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コロシアム効果について

コロシアムは、言わずと知れた円形闘技場だった。観客たちはグラディエイターや獣が繰り広げる殺し合いに熱狂していた。今回はグラディエイターや獣の心情ではなく観客の心情に分け入ってみたい。
観客たちはなぜ、血しぶきが飛び散り、死者が出るかも知れないエンターテインメントを楽しめたのか?時代や古代ローマで暮らす状況・ライフスタイルの影響もあるだろうが、ヒトの持つ普遍的な感覚として『この人は責めてもOK』スイッチがあると私はみている。これは普遍的なのでいつの時代にも大抵当てはまる。
身近な例を挙げれば、レジで打ち間違いをした店員を攻め立てる客。この客は『あ、この店員はミスをしたな。自分の貴重な時間を奪ったな。苛つかせられたのだから責めてもOK』とスイッチオン。
インターネット上で何やら発言をしたところ非難を受けた。それを見つけた人たちは『あ、この人はどうやらまずい発言をしたようだぞ、より良い世のため人のため、自身のストレス軽減のためにも責めてもOK』とスイッチオン、炎上(因みに発言や投稿がマイナスに働くと“炎上”となり、プラスに働けば“バズ”となる)。
人を殺害してしまった人がいる。『殺人犯の家族にも罪があるのだから責めてもOK』とスイッチオン。
古くは公開刑もそれに当たる。ギロチン、市中引き回し、投石、十字架など世界中で工夫が凝らされている。
『責めてもOK』スイッチオンは、まさにエンターテインメントの一種にあたると私は思っている、負のエンタメである。これを一言で『コロシアム効果』と名付け、人類への戒めとしたい。でもコロシアム効果がないとやっていけないよという方々。大丈夫、そんなものがなくても、他にもたくさんのドーパミンを放出させてくれるエンターテインメントはあるのだから。

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