコードを使うことでパワフルで太いサウンドを出していたという話をしましたが、カールコードはシールドがグルグルと巻かれている分、見た目よりも長くなり静電容量も大きくなりノイズも混入しやすくなります。

そのためカールコードは「ハイ落ち」して中低音が強調されて音が太くなる、悪い言えば「曇ったような音」になる傾向があります。

テレキャスターはハイの尖った音域が耳に痛く感じることもありますが、敢えてカールコードで「ハイ落ち」させることで太いサウンドに変える、という工夫をしているアーティストもいます。

◇「音抜け」について

ギターのシールドの中に「音抜けが良い」と言われるものがありますが、そもそも「音抜け」が良いとはどういう状態を言うのでしょうか。

個人的には「音抜け」は扱う曲のジャンルや他の楽器との兼ね合いで決まってくるものだと思っています。

例えばジャズなどのようにドラムの金物やベースの音量が控え目な場合にはギターの音はハイが出ていたほうが「音抜け」が良いと感じるケースもあると思います。

その場合は「ハイ落ち」の少ない静電容量の小さいシールドのほうが相性が良いです。

一方でハードロックのようにベースやドラムの音量が大きいバンドの場合には、低音域ではギターはベースの音に負けてしまいますし、ギターの高音域もドラムの金物(ハイハット・シンバル)の音に埋もれがちです。

そうするとギターの音をミッド(中音域)に集中させたほうが聞こえやすくなるため、静電容量が大きくて「ハイ落ち」したり狭くなったりするようなシールドのほうが結果的にミッドが強調されるので「音抜が良い」と感じる人が多いと思います。

ロック系のギタリストで今でもベルデンなど静電容量が大きいシールドを愛用している人も多いのは、このような理由にあると思われます。


◇バッファー(エフェクター)を通すとシールドによる音の変化は小さくなる

それから注意が必要なのが

  • シールドを使う位置(エフェクターの前か後か)によって音の変化率も違う

  • エフェクター(バッファー)を通すとシールドによる音の変化は小さくなる

ということです。

先ほど「静電容量」が大きいシールドは途中で音声信号を伝えるための電気が減っていくという話をしましたが、これはギターのピックアップから拾った「小さな」信号(インピーダンスの高い箇所)に起きやすい現象です。

(アクティブタイプを除いて)ピックアップから出てくる信号はとても小さいので、シールドの「静電容量」による影響を受けやすいのです。

他方で、エフェクターのの中には「バッファー」という電気の量が増幅する装置が入ってているため、エフェクターを通した後は「静電容量」による影響は小さくなり「ハイ落ち」という現象も起きにくくなります。

そのため、シールドで積極的に音を変えたい場合には「エフェクターとアンプを繋ぐシールド」ではなく「ギターとエフェクターを繋ぐシールド」に拘ったほうが効果的です。

またアクティブピックアップなど電池の入っているギターやベースの場合も同じ理由でシールドによる音の変化は起きにくいです。

ちなみにバッファーはエフェクターの中には必ず入っているものですが、トゥルーバイパスのエフェクターの場合には、オフにすることでバッファーもバイパスされます。

そのため、トゥルーバイパスのエフェクターをオフにした場合にはエフェクターよりもアンプ側のシールドの部分でも音の変化が生じやすくなるので、その点は注意が必要です。


◇「シールド」の質について

オーディオで使われるような通常のケーブルと違って「シールド」という名前の付いているケーブルにはノイズの混入を防止するために銅線で編み目状にした層や導電性ポリマーなどで包み込むような層(シールド)が入っています。

この「シールド」の性能が低いケーブルはノイズが乗りやすくSN比が悪くなるため「音が悪い」と感じやすくなります。

最近は粗悪なシールドも少なくなっているので有名なメーカーの製品であればの質をあまり気にする必要はないと思います。

だだし「初心者セット」的な商品に入っているメーカー不明の安いケーブルや、楽器屋さんで数百円で投げ売りされているようなケーブルの場合には「シールド」の性能が低くノイズが入りやすいものもあります。

