投資講座第7回「不動産投資ってホントに儲かるの?(前編)」
不動産投資は投資の定番
さて、ここまで主に投資信託や株式を用いた投資について私の実例や実際の金額をお示ししながらお話してきましたが、やはり不動産投資についても語っておかねばなりますまい。株式が投資の「王道」であるなら、不動産は投資の「定番」とも言えるからです。かく言う私も、現在投資から得ている収入の大半は不動産によるものです。
株式投資の場合、株式で保有している資産に対する配当収入(配当利回り)は、株価にもよりますが、だいたい3%以下(本日時点での日経平均予想配当利回りは約2%)にとどまるのに対して、不動産投資では一般的には7〜8%程度(区分マンションの場合。健美家「2021年7〜9月期レポート」より)と比較的高利回りで、もちろん成功した場合はその数倍の驚異的な利回りを叩き出すことがありえる一方で、不動産価格は株価のように日々変動しない点が特徴です。つまり、一般的に投資額に対して大きなインカムゲイン(資産が定期的に生み出す収入)が得られ、資産価格が比較的安定するのが不動産投資の魅力です。例えば、毎年200万円程度の副収入を得ようと思えば、株式投資であれば約1億円分の株式を持つ必要があるかもしれませんが、不動産投資であれば2,000万〜3,000万円程度の物件でその利回りを達成できるかもしれないわけです。
なぜ、そのような高利回りが得られるか?あくまで私個人の捉え方ですけど、説明してみますね。
株式の場合、まずその会社の売上から様々な経費を差し引いてさらに税金まで引いて残った純利益から、一部を配当として株主に還元し、残りは会社に「内部留保」として留めて未来の投資や出費への備え(または会社の価値向上の裏付け)とするわけです。
図1.株式投資における利益分配のイメージ
一方、不動産の場合、売上(家賃収入)から経費を差し引いて残った手取りは一旦全てオーナーのものになるのです。
図2.不動産投資における利益のイメージ
よって、当然ながら将来物件を増やすための資金や修繕のための備えはそこから捻出しなければならないわけですが、そのお金を誰か他の経営者に任せるのか、全て自ら使いみちを決めるのかという違いだと考えたら良いでしょう。
不動産投資は投資というよりビジネス
先程の説明を読まれたら、勘の良い方なら、
「それじゃ、不動産投資って、自分で社長になるようなものじゃん」
と思われたかと思いますが、まさにその通りだと思っています。不動産投資は、投資と名が付いていますけど、実態はビジネスです。自分で起業したり、誰かが始めた商売を丸ごと買い取ったりようなものだと思っています。だから、個人商店や小さな会社が社長の経営手腕で浮沈が決まるように、不動産投資もオーナーの目利きや方針、実行力次第で稼ぎは千差万別になってしまいます。株式投資と比べると、自分で決断して行動することがリターンに与える影響が圧倒的に大きいのです。
不動産投資といえば、よく「土地転がし」と呼ばれるような次から次へと転売していく儲け方や、昔からの地主さんがアパートやマンションを建てて左団扇で暮らすようなのを想像される方がおられますが、そんなのが成立したのは、日本の人口がどんどん増えてどこの地方でも密集が進み、経済が右肩上がりで成長し、自然と地価が上がり続けていた不動産にとっての黄金時代の話です。
周りをよく観察してみてください。
空き家や空室だらけのアパートがゴロゴロしてる地域がありませんか?
この空室問題は地方では都市部であっても深刻になっている地域もあり、地価の下落の原因にもなっています。今は何も考えずに土地を買っても地価の下落で損をするだけですし、左団扇でやっていては空室が埋まりません。お金があっても土地があっても楽に不動産投資なんてやっていけない時代なんです。
とはいえ、土地や建物を貸すビジネスというのは、人類が株式を発明するよりはるかに昔から存在していた鉄板のビジネスモデルであり、世界の歴史を見れば、現代の日本なんて比較にならないほどの人口減少や経済衰退があったのに世界中のどこにでも存在するような手堅い商売でもあります。工夫次第では比較的リスクを抑えて安定したリターンを生むことができます。また、実際にやってみて気が付きましたが、かつての黄金時代のやり方から抜け出せない高齢大家さんや、それを引き継いだだけのやる気のない二代目大家さんが多い業界だからこそ、ちょっとしたアイディアで彼らの何倍ものリターンを生み出すことも可能です。それは全て、不動産投資はビジネスだからです。
そして、貯金ゼロから投資を始めた私が不動産投資をしているということは、それほど大きな資金を持たなくても始められる方法というものがあるわけですから、まずはありがちな投資話の吟味から始め、そして比較的小さな不動産投資のやり方までを解説してみたいと思います。
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