サークル・オブ・ライフ_8 落ちのびの郷、黒滝
山の土地とブロックチェーン。
これまで山の土地を巡って様々な問題がおこってきたし、これからもおこっていくことが予測される。そもそもこの土地は誰のものであったのか?それはここに住む固有の動植物のものであったはずだ。そこに人間が介入してきた。かつて、人間と現地の動物は共存をしていたが土地を買うことによって『所有』することになった。その頃は隣の土地が誰のものであるかが明確であり、本人にとっても知人や仲間同士であったことから比較的見通しが良かったが、現在は世代を重ねることにより、都市部のマンションの様に隣人の顔がよく分かっていないという状況が山の土地においてもおこっている。だから、道を通したいと、ある者が思ったとしても隣の土地に許可を得なければならないが、誰のものか顔も知らないということになる。またその際、隣の土地の所有者は自身の金儲けのために、自分の土地をいいように使おうとしている、という疑念が沸き起こり、やがてそれは不必要な怒りとなって争いの種を生んでいると言えなくもない。これは、ブロックチェーンを山の土地所有に当てはめる事により、問題を解決できる。互いを認識し、一人が何かをしようとした際には、物理的距離はあっても承諾を得やすかったりディスカッションを円滑に行う事ができるようになる。そして最もストレス軽減できるのは、現地で山と向かい合う森林組合である。いちいち所有者と連絡を取り合う必要がなくなる上に、所有者のヘイトを森林組合のみが担う事もなくなる。それから、今後はフォレスターを導入していくのであるから山全体を近自然森づくり(近自然森づくりとは、例えば杉ばかりの単一性の山ではなく、その土地に元々根付いていた種に戻していく、多様性のある森づくりである)に転換していくとなれば、最早ブロックチェーンによる管理は必須と言える。
近自然森づくりと並行して進めたいプロジェクトがある。それは『黒滝、落ちのびの郷』計画である。黒滝村がある吉野郡は以前、南都(なんと)と呼ばれていた。その昔、南都はそれはもう人気の落ちのびスポットだった。枚挙に遑がないが、後醍醐天皇や源義経のエピソードは有名である。現在は吉野の桜や素麺、鮎などがメインだが、こういう時代の過渡期だからこそ、いやそうでなくとも、疲弊した現代人の落ちのびスポットとして訪れてみては如何だろうか。もちろん永遠にではなく“落ちのび気分”を味わってみるのだ。そして再び戻り落ちのびたくなれば訪れて……。そんな現代の落ちのび、良くはないだろうか。
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