そのため極端に安いものや、メーカー名が分からないシールドは避けたほうが安全です。

◇シールドによって音を変える必要があるのか

シールドを選ぶ際のポイントの1つとして「そもそも自分はシールドによって本当に音を変える必要があるのか」という点についても考えておく必要があります。

ギターやベースの音を変える要素はシールド以外にも、ピックアップ、エフェクター(歪み・ブースター・イコライザー)、アンプ、キャビネットスピーカーなど沢山ありますが、この中でもシールドによる音の変化は(よほど長くない限り)相対的に小さいものです。

そうであれば「シールドにお金を掛けるよりも他の機材にお金をかけたほうが良い」というのも合理的な考え方だと思います。

シールドで音を「太く」するという方法以外にも、昔からあるTUBE SCREAMER 、SD-1などの歪みペダルを使うことでハイとローがカットされたようなレンジの狭い音にできますし、クリーントーンであってもEP BoosterやBOSSのBP-1Wなどのブースターを使うことで音を「太く」するという方法もあります。

あるいはいっそのこと、ボードにイコライザーを入れてしまったほうが自分の好きな音を作りやすいということもあると思います。

またギターの音作りの作業で見落とされがちなのがアンプのキャビネットの中の「スピーカー」です。

ギターアンプ用のスピーカーは種類が多くスピーカーごとに周波数特性が異なりますので、納得した音が出ないという場合にはシールドにお金をかけるよりもキャビネットやスピーカーを変えてしまったほうが解決しやすかったりします。

さらにレコーディングを経験したことがある人であれば分かると思いますがギターの音をマイクで拾う時には、マイクの位置や距離が少し違うだけでも周波数特性が大きく変わり「太い音」になったり「ハイが強調された音」になったりします。

日本ではライブの時にもギターアンプから出る音をマイキングしてPAスピーカーから出すというライブハウスが多いですが、マイキングの位置に気を遣っているギタリストはあまり多くないように思われます。

シールドに拘るよりもマイキングの位置を数センチ変えたほうが音がの変化が大きいです。

このようにシールド以外にもギターの「音」に影響がある要素が多いため、シールドを選ぶ際には「費用対効果として見合っているか」ということを気にしても良いのではないかと思います。

さらに注意が必要なのがオーディオ的な観点から見るとシールド(ケーブル)を通すことで音が「劣化する」ことはあっても音が「良くなる(復元される)」ことはないという点です。

ギターやベースの場合には「劣化した音」(ハイ落ちした音)が「良い音」と感じられることも多いため「劣化すること」は必ずしも悪いことではありませんが、レコーディングの際にはシールドで「ハイ落ち」した音を後から復元することは困難です。

そのためレコーディングをするにあたり作りたい音がはっきりとイメージできていない場合には静電容量が小さいシールドでクリアな音を録音しておいて、後でDAW上のEQで音を削っていくほうがミックス作業の際に失敗する可能性は低くなります。

◆固さ、取り回しの良さ、耐久性


シールドを選ぶ上で音以外にも重要な点があります。

特に固さ、取り回しの良さ、耐久性などは重要です。

安いシールドは音質的に問題はなくても、太かったり固かったりして取り回しが悪い(曲がりにくい)ものもありますし、耐久性が低いものもあったりします。

取り回しの悪いシールドは実際に使ってみるとかなりのストレスになりますし、固くで曲がりにくいケーブルは床から浮きやすいので足を引っかけてしまいギターを倒したりアンプヘッドを落としてしまうという事故に繋がる可能性もあります。

また粗悪な自作系のシールドはハンダ付けが弱くて断線しやすいものもあったりしますし、使っていて「ブチブチッ」という音が鳴るようなシールドは最悪の場合にはアンプを痛めてしまう可能性もあります。

特にライブやスタジオではシールドを足で踏まれてしまうこともありますので、過酷な環境でも断線しにくい信頼できる製品を選ぶことが大事です。

なおシールドを保管したり持ち運ぶ時に「8の字巻き」をしていない方を見かけることがあります。

短めのケーブルは適当にグルグル巻いてもあまり問題はありませんが、長めのケーブルは「8の字巻き」にしていないと捻れが生じて痛みやすいですし、真っ直ぐ伸びてくれないので使いづらいです。

