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レンズレビュー:Kamlan 50mm f1.1 ⅱ


1.はじめに

購入してしばらく使ってみたのでレビューしてみようと思う。

kamlan 50mm f1.1 ⅱは2020年10月時点で28000円程で買えるいわゆる「中華レンズ」だ。一昔前では中国系メーカーのレンズは工作精度や描写の面で、安かろう悪かろうという印象があったようだが、近年はマウント純正レンズに引けを取らない描写のレンズも増えてきている。

流石にAF対応のレンズは少ないが、ミラーレスではフォーカスピーキングなどの機能を使えばMFも難しくはないし、その分安価なのでダメ元で試してみるのも簡単だ。
しかも、純正レンズではオール4点の無難で安心して使える性能のレンズが多いのに対して、中国系メーカーのレンズは特定の分野に特化させる事で純正との棲み分けを狙っているものも多い。故にみんな個性的で使うのが楽しい。そして繰り返すがなにより安い。これがレンズ沼である。

以前laowaの超広角レンズのレビューをして、超広角、高機動力という点に特化しているというお話を書いたのだが、今回紹介するレンズはボケとコスパに特化した実用性ばっちりのレンズだ。2020年12月現在、EF-Mマウント、Eマウント、Xマウント、MFTマウントでリリースされているようだが、例の如くわたしはXマウントユーザーなので、X-Pro3で使用したレビューになる。

2.軽くスペック

重量:563g
絞り羽根枚数:11枚
最短撮影距離:約50cm(メーカー公称は40cmとなっているが、なぜか前玉から計測した距離になっている。他レンズと同じようにセンサー面からの距離だと大体50cmほど。ちなみに、フォーカスは前玉繰り出し方式なので全長が変わる。)
フィルター径:62mm(付属レンズフードに72mmのねじ山有り)

3.このレンズの尖っているところ

・とにかくボケ。絞り羽根11枚であるため絞っても玉ボケがカクカクになりにくい。それとイメージサークルがAPS-Cより大きめに作ってあるようで口径食が出にくい。ついでに周辺減光も出にくい。あとやはりf1.1はボケ量がすごい。

・解像度もまぁまぁ。開放では流石に甘い(良く言えば"ふんわりとした描写")
f1.4まで絞ると被写界深度も含めて実用の範囲内に。f2まで絞るとしっかり解像する。

・欠点は重い事、逆光耐性の無さ、軸上色収差(フリンジ)、絞りリングのクリック感がない、絞りとフォーカスリングの回す向きがフジノンと逆である事。
逆光下ではフレアと、凄まじいゴーストが発生してファインダーが真っ白になるが、サードパーティ製レンズフードを付けるとゴーストは改善する。付属フードの先端に72mmの溝があるので、わたしはそこにHAKUBAのレンズフードを取り付けた。付属フードは、焦点距離とレンズ口径の割に小さすぎるようだ。

ボケに特化したそこそこの性能のMFレンズ。その上めちゃくちゃに安い。

ふと、先日発売されたとあるレンズを思い出す。フジノンレンズのXF50mmF1.0だ。あちらは絞り羽根9枚、最短撮影距離70cm、口径食も出る。値段は約6倍。重さは1.5倍。圧倒的にこちらが勝っているではないか。

いや、実際にはこちらのレンズにはAFがないし(特に開放での接写時は被写界深度が薄すぎて描写が甘いのかピントが合っていないのか分かりづらくMFでピントを合わせるのが難しい)防塵防滴も無いし、Exifに情報が残らない。逆光耐性も悪い。そう言った面では流石に劣っているのだが、極論言っちゃえばAFも防塵防滴もExifも描写には関係ないし、レンズフレアは好きな人は好きなものだ。レンズフードを延長することで大分改善できるし。コスパで言えばkamlanのレンズに圧倒的に分がある。
そんなようなことを、いつもわたしが参考にさせてもらっているサイト、フォトヨドバシでも書かれている。xf50mmのことは一言も書かれてはいないが、この時期にその記事を公開することの意図を勘繰ってしまう(あくまで個人の勝手な妄想だが)

とにかく安価だしレンズフードを取り付ければ描写に(悪い意味で)癖があるレンズでもないので、純正ではとても手が出ない大口径レンズの世界を試してみたい方は買ってみて欲しい。

4.ちょっとした作例


(尚、作例はすべてCapture One にて現像)

これだけ写れば十分じゃないかな、と思う。これで3万円弱で開放f値1.1だからね。

フレア、ゴーストの図。エモいからオールOK。

そこそこ離れて撮っていても、f1.1なのでしっかりボケている…が、バラの右の蕾に水色と紫のものすごいフリンジが出ている。

続いて紅葉編

お利口さんな写真を何枚か。
開放F値1.1は木に付いた葉っぱなど少し離れたものでもしっかり被写界深度を浅くできるので便利だ(尤も、解像力とのトレードオフになっている感じが否めないが)

レンズフードを外して、盛大にゴーストを出してみた。これまでの写真とは打って変わって印象的な絵を出すやんちゃなレンズになる。1本で二度美味しい。まるで表では清楚ぶってるけどオフでは・・・、いや、その例えはやめておこう。

とりあえずこんなところ(いい写真撮れたら追記する)


5.まとめ


表の顔はコスパ最強ボケ特化型レンズ、裏の顔はやんちゃなオールドレンズ的レンズ

このレンズは逆光耐性とフリンジが大きな弱点たが、純正レンズフードの先のフィルター溝にサードパーティ製レンズフードを取り付ける事で、逆光耐性については大きく改善できる。逆に言えばレンズフードを外せばゴーストやフレアを意図的に出せる。よって安くて写りが良いお利口さんな一面と、ゴーストやフレアが盛大に出て印象的な絵を出すやんちゃなレンズの一面、二つの面を併せ持っていると言えると思う。

レンズフードは、わたしはハクバ製のものを使用しているが付属のものに更に2つまでケラれないで付けられる事を確認している。伸ばせば伸ばすほど取り回しが悪くなるので逆光耐性との兼ね合いを自分で調整してみると良い。
レンズ自体開放f値1.1で寄れないわけでも無いため、非常に汎用性は高い(最大撮影倍率はフジノンで言うと xf56mmf1.2 以上 xf50mmf2 以下程度と言ったところか)

もう一つ、短所の話だがこのレンズは他のフジノンの単焦点レンズと比べると少々重い。
中堅クラスのズームレンズほどの重さはある。尤も、f値というのは焦点距離と有効口径の比の事なので、最大f値が低いレンズ=大口径レンズであり、f1.1のレンズが多少重くなるのは仕方がないことなのだが。
先程書いた延長レンズフードと合わせると結構な大きさ・重さになる。軽量レンズをいっぱい持ち歩きたい人は買う前に慎重に検討したほうが良いように思う(そういう人にはxf50mmf2の方が合っているかもしれない。描写は全く違う性格だが)

是非試してみて欲しい。

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