君の手にあるその本を、取り敢えず開いてみよう。そこには何が描かれているだろう? 君は君としてそこに居て、君だけの物語が語られている。そこに善も悪も無く、美も醜も無い。 ただただ綴られる文字を読む君によってその物語は意味を持つ。 「これってつまりさ、自分の人生は自分の捉え方次第ってことだよな。」 無言でひたすら時を共有していた彼が唐突に口を開いた。 「…うん、うん?」 束の間、彼の言葉の内容にそうだと同意しながらも、何の話をしているのか分からず作業の手が止まる
「今日は寒いねぇ。」 外に出た途端にくしゃみをした3歳の娘。少し面白おかしく感じてしまい、私は笑いながら娘にそう言った。 「ちゃむくないよ!おねーたんだから!」 鼻を垂らしながらも、意地になって言うお喋りな娘の鼻を私は拭く。部屋に吹き込んだ風が、少し前より暖かくなっている気がした。 「うんうん、お着替えできるようになったからおねえちゃんだね。」 「ママ、もうゆきうる?」 会話が突然変わるのには慣れっこだ。いや、娘にとっては突然ではないのだろう。 「そうだねぇ、もう雪は降