「8の字巻き」が分からないという人は他の人に教えてもらったりYoutubeを見たりして巻き方を覚えておくと良いです。


◆プラグの形状、サイレントプラグの有無

シールドのプラグには「ストレート型」と「L字型」があります。

レスポールのようにギターのフチや底に近い部分にジャックがある場合には「L字型」のほうが邪魔になりにくいです

ギターのフチや底付近にジャックがあるギターに「ストレート型」のプラグを接続すると、床に座って弾いた時や、ギターを倒してしまった時にプラグと床が接触してしまい、ギターのジャック部分を壊してしまうという事故が良くあります。

そのため、ギターのフチや底付近にジャックがあるギターの場合には、少なくともシールドの一方は「L字型」のプラグにしたほうが良いでしょう。

他方でフェンダーのストラトキャスターのようにギターの前面部に斜めにジャックが付いているタイプの場合には「L字型」のプラグだと前面に飛び出してしまい、これもまたギターを倒した時などにジャック部分を壊してしまう可能性が高くなります。

そのためギターの前面部に斜めにジャックが付いているタイプの場合には少なくともシールドの一方は「ストレート型」のプラグにしたほうが良いです。

それから最近は「サイレントプラグ」というタイプのプラグの付いたシールドも販売されています。

アンプの音量を下げずにアンプと反対側のプラグを抜き差しすると「バリバリッ!」とか「ブチッ!」という激しいノイズが発生しますが「サイレントプラグ」の場合にはこういったノイズは基本的に発生しなくなります。

ギターのストラップが急に外れたりして意図せずプラグが抜けてしまったという経験をしたことがある人も多いと思いますが、プラグを抜く際にノイズを発生させてアンプを壊してしまったというような事故を防ぐという意味では「サイレントプラグ」が付いているシールドのほうが安心感はあります。

ただ現状では「サイレントプラグ」の付いているシールドは種類が少ないため、切売りのシールド線とプラグを買ってきてハンダ付けして自作をしたほうがコストパフォーマンスは良いです。


◆メーカーの信頼性、ブランド力、見た目、


シールドを選ぶ際には、「メーカーの信頼性」「ブランド力」「見た目」なども大事だったりします。

有名なメーカーの製品であれば極端に品質が悪いというケースは少ないため、それであれば自分の好きなブランドや見た目の製品を使ったほうが満足度は高いと思います。

オーディオの世界では「見た目で音が変わる」と言われることがありますが、人間の心理として見た目が立派だったり高級感のあるもののほうが「音が良い」と感じやすくなるという傾向があります。

さらに色の付いたシールド「踏まれにくい」というメリットがあります。

品質の良いシールドであっても何度も踏んだり捻ったりしていると「シールド」の層が劣化したり断線したりしてノイズも入りやすくなります。

シールドケーブルは黒いものが多ですが、敢えて赤や黄色など派手なシールドを使うことで踏まれにくいようにしたり、置き忘れた時に誰の物か分からなくなってしまうという事態を防止することもできます。

◆シールド長さ

シールドの長さは使う環境にもよりますが、同じ種類のケーブルを使っていても長さが異なると静電容量も変わって音に変化が出やすくなるため注意が必要です。

◇「ギターとエフェクターを繋ぐシールド」の長さ

「ギターとエフェクターを繋ぐシールド」は3m~5mくらいあれば十分という人が多いと思います。

リハーサルの時に楽器を弾きながら客席側に立って外音を確認したいという場合には7mから10mくらいあると便利ですが、長くなるとハイ落ちも目立ってきますし重くなるので持ち運びも大変です。

◇「エフェクターとアンプを繋ぐシールド」の長さ

ライブハウスによってはアンプまでの距離が遠いこともありますので「エフェクターとアンプを繋ぐシールド」は5メートルから7メートルくらいのものを用意しておくと安心だと思います。

