「AGPL と Mastodon」を振り返る

この記事は私の書いた 「AGPL と Mastodon」を振り返る | ALIS のコピーである。「AGPL と Mastodon」に関する一連の記事は note に投稿してあるため参照しやすいように当記事は note にも投稿することにした。投稿している現在は ALIS という記事投稿サイトを利用している。私の他の記事を読みたい方はぜひアクセスしていただけたら嬉しい。

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Fediverse Advent Calendar 2020 の2日目の記事。

1日目の記事は h12o さんの 「分散SNS萬本 Vol.2」に寄稿した だった。

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私は mstdn.guru という Mastodon サーバーで中心に活動していた。

2020年1月。mastdn.guru になされた改変が公開されていない状況は Mastodon の AGPL のライセンスに違反しているのではないかと私は指摘した。約一年前だ。私の理解や説明が不十分なこともあってか、mstdn.guru のコミュニティーに所属している人たちに大きな混乱を与えてしまった。私は精神的に不安定になってしまった。mstdn.guru の運営者たちの対応や態度には問題があったと思うが、私自身にはもっと良い事の運び方があったのではないかと今でも後悔している。

現実世界に依存対象がほとんどなく、大きな精神的拠り所としていたこのコミュニティーに居られなくなったため、問題発生当初は酷く精神的に不安定になっていた。暇になれば何も変わらないのに思い出しては辛くなっていた。アカウントが BAN されたとか形式的に追放されたということではなく、コミュニティと私の心を害さないための自主的な離別だった。約1年を経た現在は精神的自傷は大部分が軽減されたものの、関連する言葉をみるとなかなか辛い。drikin や mazzo、mstdn.guru 、グルドン(mstdn.guru の略称)といった直接的なものからマネージャー、カメラ、Sony、GoPro といった言葉でも件のことがよぎって辛くなる。こればかりは時間を経ることで解決していくしかないと思っている。

当時の記事は AGPLとMastodon から振り返ることができる。

約1年を経たので冷静的にまとめておきたい。

2019年12月
Mastodon の正式リリースの v3.0.1 ではなく開発段階の master で mstdn.guru にアップデートがなされる。当時は正式リリースが適応されたと思っていたが、正式リリース以後に追加された機能が使えることに私が気づいた。だが、WebUI の UI にはその機能が使える変更が施されていなかった。サーバーは master 追従だが、WebUI は master 追従ではないという奇妙な状態である。アップデート前から mstdn.guru の WebUI には音声ライブ配信用のウィジットを追加する改変がされており、そのデーターをアップデート後にも使っていたために、WebUI にアップデートが適応されなかった、と推察される。Mastodon は AGPL なのでこのよく分からない状態を理解するためにソースコードの開示を要求した mstdn.guru の運営者は開示に対応するだけの意思がないとして、WebUI の変更をバニラに戻す(つまり WebUI への改変を破棄して master の WebUI を適用した)ことでソースコードの開示を回避した。

2020年1月
ある日突然、WebUI に改変が復活する。ソースコードの開示はなく、開示を要求したところ、変更を施す余裕はあるがソースコードを開示する余裕はないとのこと。バニラに戻した上で、変更点の diff をスクショしたものを公開した。12月に「変更を施したらソースコードを開示してよね」「開示するのは面倒だからバニラに戻すね。これなら文句ないでしょ?」という会話(実際の会話ではない)をしたのに、運営者はこのやり取りを反故にするような行動をした。
実際のところ、変更は WebUI に施されたものであるので自分のブラウザから確認できる。だが、以前の件も鑑みて運営者の「変更するけどソースコードは開示しません。文句があるなら戻します。これ以降同様の行為が発生するなら改変しません」(お前が要求するせいで便利な機能が使えません。あーあー。)という態度は良くないものであると考えた私はどうにか開示して欲しいと思った。他のサーバー運営者はソースコードを開示しているのに、自分の所属しているサーバーが開示しないという選択をしていることを私は許容できなかった。ソースコードの開示を再び要求した。
mstdn.guru のサーバー費は「さくらインターネット」が支払っていた。これは、運営者たちがやっている Podcast へのスポンサーという立場からの支援だった。もしソースコード全体が公開されない状態が続くならば、さくらインターネットの担当に相談しなくてはいけない、とコミュニティーから派生した Discord サーバーで話していたところ、運営者が会話をたまたま見ており、その数分後にソースコード全体が GitHub 上で公開された。私の要求は達成された。奇妙なことに、私の訴えは聞き入れられないがスポンサーに報告されたら困るようだ。

2020年3月
結局さくらインターネットに相談はしなかったものの、立場的に全容を把握していなければいけないのではないか、という考えから運営者との関係との確認や件のことについてどう考えているか質問してみることにした。

色々な質問をしたが回答はこんな感じだった。

- 件の全容は把握していなかった。
- サービス利用者が法的責任の一切を負う。
- 関係性は「さくらインターネットはBackspace.fmのスポンサーとして さくらのVPSをグルドンサーバー用に提供いたします」。backspaace.fm は運営者のやっている Podcast の名称である。

質問の仕方が悪かったのか、自分の頭が理解するのに足りていないのか分からないが、いまいち返答を理解できていない。スポンサーの立場として運営者たちの対応や態度に何もアクションを起こす気はないようである。

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約1年を経た現在、mstdn.guru は当時の master のまま、アップデートされることなくそのまま運営されている模様。

ソースコードを開示する前の段階で Mastodon の開発者の Eugen さんの耳に入っており、氏の見解では「それは些細な変更で AGPL 違反であると呼ぶには言い過ぎである。小さな見た目の変更に対して対立することで確かな利を得られるわけでもない(ので私は開示の請求をしない)(原文: I think that "AGPL violation" is too strong for something like this. There is no practical benefit to conflict over such small visual changes.)」とのこと。やり取りは非公開投稿でなされたためソースは貼ることができない。

mstdn.guru の運営者ならびにコミュニティは外部のサーバーとは関わりが極度に薄く、外部のサーバーの状況を理解していないらしい。過去のコミュニティの意見を振り返ってみると「WebUI をちょっと変更しただけでソースコードをその都度更新したり開示するのってコストに見合わないよね」という意見があったが、他のサーバーでは、ちょっとした変更であってもソースコードを公開するのが普通である、と私は感じていた。少なくとも私がアカウントを作っているサーバーはいずれもソースコードを公開している。

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