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今はなき「ボルヴィック」の「1ℓ for 10ℓ」プログラムは最近話題のSDGs最先端だった!?

皆さんは10数年前のVolvicのあのCMを覚えていますでしょうか?
私は覚えています。
私は当時学生でしたが「1リットルの水が10リットルになるって、増えるってどういうことだよw」とCMだけを見て判断していました。
大人になった今、当時のプログラムをふりかえると、最近話題になっているSDGsの文脈に沿った素晴らしい取り組みだったことがわかりました。つまり言葉を選ばずにいうと、今やってたらもっとバズってたんじゃないかなと。。。思いました。

今回はそんなボルヴィックとユニセフの「1ℓ for 10ℓ」プログラムについて、調べたことを備忘録として残したいと思います。
記事の最後では、マーケティングの観点も踏まえた考察も行っております。皆さんのご意見もいただけると幸いです。視点を広げ、さらに理解を深めたいと思っています。

そもそも「ボルヴィック」とは?

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フランス生まれのミネラルウォーターで、日本においてはキリンビバレッジにより、2003年2月より「ボルヴィック」の販売を開始しております。
ところが製造委託契約終了に伴い、輸入ミネラルウォーターブランド「ボルヴィック」について、2020年末をもって出荷を終了すると発表しました。
ということで現在は販売されていない商品です。

物語の主人公がすでに死んでいることが冒頭で発表されてしまう、大変読みづらい記事で恐縮です。。。

日本のミネラルウォーター市場は成熟市場のため、メーカーは自社商品を手に取ってもらうため差別化が必須になっております。ただし中身は水なので、自動車メーカーのような機能押しなど商品のスペックによる差別化は難しい状況です。正直に言ってしまえば大差はないです。

そこで「ボルヴィック」は「1ℓ for 10ℓ」プログラムの実施によるストーリーづくりによって差別化を成功させました。これにより「ボルヴィック」は他社が真似できない唯一無二の商品となることができました。

「1ℓ for 10ℓ」プログラムとは?

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「1ℓ for 10ℓ」プログラムは、世界の水に関わる重要課題に取り組んでいくため、ボルヴィックとユニセフが2005年から共同で取り組んでいるプログラムです。プログラムは2005年のドイツから始まり、2006年にはフランスでも展開され、2007年より日本での実施に至りました。
(引用元:https://www.kirin.co.jp/company/news/2016/0407_03.html)

単純に水を送るわけではなく、収益の中から下記のような取り組みを行っておりました。
 ①井戸などの給水施設の建設
 ②導入機器のメンテナンス保証
 ③現地住民への教育
①~③の実現により、今まで何時間も費やしていた水汲みが不要になり、空いた時間に子供たちは学校へ通うことができます。
メンテナンスの教育により、給水施設自体も導入以降は支援の手を借りずに自走することができます。

持続可能なシステムごと寄付することができる素晴らしい取り組みですよね。10ℓどころか∞ℓになってますよ。。。

マーケティングの観点から考察

商品の売れ方にはコトラー先生の「マーケティング4.0」でもあるように4段階があると言われています。
はじめは安く作れば売れるという売り手主導だった(1.0)のが、買い手主導に切り替わり機能の違い(2.0)で人々は選ぶようになります。技術の進歩により機能差もなくなってくると、商品価値だけでは推し量れない段階になります。企業は社会的責任をメッセージ化し、消費者は企業価値を図る(3.0)ようになります。そして最終的な段階においては「消費者自身を満たすこと」が必要になります(4.0)。
おそらくミネラルウォーター業界は当時3.0の段階を迎えていたでしょう。そこでボルヴィックは、社会貢献活動という切り口で差別化に成功しました。
ただ一方で「自分が水を購入する=マリ共和国の人を救える」というストーリーを打ち出したという意味では、4.0と捉えることもできると感じました。

最後に

タイトルに書いた以上、SDGsに絡めたことも言わないといけないので、最後に申し訳程度に記載します。
「1ℓ for 10ℓ」プログラムは、貧困地域の救済、安全な水の提供による健康推進、教育による自立支援と、SDGsにおける多くの目標に当てはまる素晴らしい取り組みだと感じました。
それを15年も前に行っていたなんて驚愕です。。。

普段コンビニなどで手に取る商品、私自身がそれを手に取った背景には壮大なストーリーがあると想像すると、何気ない買い物もより楽しくなりそうじゃないですか?
SDGsも含めて、商品を選ぶ際の判断基準はより複雑になってきます。
消費者側は自分の欲求を満たすだけでなく、視座高く思考し購買行動を行う必要があります。また企業側はそういった消費者のお眼鏡に叶う商品企画、取り組みを行う必要があります。

購買行動がとても高度化して、大きな変化が生まれるチャンスがあると思うので、その変化が地球で発生している様々な問題の解決につながっていくことを願っています。

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