先ほどお話ししたとおりエフェクターの後のケーブルは「ハイ落ち」やノイズについてはそれほど神経質になる必要はないので軽さや取り回しの良さを重視して選んでも良いと思います。

◇レコーディング・録音用のシールドの長さ

自宅での録音時のシールドは3メートルくらいあれば十分というケースが多いですし、レコーディングスタジオはシールドを貸してくれるところが多いので、拘りがない人は敢えてレコーディング用のシールドを買わなくても良いと思います。

ただし、前記のとおりシールドで「ハイ落ち」した音を後から復元することは困難ですし最近は低価格帯でもハイ落ちの少ないシールドがありますので静電容量が少なめのシールドを1本持っておくと安心感はありますし、録音作業にも身が入りやすくなると思います。

◆おすすめのシールドケーブル


前置きが長くなりましたが個人的な経験をもとにおすすめのシールドをいくつか紹介したいと思います。

最初に紹介するシールドの特徴の一覧表を貼っておきます。

シールドケーブルの比較一覧


静電容量については以下の外部サイトも参考になると思います。


◇CANARE ( カナレ ) / GS6(LCシリーズなど)


「シールドに特に拘りはないけど、低価格で安心して使えるものが欲しい」という人にとって無難にお勧めできるのがCANARE ( カナレ ) のGS6(LCシリーズなど)です。

貸スタジオなどで「シールド貸してください」と言うと年季の入ったCANAREのGS6を渡されることも多いですが、それだけ品質がしっかりしていて耐久性も高く長く使えるシールドです。

一般的にケーブルがダメになる場合、プラグの根元が断線するというケースが多いですがCANAREのシールドはプラグの根元に金属製のバネみたいなものが付いていて保護されているので過酷な環境で雑に扱っても断線しにくいです。

固さも「普通」という印象で取り回しも悪くありません。

使われている「GS6」というケーブルの静電容量は160 pf/mで最近のハイエンドケーブルに比べると大きめなので長いとハイ落ちしやすくなってきますが3メートルから5メートルくらいの長さで使う分には問題はありませんし「昔ながらの安心できるサウンド」という雰囲気で実家のような安心感を感じる人もいると思います。

色のバリエーションも豊富で、黒以外にも、青、緑、オレンジ、赤、黄色と様々なバリエーションがあるので自分の好きな色を選ぶことができるのもメリットです。

◇SOMMER CABLE ( ゾマーケーブル ) / The Spirit XXL

「比較的安い静電容量が低くコストパフォーマンスの良いシールドが欲しい」という人におすすめなのがSOMMER CABLE ( ゾマーケーブル ) /のSpirit XXLです。

日本では知名度はありませんが海外ではかなり売れていてThomannなど海外の通販サイトでは好意的なレビューが多いです。

静電容量は86pF/mとかなり低めで3メートルくらいの長さではハイ落ちはほとんど感じることなく解像度の高い音が得られるのでレコーディング用途にも向いています。

ケーブルやプラグも作りがしっかりしていて見た目も良いです。

気になる点があるとすればケーブルにツルツルとした特徴的な素材が使われているのですが、この素材のケーブルは経年劣化でベトベトしてくることがあります。
(私は2年くらい使用していますが今のところはベトベト感は出ていません。)


◇MOGAMI (モガミ) / 2524、2537


自分でハンダ付けしてシールドを作る人に人気なのがMOGAMI (モガミ)のケーブルです。

ギターシールドとして良く使われるのがMOGAMIの「2524」というケーブルですが、静電容量は130pF/mと「普通」なので、出てくる音もリファレンス的な「普通」の音がします。

MOGAMI のシールドは切売り買うと1m当たり160円程度と非常に安く自分でハンダ付けができる人であればコストパフォーマンスは非常に高いです。

市販のパッチケーブルを何本も買うと結構な額になりますがMOGAMIの切売りのシールドとプラグを買ってきて自作することで価格を抑えることができますし、サイレントプラグ仕様にしても1本千円台と格安で作ることができます。

