古書店と古本屋

夫に誘われて、古書店フェアに行った。
近郊の古書店がそれぞれ1テーブル分の商品を並べる。それぞれの店のカラーが出ていて面白い。

「このお店の本、どれも興味をくすぐられるなぁ」という棚もあった。1冊100円から売っているものもあるが、されど100円。
いわば、興味度が50点のものが100円で売っているとして、興味度50点のものは10冊も20冊もある。切り詰めているニートにとって千円単位の出費は痛い。「これは買いだ」と手に取り始めたらきりがなくなってしまう。(そして、家や図書館で待ち受けている興味度60点、70点のものに追いやられて積読になってしまうのも目に見えている。)

けっきょく「どれも気になるけど、どれも買えない」ままに古書店フェアを後にした。


帰り道に、本を売るためにブックオフに寄った。
ついでに棚を物色していると、前々から「見かけたら買おう」と思っていた本が2冊見つかった。
合わせて600円。
私はそれらの本をためらいなくレジに持っていった。


なんとなく、日頃はなるべく大手のチェーンよりも個人商店で買い物をしたいと思っている。個人事業者が豊かに生活していける社会が理想的だと思うからだ。
しかし今回に関してはものの見事に、店主のセンス溢れる選書が並ぶ古書店フェアでの「ここにしかない出会い」よりも、「欲しかったものがすぐに手軽に手に入る大手の物量」に軍牌が上がってしまった。

…この1回きりの出来事をもって「資本主義に対する敗北」とまで言わなくても良いとは思うのだが、しかし一戦一敗した気持ちは残る。欲しいものを手頃な価格で手に入れた私が負けた気持ちになるのはおかしな話だが。

というかそもそも、私は「古書店」というものにまだ馴染んでないんだと思う。「中古屋」が好きでも、「古書店」はまた別種のものな気がする。

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