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私が大倉忠義さんに二度の沼落ちをしたこと(後半)

※実在の人物について自分の考えや好みを語っております。人により受け入れ難い表現もあるかと思いますのでご注意ください。

※前回はこちら


 さて、ここにファン歴3年程度のeighterがいる。今回は、紆余曲折を経て、たまたま元からの知り合いが「最近好きになったから」とのことで、一緒に幕張メッセへ赴いていた。2021年12月24日。もしかしたら人生で一度きりかもしれないクリスマスイブ参戦である。

 私はあまり記憶力が良い方ではないため、ライブを見ても後から思い出せないことがよくある。そこで今回は対策として「着席してから開演まで、目を閉じ瞑想する」ことにより直前の情報量を減らしていた。変な人。お陰でこのライブは、以前参戦したものよりもやや鮮明に覚えている(気がする)。

 何はともあれ、最高のエンターテインメント空間であった。生で聴くRe:LIVEに泣き、ブリュレで悲鳴を上げそうになって咄嗟に息を吸い込み、幸運なことに通路側を引いたので通り掛かるトロッコを見上げ「あぁ空を仰ぐと神が見える……」と昇天しかけるなどして、人生で一番濃いクリスマスを過ごした。

 ところで私は漫画をよく読む。小説はずっとファンタジー系が好きだ。世界観にどっぷりと浸かり、手に汗を握る。その時、特定のキャラを気に入ることもあるが、大体はその時々に描写される人物に、かわるがわる、つど没入する。そうしていわゆる箱推しとなることが多い。

 何故この話をしたかというと、ちょうどそのライブでは、全員の全部があまりに良すぎて、エイトに対してそういう感情になりかけていたからである。

 eighterとはそもそも、関ジャニ∞を応援する人、ファンということであるはず。そして私も勿論そうだ。でも、在りし日の鑑賞会で、どことは分からないが大倉忠義に魅力を感じてから、ずっと彼を目で追ってきた。好きな色はパキッとしすぎない青とピンクだったが、そこに全く彩度の違う鮮やかな緑色が加わった。

 しかし、いかんせんエイトビは良すぎた。良すぎたのだ。久々に生のエイトを浴びた喜びも相まって、脳汁がドバドバ出ていた。

 夢のような時間、いや夢そのものの光景はあっという間に過ぎてゆき、気がつけばメンバー挨拶の時間であった。横山くんは2023年を迎えようとしていた。笑ってしまった。

 さざ波のように広がる戸惑いと笑いを汲んで「それくらい先を見据えてるんです」という旨のことを確か大倉くんが言っていた。私の自担はなんて場を読むのが上手いんだろう、そういうとこ一番好き♡とワクワクしながら、彼の次の言葉を待った。

 この時、私は改めて、ずっとずっと彼を推そうと固く誓ったのであった。

 マイクを通じて、推定1万人に向けて、でも到底そうは思えないほど静かな声で話す彼。どこを見てどんな表情をしているのか、肉眼では分からない。それでも私は生の彼を見つめ続けた。目が離せなかった。

 恐らく、あまりファンの前で見せてこなかったであろう彼の一面だったと思う。私はファン歴も浅い方だから実のところは分からない。しかし仮にそうではなかったとしても、彼の静かすぎる声とやや俯いた顔は、そう思わせるには充分だった。

 誤った箇所もあると思うが、以下のようなことを言っていたと記憶している。

 自分はずっとコンプレックスを抱えてやってきた。メンバーみんながすごくって一人一人が頼れる人で何でも出来る中、自分には何もない。ずっと背中を追いかけて何とかここまでやって来た。それはずっと思ってきたことだし、今でもそう思っている。


 真っ先に「何故」と思った。努力してキャリアも技術も積み上げてきて、何万もの人を魅了するひと。こんなにも輝く彼が、ずっとそう思ってきたことが信じられないような気がした。彼の経歴は知識として知ってはいたが、目の当たりにしてみてやっとその重さを少し知った。

 でもすぐに、それらがスッと自分に腹落ちして、あぁ、やっぱり私はこの人なんだと理解した。

 私は彼のことを尊敬している。まずここまで努力してきて、確かな地位を作り上げたこと。物事に向き合い続け進化していくところ。自身の活躍だけでなく、後進の育成にも全力であるところ。ファンという一枚岩ではない存在を慮り、どうしたら喜ばせられるか思案と行動をし続けるところ。尊敬出来るところを挙げればきりがない。

 そして単純に、人として魅力を感じずにはいられない存在だ。彼の一挙手一投足に、私は惹かれ続けている。はっきり言って盲目的で、とにかく最高!という状態だ。私は推し崇拝型のオタクである。

 今回、そんな彼の項垂れたような姿を目の当たりにして、ずっとずっと好きだと確信した。自分には何もないだなんて思いを抱えながら、それでもずっとアイドルで居続けて、輝く姿を私たちに見せていた。そんな痛ましくて不器用なところを晒け出されて、どうして心揺さぶられずにいられるだろうか。

 私にとって、雲の上の神様みたいだった人。その人は、コンプレックスに悩み、自分には何もないと苦しみながら、それでも歩み続けていた。

 そして、今まで神様みたいに仰ぎ見るだけだった彼が、自分には何もないと言ったことは救いだった。逆説的に、どんな人にだって、私にだって何かすごいものがあるんだと思った。

 私がこんなにも尊敬して大好きな、こんなにも沢山のものを持っている人が、まさか何も持っていないはずはない。現に私は既に多くのものを彼からもらった。それが証明となって、私が救われた。

 どこまでも人間で、痛みを感じながら生きていて、でも私にとっては奇跡のような、それこそ神様のような人。あなたがいたから、私は瑞々しく伸びやかに世界を見られています。

 彼が、私に対して何かしたつもりはないだろうから、お礼を言われるのも妙だろうけれど、それでも言いたい。ありがとう。生まれてくれてありがとう。アイドルとしてここまで来ることを選んで、その姿を見せ続け、あなたらしくあってくれてありがとう。

 あなたが幸せであれば私は何もいりません。私は、一生分の宝をあの日の幕張で得ました。何か一つボタンがかけ違えば、全く手に入らなかったかもしれない奇跡でした。

 どうか、あなたのこれからの人生も、喜びと幸せに満ちていますように。

 eighterでよかった!

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