MOGAMIの「2524」のメリットは音が「普通」であるたけでなくケーブルが柔らかく取り回しが良いので扱っていてストレスがほとんどありません。

MOGAMIのデメリットは(切売り以外の)完成品のシールドがあまり販売されていないという点です。

MOGAMIには2524以外にもシールドとして使われることがあるケーブルがいくつかあります。

マイクケーブルとして使われる「2534」という4芯ケーブルもギターシールドに好んで使われていています。

癖の無い音質でケーブルも柔らかく細くて非常に扱いやすいですし色のバリエーションもあるので、私はスタジオやライブで使うことが多いです。

デメリットとしては4芯なので自作が少し面倒なことですがMOGAMIのケーブルは加工しやすいので慣れれば特に問題はないと思います。


◇BELDEN (ベルデン) / 8412、9395、9778

BELDEN (ベルデン)のシールドは/昔からギタリストやベーシストに好んで使われています。

その中でも有名なのが「8412」というケーブルです。

「8412」は静電容量が190pF/mと大きいため「ハイ落ち」分かりやすく、「太いファットな音」「パワーのある音」「音圧を感じる」という印象を受ける人が多いと思います。

低音を重視するベーシストでも使っている人が多いという印象です。

「8412」のデメリットとしてはケーブルが太くて取り回しが悪い点と価格がやや高めであるという点です。

ケーブルが太くて耐久性も高いので海外のスタジオなどで使われることも多いですが、持ち運んだりセッティングをする際に「太いな・・・」とストレスを感じます。

またBELDENのケーブルを日本国内で買うと割高であるという印象は否めません。

例えばサウンドハウスではMOGAMIの「2524」は1mあたり160円程度で販売されていますが、BELDENの「8412」は1m当たり1000円程度と5倍程度の価格の開きがあります。(しかもどんどん高くなっている)

円高の時はBELDENは安くて庶民的なケーブルのイメージもあったので個人的には現在のBELDENは高くなったなぁ・・・と感じてしまいます。

BELDEN以外にも品質の良いシールドはあるのでBELDENというブランドに憧れがあるという場合でなければ敢えて選ぶメリットも少ないかも知れません。

ただ特に年配の方の中には「BELDENが絶対的に良い!」という考えの人もいて昔から人気のあるブランドなので好みが合えば買う価値は十分にあるシールドだと思います。

BELDENは「8412」の他に「9395」「9778」などのケーブルも有名です。

「9395」は静電容量が167F/m程度でCANAREのGS6と同じ程度で「癖の少ない音」と感じる人が多いと思います。

「9778」は静電容量が137F/m程度で、ベルデンのシールドの中では中高域がスッキリとしているように感じられる音です。


◇OYAIDE ( オヤイデ ) / QAC-222G、Ecstasy Cable 、G-SPOT CABLE

オーディオ用のハイエンドなケーブルを数多く取り扱っているOYAIDE ( オヤイデ )ですが、ギター・ベース用のシールドも販売されています。

OYAIDE (オヤイデ)の「Ecstasy」は静電容量が85F/mとかなり低く、ハイ落ちを感じないクリアな音質です。

見た目に高級感と清潔感があります。


「QAC-222G」も低静電容量を謳っておりハイ落ちがなく音の分離も良いです。

こちらも高級感がありますが「金持ちが使うシールド」という感じの派手な見た目をしています。


その他に「G-SPOT CABLE」という中低域に寄った太い音のするケーブルも販売していますが、やはり見た目に高級感があってカッコ良いです。

個人的にはハイエンドクラスのOYAIDE (オヤイデ)の「Ecstasy」「QAC-222G」と一般的な価格帯のSOMMER CABLEの「The Spirit XXL」などを比較しても3m~5m程度では違いを感じないというのが正直なところです。

そう考えると見た目に拘りがないのであれば、OYAIDEよりもSOMMER CABLEや後記のCLASSIC PROの HGCシリーズなどのほうがコストパフォーマンスは良いと思います。

