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私が大倉忠義さんに二度の沼落ちをしたこと(前編)

※実在の人物について自分の考えや好みを語っております。人により受け入れ難い表現もあるかと思いますのでご注意ください。

 一度目の沼には、気がついたら肩まで使っていた。これは必然である。

 私は普段、人からの漫画やアニメ、芸能その他の薦めに対し、あまり気が乗らないタイプだ。それは、何となく「先んじてこれを見つけた!」「少し前から知っていた!」というドヤりたい感情があるように思う。

 あるいは、好きなものには自ら意味を与えたいタイプかもしれない。「みんな気づいてないけど〇〇のここが最高」のように。烏滸がましいわ。

 古典では、痴なりと書いて「をこなり」、つまりバカバカしいという意味だと習ったことがある。私はそれだ。

 話を戻すと、そんな私が友人の薦めに乗って、関ジャニ∞のライブDVD鑑賞会なるものにノーガードで臨んだのは、今思えば運命かもしれない。あの時、誘いに乗ったことについては「騒ぐものがあった」以外に説明がつかないのだ。

 年齢も季節も忘れたけれど、確か私の家に呼んで、こたつで鑑賞した気がする。友人がわざわざDVDを携えて、小山を登って我が家へ来てくれたはず。でもはっきり言って、よく覚えていない。

 断片的な記憶に残っているうちの一つは、父が好きな野球中継でよく映るようなドーム一面に、養生のシートが敷かれセットが組まれ、表情をガラリと変えたさま。派手な照明で照らし出される興奮した場内。その熱気の中を練り歩く、赤スーツにヒョウ柄コートの男たち。

ーーそう、友人が布教に選んだのはエイタメだった。今思えばこのチョイス、彼女は沼に落とすどころか引き摺り込んで逃さないつもりだったのだ。おかげで私は今、治安悪めのエイトが一番グッとくるし、オープニング曲だったNOROSHIには並々ならぬ思い入れがある。私の"癖“を作ったのは間違いなく彼女だ。ありがとう。

 それから、何か色とりどりの可愛い衣装や、合間の寸劇、「あーこの曲私の推しが作ったの最高」みたいな話もしたはずだ(Black of nightである)。

 ところで当時、アイドル界隈に対する、私の持ちうる乏しい知識の一つに「いわゆる推しというもの」があった。みんな何らかの理由で、一番大好きな人を決めるらしい。それで行くと、分かんないけどこの高身長小顔イケメンが何かいいな。顔がかっこいい気がする。私の好みってこんな感じなんだ。などとボンヤリ思っていた。

 私の中には、とりあえず「全部は分からんけどなんか楽しいな!好きかも!あと大倉くんって人が素敵!」の感情がポンと浮かんだ。友人にも、見せてくれたお礼と共にその旨を伝えた。

 そこからはあれよあれよであった。「楽しかった!また見たい!」とうっかり言ったものだから、友人は私に甲斐甲斐しくCDを貸し、TV出演情報を教授してくれた。私はズルズルと着々と、エイトにハマっていった。

 完全に∞沼に堕ちたのはいつと聞かれると難しいが、いつから明らかに火がついたというならば、初参戦したライブのこと。

 GR∞ESTのオープニング「応答セヨ」で、青いライトに照らされた関ジャニ∞を見た。実在していたのを肉眼で見た。当時は慣れなかったバンドの大きなサウンドに、美しいロングトーンに、幻想的にモニターに映し出された丸ちゃん(自担じゃないんかい)。それらが今でも、やたらと記憶に残っている。開始15秒で涙を流した。

ーー関係ないけど当時、すばるくん脱退初のライブが初参戦だったんか。改めて私のeighter人生しんどい幕開けだな。

 とにもかくにも、そこから初めてアイドルのファンクラブに入った。(今までなんて横浜ベイスターズのファンクラブにしか入ったことなかったよ)。初の抽選でうっかり「どこでもいい」を入れてしまった結果行けもしない札幌ドームに当たって半泣きで復活に回したり、TVを録画したことがほとんどなかったため弟にやり方を聞いて成功と失敗をしたりした。

 こんな風に一喜一憂して、面白くてしょうがないことが世の中にあったとは。まさか高校生のころ部活のみんなが話していたのはこれだったのか。楽しそうなことにはチャレンジしてみるもんだなと、しみじみ思った。

 あの時、こんなに楽しいことを教えてくれた友人へ、本当の本当にありがとう。人生塗り替えられました。

 想像以上に長くなったのと、二度目の沼落ちについては更に書けることがあるため、前後編としたい。

(つづく)

後編はこちら


余談:初参戦したGRE∞ESTの時、いわゆるスタンド席の前からたぶん4,5列目くらいだったのだけど、本当に幸先のいいオタクライフ幕開けだった。トロッコがビュンビュン通る。そんで私たちの前にまさかの大倉くんのトロッコが停止して、じっとこちらを見た。実質数秒、体感にして永遠。それから少しだけ首を傾げ、ニッコリと花のように微笑んだ。あたり一面が一瞬にして刈り尽くされた。何だあのファンサは。全部全部分かった上で彼はああいうことをするんだ。私もギャーだかヒョーだか言ってしまっていたと思う。

マジで、10m以内くらいにいたんだよな……あんなん実質同クラになったみたいなもんじゃん……

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