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レンズレビュー:Xマウントで使ったことがあるレンズ・おすすめレンズなど

(※2021/05/02 xf90mmの項目を追記)

①前置き



今回は色んなレンズの一言二言のレビューまとめ記事。
実は既に9割書き終えたとあるレンズのレビュー記事があり、そこで紹介する筈だったレンズがあるのだが、新xf27mmとの焦点距離被りを理由に先日売却してまった。称賛しながら手放すのは説得力に欠ける気がして、残ったこの記事をどうしようかと悩み、結局お蔵入りにして代わりに色んなレンズのほんの少しの感想を書き残す記事で茶を濁そうと思うに至った。

レンズの良し悪しとはかなり主観的だとわたしは思う。良くない言い方だが数多の高級レンズを見てきた人の「このレンズは良い」と撒き餌レンズとキットレンズしか使ったことが無い人の「このレンズは良い」では言葉の重みが違いすぎる。金銭感覚も違うだろう。
また、書き手の使用用途によっても、ある人はこれで十分だと思っていてもある人にとっては不十分ということが多々ある。例えばストリートスナップではパンフォーカスでの撮影が一般的でボケ質はあまり重要視されないが、花やモノ撮りに使うマクロレンズでは重要視されたりする。ポートレート、特に女性を被写体とした写真では解像力やコントラストがあまり重要視されず、劣っていてもむしろいい雰囲気を出すと評されがちだ。
またボケ質やフレアなどは、良し悪しとは別に好き嫌いという評価軸もある。最近のインスタグラムなどではゴーストやフレアがよく出る写真が”エモい”と好まれている。一方でメーカーが発売するレンズは高価で最新型になるほどゴーストやフレアは抑えられている。要はメーカーとしては悪いものとして捉えられているのだ。

そういう意味で、多種多様な価値観の元でレンズのレビューを参考に新しいレンズを購入するのはなかなかハードルが高い。
そこでこの記事は「Aのレンズをこう評価する人間がBのレンズをこう評価している」という、一人の人間が一貫した物の見方で評価し、少し参考になりそうな記事にした。誰かの参考になったら嬉しい。

②レンズたちの一言二言印象


☆=個人的評価。最大☆5。


1.laowa 4mm f2.8 circular fisheye ☆☆


なんとフルサイズ換算約6mmの円周魚眼レンズ。(※円周魚眼とは、センサー内にイメージサークルが収まる魚眼レンズ。イメージサークル内にセンサーが収まる魚眼は対角魚眼と言う)
丸い写真が撮れてとても面白いのだが、いかんせん4mm(画角=210度)は扱いづらいと感じた。X-E3などグリップが小さいボディで持ち方を工夫しないと手が写り込むので、構図を考えながら自分の足や周囲の人を写さないようにする事がとても難しい。キワモノレンズは好きだがさすがに扱いが難しすぎると思い売却した。
作例:

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2.laowa 9mm f2.8 ZERO-D ☆☆☆☆☆

とても良い。収差が少なく解像良し色のりも良し。フィルターも使えるしなにより小さくて軽い。強いて欠点を挙げるなら電子接点が無いためExif情報が残らない事と、若干高価な事か。周辺減光とフレアもエゲツない(これは好みの問題だが)
それ以外の点に於いてはとても優れたレンズだ。MFレンズだがこの画角では9割9分の写真は無限遠・F5.6で問題ない。これとxf16-80やxf18-135などの便利ズームとの組み合わせは旅行にピッタリなペアとしておすすめだ。
→紹介記事
作例:(2枚目はISO12800なのでノイズの多さは見逃して欲しい)

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3.xf23mm f2 r wr ☆☆


Xマウントでも指折りの人気であろう一本。軽くて小さくてAF速くて防塵防滴でそこそこ寄れてそこそこ明るい。
別売りのフードと併せてレンジファインダーライクなデザイン。実際、先細り型の鏡胴はProシリーズのOVFでケラレにくいというメリットがある。
個人的な感想を言えばカタログスペックは良いが実際の質は悪い典型例のレンズという印象。解像力に優れるわけでもなく、特に開放接写時にかなりソフトフォーカス(=滲み)になるのは致命的だ。改善するにはF4まで絞る必要があり、ボケ質は悪くないのにボカした写真が撮りづらい。それと強い日光下でのコントラスト低下が起きやすいような気がする。リーズナブルだが所詮値段なりの写りという印象だ。xf27mmに比べたらそれほどコンパクトでもない。
初期のレンズ群や大口径シリーズと比較して23mmF2などの"F2シリーズ"は色が良くのりコントラストがハッキリしやすいという特徴がある。これも好みが分かれるところだろう。
作例:

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4.xf23mm f1.4 r ☆☆☆☆

良い。
カタログスペックでは寄れなかったりafが遅かったり重かったりf2の方に劣るように見えるが、吐き出す透明感のある繊細な絵作りには目を見張るものがある。大口径レンズ故、開放だと少々甘いがf2.8まで絞るとこのレンズの良さ、非常に繊細な絵作りがよく表れる。その時の絵がわたしはとても好みだ。少々お高いが値段以上の写りはあるのでレンタルでも試してみてほしい。
ただ、短所としてフォーカスクラッチが使いづらいこと、ボケが硬く玉ボケは輪郭が出やすいことが挙げられ、特にボケ質については実際に使ってみると目立つかもしれない。寄れないことも結構痛い。
作例:

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4.xf27mm r wr 未評価


Xマウント最小最軽量レンズ。最小最軽量ボディであるEシリーズと組み合わせるとちょっとしたコンデジになる(あくまでコンデジ風でありX100Vはじめコンデジにはコンパクト性に一歩劣るが)
買ったばかりというか発売されたばかりなので画質についてはあまり言えない。とにかく軽くてコンデジ感覚で持ち歩ける。EやProシリーズならコンデジ用の小さめのポーチにも収まる。
絞りリングが適度に硬くて好感。どうせパンフォーカスでストリートスナップフォトに使うと思うので絞りオートにしてロックをかけても良いかもしれない。
短所は、防塵防滴故かマウントが硬く、持つ部分の殆どがリングなので付け外しの際に壊しそうで怖い思いをすること、寄れない故にモノ撮りではあまり使えなさそうかつ、開放F値が高いのでボカした写真が撮りにくいことか。
xf23mmf1.4から置き換えたが、さすがに写りは雲泥の差だった(悪い意味で)

5.touit32mm f1.8 ☆☆☆☆☆

神。
カールツァイスの名は伊達じゃない。
Xマウントで一番人気であろうxf35mmf1.4と比較されがちだが、それと比べると最短撮影距離と開放f値で劣っている。が、画質を担保に敢えて寄れず、暗くしたとも取れると思えるほど写りが優れている。xf35mmは絞り開放では良く言えば"ふんわりとした描写"、悪く言えば"甘い描写"なのに対して、こちらは開放から極めて高い解像度があり、色のりもとても良い。いわゆるマイクロコントラスト(=ピント際の階調表現)に優れていて、被写体が浮き出る。本当に。

よくxf35mmは全群繰り出し式フォーカス故にAFは遅いが画質が良いという評価を散見するが、こちらも典型的なダブルガウス構成の全群繰り出し式である。(こちらもAFは遅い)
短所といえば、ボケ質が特徴的でかなり好みが分かれるタイプのものであること、口径食が出やすい事、解像しすぎて柔らかい雰囲気の写真が苦手なこと、リングがゴム製なのでチリや埃が付きやすいこと。純正ではないのでレンタルなども出来ず、レビューも少ないため購入には勇気がいるかもしれないが、背中を押したい。

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↑特徴的なボケ質

6.xf50mm f2 ☆☆☆

ちょっと使ってすぐ売ってしまった。レンズレビューサイトなどでは解像度の検証などで好成績を出し評価されているようだが、正直「当たり障りの無いレンズ」だと思ってしまった。軽くて小さくて防塵防滴でそこそこ寄れる。それ以上でもそれ以下でもない。ボケ質も可もなく不可もない感じ。口径食は出る。個人的には60mmf2.4の陰に隠れがちだと思った。f2シリーズの中では一番の優等生、らしい。
作例:無し

7.Kamlan50mm f1.1 ⅱ☆☆☆

kamlan製レンズ。ⅰ型の方はお世辞にも工作精度やレンズの写りが褒められるものではなかったようだが、ⅱ型ではかなり改善されていて低価格xfレンズと張り合える性能。絞り羽根11枚でボケが綺麗かつ口径食が出にくいことがウリ。絞り開放はさすがに収差が目立つものの絞り込めばだいぶマシになるし、出やすいゴーストはレンズフードを長くすれば改善できる。f1.1で普通に使えるレンズが3万円を切るというコスパの良さは魅力的。
一方でMFレンズだがxfレンズ群とフォーカスリング・絞りリングの回す向きが逆で操作性が悪いこと、豊富なフジノンの高価格ラインナップレンズと比べると流石に見劣りする写り(値段を考慮すれば十分すぎるし、コスパでは勝る)であることが短所として挙げられる。あと、f値の明るさ故仕方ないが重い。
→紹介記事
作例:

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8.xf60mm f2.4 r ☆☆☆☆

良い。よく解像し、マクロレンズ故に寄れる。マクロレンズという名の割に最大撮影倍率は0.5倍に留まっているが、ワーキングディスタンス(=被写体からレンズ先端までの距離)を考えればこれで十分だ。
更にボケが綺麗で滑らかに溶けるような風味。口径食も比較的出にくい。その上軽い。
軽くて寄れてボケが綺麗で解像するなんて、最高ではないか!と思うかもしれないが唯一にして大きな弱点は致命的なほどにAFが遅く精度が悪いこと。
「ジジジ……ジジ…」と大きな音を立てながら前玉を動かす様子は愛嬌すら感じさせる。X-trance4世代からはだいぶマシになったものの、やはりサッと取り出してすぐ撮るのは難しい。MFでしっかりピントを合わせるレンズだ。
作例:

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9.xf90mm f2 r wr ☆☆☆☆☆

紛うことなき神レンズ。描写に関しては非の打ち所がない。パーフェクト。開放から解像力に優れ、収差も無くボケもキレイ。口径食もない。色乗りもとてもいい。そして防塵防滴でAFも速い。完璧すぎて書けることがない。Xマウントの単焦点レンズの中では一番の描写と言っても過言ではないと思う。
短所を強いてあげるなら、焦点距離の長さ故に扱いが難しいこと(35mmや50mmの距離感で使うと日の丸構図後ろボケボケ写真になりがち、花やポートレートを撮らない人だと使いみちが少ないだろう。)xf単焦点レンズの中では高価で重いことぐらいか(しかし、払う価値のある最高のレンズだということは確実に言える)

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10.xf18-55mm f2.8-4 r lm ois  ☆

ここからはズームレンズ編。わたしが最初に買ったX-E3にキットとして同梱されていたのがこれで、レビューサイトなどでも他社キットレンズ相当と比べるとかなり良い写りと評されている。わたしも最初はこのレンズの写りに満足していたが、色々なレンズを使っていくうちに評価が崩れ、所詮"キットレンズにしては"写りが良いレンズという印象になった。23-35mm辺りはそれなりに使える写りだがそれ以外の特に望遠側はお世辞にも褒められたものではない。寄れない故に開放F値の明るさがシャッタースピード稼ぎにしかならない事も痛手。軽いとは言うがこれなら単焦点をつけた方が良いと思ってしまう。器用貧乏なレンズ。

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↑望遠端。ザラザラしている。


11.xf16-80mm f4 r ois wr ☆☆☆☆

おすすめ。ズームは所詮ズーム、そう思っている人にこそオススメしたいズームレンズ。
防塵防滴と6段の手ぶれ補正と16mm始まりの5倍ズーム。最大撮影倍率は望遠端で0.25倍。ズームレンズの良いところを詰め込んでとにかく便利さに特化したレンズ。
6段補正とはどのくらいかと言うと頑張ればシャッタースピード1/2が止まる。もっと頑張れば1/1も止まる。

画質は、18-55とは反対に広角端の描写が犠牲になっている。個人的には中望遠域の描写が18-55よりかなり良いのでそれだけでも満足だ。ズーム倍率が高い方が描写が破綻しやすいというイメージはあるかもしれないが、逆に考えれは望遠端や広角端を除いた"美味しい領域"が広いということだ。設計が新しいこともあって少なくとも全体を通して18-55よりワンランク上の画質はある(広角端は18-55並みかもしれない)
X-T4などIBIS搭載ボディでは6段手ぶれ補正のうまみが薄いので、もう少しお金を出して16-55mmf2.8を買った方がコスパが良さそうだと思う。それと6段補正はシャッタースピードを稼げるが、被写体ブレは防げないことに注意
作例:

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この下2枚は光量が取れない場所での作例。1枚目はss1/6、2枚目はss1/1。

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12.xf55-200 r lm ois ☆

Xマウントの望遠ズームは何本かあるがこれは中の下くらいのポジション。200mmの画角で撮れることは強みだが、望遠端の解像はあまり良くないし、色乗りも悪い。それと全長が長いお陰で実際の重さより重く感じる。首から下げて歩いていると鏡胴が伸びるのも使いづらさを感じる。
つい最近xf70-300mmが発売され、そちらがほぼ上位互換みたいな性能らしくフォーカスロック・テレコン対応などてんこ盛りで画質についても評価が高いようなので、お財布に余裕がある人はxf70-300を買った方が幸せになれるだろう。

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以上。また購入したら追記するかもしれない。

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