しかしOYAIDEは見た目が華やかですしブランドの信頼性も高く作りもしっかりとしているので、OYAIDEのケーブルでしか味わえない充足感があるのも事実です。

多少高くても良いから高級感のあるケーブルが好きという人にはOYAIDEのケーブルはお勧めです。

◇ROLAND ( ローランド ) / RICシリーズ

最近入手した中で気に入っているのがROLAND ( ローランド ) のケーブルです。

具体的な静電容量の数値は不明ですが「低静電容量構造によって原音に忠実なクリアーなサウンドが特長」と謳っているとおりレコーディング用途でも全く問題がないような「ハイ落ち」の少ないサウンドです。

ケーブルはかなり柔らかく取り回しが楽ですが、太めで「断線しないだろう」という安心感があります。

価格も3mで2000円台とかなり安くROLANDというメーカーの安心感もあります。

個人的にはプラグのところに「ROLAND」のロゴが入っている見た目も好きです。

ROLANDのシールドを使っている人は少ないので他の人のシールドと混ざって自分ものがどれか分からなくなるという危険も少ないと思います。

ちなみにROLANDのケーブル類は「ふるさと納税」の返礼品としてもらうことができるのも嬉しいところです。


◇CLASSIC PRO (クラシックプロ)/ HGCシリーズ

「静電容量が小さいハイエンドなケーブルが欲しいけど金がないんだよ」という場合にはCLASSIC PROのHGCシリーズが良いと思います。


CLASSIC PROはサウンドハウスという通販サイトのオリジナル格安ブランドです。

CLASSIC PROの製品は正直なところ「ハズレだったな・・・」と思うこともありますが、少なくとも私が買ったCLASSIC PROのHGCシリーズのシールドはしっかりとした製品で「当たり」でした。

静電容量は不明ですがハイ落ちが少ない解像度の高い音質で固さも「普通」なので取り回しも悪くありません。

ただ2022年頃から販売開始になった比較的新しいシールドなので耐久性の評価が定まっていないという状況です。

またブランドに拘りたい人にとっては「CLASSIC PRO」というプライベートブランドに対してはイオンの「トップバリュ」のように抵抗を感じる人もいるかも知れません。

自宅の録音用に解像度の高いシールドが1本欲しいという場合にはコストパフォーマンスが良いと思います。

ちなみに同じ「CLASSIC PRO」から「GIC」という劇安シールド(3メートルで700円くらい)も販売されていますが、個人的には「GIC」はあまりお勧めしません。

「GIC」シリーズは劇安なのの音は悪くないので、お金が無い学生さんなどにとっては有り難い製品だと思いますが、ケーブルが固くて取り回しが悪いのとプラグが緩みやすくて繰り返しプラグを締め直さなければならないというストレスがあります。

◇MONSTER CABLE ( モンスター ) / M ROCK2

シールドの中でも独特の魅力とブランド力があるのがMONSTER CABLEです。

静電容量は公表はされていないようですがMONSTER CABLEは分かりやすく音質が変わって「太く」なるものが多いので静電容量はやや大きめのものが多いのかも知れません。


個人的にはMONSTER CABLEのメリットは「見た目」と「ブランド力」だと思います。

プラグの外側も金色や赤などの派手な装飾をしたりしているのでMONSTER CABLEが好きな人であればすぐに分かるというインパクトがあります。

価格帯も敢えて高めに設定されていてプロのアーティストも使っている人が多いのでブランド化にも成功しているメーカーだと思います。

「俺はこんなに格好いいシールドを持っていて音に拘っているんだ!」というアピールをしたい人にとってはMONSTERは代替の効かない魅力的なシールドだと思います。

◆まとめ

以上、長々と説明をしてきましたが、ギターの音はシールドだけでなくエフェクター、アンプ、ピックアップなどの様々な要素で総合的に決まるものなので、シールドによる音の違いはそこまで神経質になる必要はないと思っています。

しかし、シールドはアンプなどの機材に比べると価格も安く保管にも気を遣う必要がないので、色々なメーカーのシールドを買って見た目なども含めて違いを楽しむのも魅力の1つだと思います。

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