見出し画像

無人航空機・ドローンの免許について

まず、無人航空機・ドローンを運用する場合、最も関りの深い法律は航空法です。
この記事では、その航空法(無人航空機・ドローンは100g以上の対象機)を前提に書いておりますので予めご了承ください。
※航空法上はOKでも他の法律ではNGのケースも多数ございますのでご留意ください。


ドローンを運用するには免許・国家資格が必須なんでしょ?

令和5年に無人航空機・ドローンの国家資格制度が施行され、このような質問や認識が広がっていますが、令和6年4月現在、無人航空機・ドローンを運用するうえで一部を除き必須となる資格・免許はありません。


国家資格制度があるのに免許がなくてもドローンを飛ばせるの?

航空法上、冒頭でご案内した通り一部の飛行を除き、国家資格の取得は必須ではありません。

語弊の無いよう補足しますと、資格や関わる許認可が必要な「レベル4=有人地帯での目視外飛行、カテゴリー3=立入管理措置を講じないで行う特定飛行」以外は、飛行する場所や状況に応じて、資格はなくても必要な飛行許可・承認を得ることで無人航空機・ドローンを飛行させることができます。

レベル4、カテゴリー3の飛行は、現時点ではかなり特殊な飛行に該当しますので、一般的に無人航空機・ドローンを運用する場合には必須ではないという意図で「一部を除いて必須ではない」と表現していますが、もちろんこれらに該当する場合は必須になりますのでご注意ください。

ちなみに、レベル4、カテゴリー3の飛行とは、例えば管理措置を講じずに有人地域上空を飛行させる場合(市街地の物流)などがこれに該当します。


なら国家資格制度の施行以降もこれまで通り運用していいの?

国家資格制度の施行に伴って、関連するルールもアップデートされています。
新たなルールを遵守すれば、国家資格は取得しなくても一般的な無人航空機・ドローンの運用は可能です。
ただし、ほとんどの場合これまで通り飛行許可・承認を得る必要があります。


「国家資格」と「飛行許可・承認」は別物です

無人航空機・ドローンに関するルールで混乱を招くのが、資格や免許、飛行許可などのルールや概念です。

車に例えると、国家資格=運転免許がイメージしやすいですが、車と無人航空機・ドローンのルールで大きく違う点は、公道などで車を運転する場合は、運転免許があれば可能です。

無人航空機・ドローンは、一部を除いて国家資格=免許がなくても、無人航空機・ドローンを飛行させることができる点です。

飛行させる場所や状況などに応じて、飛行許可・承認を得なければならないため、この制度が資格制度と誤認したり、混乱する大きな要因になっていると思われます。

つまり、国家資格飛行許可・承認という2つの制度がありますが、それぞれ全く別物であり、場合によって国家資格と飛行許可・承認の両方が必要になるケースもあります。


飛行許可・承認とは?

これまでも無人航空機・ドローンによって特定飛行をする場合は、飛行許可・承認を得なければなりませんでした。

特定飛行とは、空港周辺や150m以上の高度、人口集中地区(DID)上空など、飛行が制限されている区域で無人航空機・ドローンを飛行させる場合や、目視外、夜間、第三者またはその物件から30m未満、イベント上空、危険物の輸送、物件を投下するなどの飛行を行う場合などを指します。

上記の一部を除き、包括的に許可承認を申請できるため、いわゆる包括申請によって許可承認を得るのが一般的です。

許可承認期間は最長で1年に設定することができるため、期間終了前に必要に応じ更新手続きすることで延長することができます。
(更新手続きの際は、法改正などで変更となったルールに準じなければなりません)

この許可承認の取得を「免許」と誤認してるケースを多々見受けられますが、あくまで許可承認であって、無人航空機・ドローンの免許(車の免許のようなもの)ではありません。

無人航空機・ドローンを運用するほとんどの場合において必要となるのは、国家資格よりも、この飛行許可承認です。


国家資格と許可承認の関係

前述したとおり、無人航空機・ドローンを運用する場合は飛行許可承認が必要になりますが、国家資格は不要なのでしょうか。

飛行許可承認があれば、国家資格は不要なのでしょうか。
以下に国家資格を取得するメリットを列挙します。

  • 国家資格は無人航空機操縦者技能証明と呼ばれます。一等、二等の区分があり、一等無人航空機技能証明所持者はより高度な飛行が認められます。いずれも無人航空機・ドローンの操縦技術や無人航空機・ドローンを運用するうえで必要な知識を有していることを国が証明する制度なので、所持者の一定の信頼性が担保されます。

  • 操縦者技能証明を取得し、機体認証を受けた無人航空機・ドローンを使用する場合にかぎり、一部の特定飛行は飛行許可承認を得ずに無人航空機・ドローンを飛行させることができます。
    (特定飛行の残りの一部は飛行許可承認の取得が必要)

  • 「一等」操縦者技能証明所持者は、「第一種」機体認証を受けた無人航空機・ドローンを使用する場合にかぎり、現在最も高度なレベル4、カテゴリー3の飛行を行うことができます(併せて飛行許可の取得も必要)。

