逆噴射小説大賞2024ライナーノーツ

 世界が HALLOWEEN に浮かれる中、MEXICO の荒野では CORONA を巡る過酷な戦い、逆噴射小説大賞2024 が開催されました。
 今回はなんと、330 を超える弾丸が油断ならぬパルプスリンガーたちから放たれました。
 本記事では、景山の撃った 2 発についてのライナーノーツを記します。

1. グレート・ウォール興亡記 IV: ヴォイドの渚

 蛮族 × スペースオペラ。生贄ヒャッハー系の BANZOKU が宇宙戦艦でワープしてカチコミをかける。ワープは科学だけの特権じゃないんだぜ!

 「高度に発展した科学は魔法と区別がつかない」とアーサー・C・クラークは言っています。実際、SF とファンタジーの境目というのは曖昧なものです。「手から火を出す男」が魔法使いならファンタジーですし、脳を改造されたミュータントなら SF のくくりに入るでしょう。
 それでも、明らかに「科学っぽい」ものと「ファンタジーっぽい」ものというのは存在します。
 例えば、宇宙戦艦がワープするのはものすごく SF っぽく、呪文を唱えると生贄がばくはつするのはとてもファンタジーっぽい。共に、現代の人類には不可能な絵空事であるにもかかわらず!
 なので、それらを融合させました。結果として、絵面の奇天烈さによるおかしみが生じたのではないかと思います。

2. 時計台の猟犬

 二人の真の男が悪い連中をなぎ倒すダークファンタジー。銃と刀が嫌いな男の子はいない!

 本作で目指したのは、「主人公たちのキャラを立てる」ことでした。逆噴射小説大賞、あるいはパルプの基礎に立ち返ったテーマです。
 コンセプトとしては年の差バディものです。若く直情的なガンスリンガーと、壮年の冷徹な剣士のコンビです。二人のキャラをいかにミニマルに、しかしはっきりと表現するか、という試行錯誤の結果が、終盤のやりとりです。

 青年は目を見開いた。間に合わなかった――!
「間に合ったな」壮年の方が言った。「召喚の儀式はまだ果たされておらぬ」

 ガンスリンガーは生贄の少年を助けられなかったことを悔やむ一方、剣士は邪神召喚が完了していないことに安堵します。正義に対するスタンスの違いを端的に表現できたのではないかと思っています。 

 ちなみに、本作は拙著「魔道士と遡言者」の続きのつもりです。もちろん本作のみで独立した作品として作っていますが、よろしければこちらもどうぞ。宣伝でした。

未来へ……

 今年も楽しく、しかし本気で CORONA を射抜くべく参加させていただきました。荒野をさすらう全てのパルプスリンガーに幸あれ――

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