夜更けて。

 あなたへ。

夜も 更けました。

少し前までなら あなたに 聴いてもらった話のあれこれ。
戻らぬ日々は いつのまにか 笑顔で手を振っています。

あまりに あの日が眩しくて あまりにあの日が愛しくて むしろ

今は こわくて近寄れぬ。

夢だったのかな わたし夢見てたかな。

答えのない問いに疲れて 落ちる。

こんな こころ しみる夜は 昔の母と父と姉たちと

暮らした田舎を思い出そう。

裏の木戸を抜けると 小さな山があって 地蔵堂がある、木枯らしが吹くと 木々がさわさわと 騒いで それでも こわくはなかったあの日々を。

星々が 手を伸ばせばとれそうだった。
テレビも無くて でも 退屈などしなかった

朝になれば 家の前の小川には セリが群生してて

日が差すと あおあおとした水が光った 。

ああ

こんな夜は 田舎の夜の静けさを 思い出すなあ。
もうすぐ  この町も 静かに 眠るんだ。


木枯らしが哭いては過ぎる山すそに寒くはないか鳥の親子よ







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