服薬をするときに

僕は毎日、薬を飲まないといけない。薬を飲まないと体内のウイルス量が増えてしまう。

今、僕の体のウイルス量は、検出限界値未満に抑えられている。けれど、それは治ったということではないから薬でウイルスをコントロールしないと、すぐにまたウイルスが増えてしまう。

HIVを抱えながら普通に仕事をしている人もいる。僕だって一応定職にはついていて、仕事をしている。たまに自分が障害者であることを忘れることもある。

「実は、僕、障害者なんだよね」と打ち明けた相手はいつも驚いて「そうは見えない」というくらいに普通に見えるのだけれど、普通とはやっぱり違うなと感じるのは”薬を飲んでいるとき”だ。

僕はピルケースを毎日持ち歩いていて、ピルケースの中に1週間分の薬を入れている。各ケースに曜日を割り当てて、その曜日にそのケースから薬を取り出して飲んでいく。毎週日曜日がきて、薬を飲んだら、来週分の薬の補充をする。

日曜日を超えて用事がある時は、一つのケースの中に2週分の薬を入れていく。

この文章を書いているときに8時がきてピルケースから薬を取り出して飲んだ。また薬を入れていく。

毎日、薬を飲んで、毎週、薬の補充をして。そのときに自分がHIVのキャリアであることを思い出してしまう。

他の時には思い出さないということは幸せなことだろうと思う。

けれど、自分が一生治らない病気を持っていること、自分が一生この病気と付き合っていかないといけないことを思って、少し憂鬱な気分になってしまう。


最近は憂鬱な気持ちともうまく付き合えるようになった。けれど、少しナイーブになったときや不安になったときに僕はその気分をうまく扱えないようになってしまう。

いま服薬治療3年目。それでもまだまだ乗り越えられない壁や不安がある。

同じHIVキャリアの人たちはどういう風にそれを乗り越えているのだろうか。

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