このように国家資格を取得することは一定のメリットがあります。
とはいえ、現時点では国家資格のみでできることは限定的であり、飛行許可承認の取得と並行して考える必要があります。


国家資格は無人航空機操縦者技能証明と機体認証はセット

国家資格イコール免許をイメージしますが、車に例えると免許はあっても車が無ければ道路を走れません。

車検期間が有効な車が必要ですが、無人航空機・ドローンも同じです。

操縦者技能証明が免許だとすれば、車検期間が有効な車が機体認証を受けた機体になります。

つまり、免許だけではなく飛行させる無人航空機・ドローンも、国が認証した機体が必要になります。

機体認証を受けていない機体を飛行させる場合、操縦者技能証明は所持していること以上でも以下でもありません。

このため、操縦者技能証明を有効に活用して無人航空機・ドローンを運用するには、機体認証を受けた機体を使用しなければなりません。


現時点で機体認証を受けた機体はごく少数

機体認証を受ける場合、主にメーカー等で取得する型式認証された機体と、そうでない機体では申請時の手間やコストが大幅に変わってきます。

型式認証を受けた機体の場合、少ない手間とコストで機体認証を受けることができますが、型式認証を受けていない機体の場合は多くの手間とコストがかかるため現実的ではありません。

このため、機体認証を受けている事例は現時点ではごく少数にとどまっています。


つまり、未だ操縦者技能証明を活用できる状況ではない

現時点では、操縦者技能証明は一定のステータスにはなるものの対応する機体が少ない為本格的に活用できるのは、ごく限られた一部の状況のみとなっています。

今後、型式認証を受けた機体がどんどんリリースされれば、機体認証も現実的となり、操縦者技能証明を有効活用できるようになりますが、まだその段階に至っていないのが実情です。


では国家資格は不要なの?

前述の通り操縦者技能証明所得者は、無人航空機・ドローンの操縦技術や無人航空機・ドローンを運用するうえで必要な知識を有し、かつ国家試験に合格している者であることが証明されます。

このため、無人航空機・ドローンを運用することについては、あまりメリットにはならないかもしれませんが、操縦者技能証明所得者の信頼性は揺るぎない大きなメリットになると考えられます。

機体認証を受けた機体が多くなるほど、その有効性は高まりますので、これをどう受け止めるかで要不要を検討する材料にしてみては如何でしょうか。


とはいえ飛行許可承認も、必要な知識と技術を有していなければいけません

無人航空機・ドローンを運用するうえで、国家資格は必須ではないにしても多くの場合で飛行許可承認は必要となります。

この許可承認は、必要な知識を有し、かつ規定の飛行実績を有する者でなければ得ることができません。

申請自体はだれでもできますが、必要な知識を有し、かつ規定の飛行実績を有する者であることが運用することを前提にしているものの、これを証明するものではありません。

仮に、必要な知識も習得していない、既定の飛行実績を満たしていない者などが基準をクリアしていると見せかけた虚偽の内容で、許可承認申請することは虚偽申請にあたりますのですべきではありません。

当然ですが必要な知識と技能を持った者を申請し運用する必要があります。
独学で関連知識を学び、操作技術を磨いても構いませんが、未経験者の場合はまず法律を学び、適切に無人航空機・ドローンの飛行実績を蓄積する必要があります。

これには国家資格講習や民間資格の講習受講が効果的です。


民間資格も有効な選択肢

国家資格制度の創設以前からの仕組みで、航空局のHP記載の講習団体による講習があります。

この講習団体で講習を受講し修了した者は、飛行許可申請時に優遇措置を受けれる制度が令和7年まで有効とされています。
※現在、新規の講習団体の受付は終了しているため今後新たにこの講習団体が増えることはありません。

航空局のHP記載の講習団体以外にも、民間の講習団体による民間資格が多数用意されています。

これらの講習は国家資格教習ではないものの、必要な知識や技能の習得には効果的です。
少なくとも独学で学ぶより場合に比べ効率よくスムーズに学習できます。

国家資格講習は受講後、国家試験を受験し合格し身体検査などをクリアしなければ操縦者技能証明は取得できず、一般的な民間市悪の取得より難易度が高く、全くの初心者が受講する場合は費用も比較的高額になります。

国家資格講習は、初学者と経験者向けのコースがありますが、経験者コースの受講資格が、民間資格講習の修了が条件となっているケースもあり、先に民間資格を取得することでトータルして、より短期間に低額で国家資格講習を受講できる場合もありますので、よほど質の悪い講習を除いて民間資格講習の受講は有益であると言えます。


まとめ

令和6年4月現在、一部の特殊な飛行を除き無人航空機・ドローンを運用するうえで必須な資格はありませんが、飛行許可承認が必要なケースが多々あります。

この飛行許可承認を申請する時点で、実務者は関連する法律や無人航空機・ドローンの操縦技術が基準に達していることが求められます。

このため、国家資格や民間資格の取得は有意義ですが、特に国家資格と飛行許可承認は似ていて異なるものであることに留意してください。

無人航空機・ドローンの講習に関するご相談は随時受け付けておりますので、エイトエアロテックの公式HPよりご連絡ください。


この記事が参加している募集

#仕事について話そう

110,122件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?