事故報告書は対策から考えよう

介護をやっているとあらゆる事故と隣り合わせだ。介護業界に一定の期間いる人であれば事故報告書を書いた事がないって人はいないはずだ。
今日はそんな事故報告書の話をしよう。
事故報告書で特に書くのが大変なのが“原因”と“対策”だと思う。
多くの人が「この転倒の原因はこう。だから対策はこう。」と考えるだろうと思う。
しかし、この様に事故の原因から考えては良い対策が出てきにくい。最初に考えるべきは原因ではなく、対策のほうだ。
たぶん意味が解らないと思う。この考え方は「イシューから始めよ(安宅和人著)」から来ているから詳しくは、その本を読んでほしい。
んで、何で対策から考えなければ良い対策が出てきにくいかと言うと「事故の原因なんか腐るほどあるから」だ。
腐るほどある原因には腐るほど対策がある。しかし、腐るほどある対策のなかに出来る対策は少ない。出来ない対策を立てても、それは対策とは言えない。
たとえば、転倒事故の原因を挙げるとすると「職員がそばにいなかった。」「床のゴミを拾おうとした。」「車イスのブレーキがかかってなかった。」「トイレに行こうとして立った。」「歩行時にフラつきがある。」等々、挙げればきりがない。
事故には色々な可能性があり、そこから引っ張り出すのは容易ではない。
そして、原因から対策を考えると無理な対策や出来ない対策になりやすい傾向がある。
たとえば「職員がそばにいなかった。」の対策は「見守りを怠らない」とか「歩行時は手引き介助にて誘導する。」とかに必然的になってしまう。たが、それが出来なかったから事故が起こったのだ。
だから、先ずは事故が起こった状況を精査し『出来る対策』を考える。
そもそも職員がそばにいる事の出来る環境か?と考える。
職員がそばにいることが出来ない環境であれば自ずと事故の対策は「歩行器やシルバーカーの導入」になり、その対策から「歩行時にフラつきがある。」と言う風に原因を引っ張り出せる。
また、よくある対策で「~しないように気を付ける。」と書く人がいる。
たしかに、その様な対策を書く人は「この人注意力がないな」と思う人である(笑)
しかし、気を付ける事が出来てないから事故を起こしたのである。
そんな自他共に認める注意力が無い人が気を付けられないだろう。
気を付ける事を対策にするのではなくて『気を付けなくてもいい方法』がいい対策なのである。
とにかく、何故その事故が起こったのか?を考えるよりも、どうやったら事故が防げるか?を考える。そうすることによって出来る対策があがってくるので、それに合わせた原因を当てると無意味で滑稽な事故報告書にはならない。



まぁ、でも書きたくないよね…事故報(笑)

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