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APO-LANTHARの話、あと色んな話

書きたいことがいっぱいある。けど記事一つにするまでもない話。

■APO-LANTHAR 50mm

「Voigtlander APO- LANTHAR 50mm F2 Aspherical」を買ってしまった。このレンズは説明するまでもない、高い技術力を持つレンズメーカーとして有名なコシナ社が創業60年を記念して発売したとにかく非常に質の高いレンズだ。
実は5月のZマウント版発売日に一度購入していたものの、その頃は写真に対するモチベーションが極端に無かった時期ですぐ売ってしまったのだ。しかし今回買い直した理由はあのレンズの写りに未練があるからで、今回も不要になったらどうせ売ればいいやと購入ボタンを押してしまった。このレンズはそれほどまでに惹かれる写りをしている。

季節感に欠けるが5月6月に撮った写真もついでに載せることにする
そのうち高画質で上げ直すかもしれないし、めんどくさいので上げ直さないかもしれない。出来る限りスマホで編集を済ませたい。

恐らく大三元ズームを好んで使っている人は皆そうなのだろうが、なまじ高画質のズームレンズを持っていると単焦点レンズ遊びは「めんどくさい」の気持ちの方が優ってしまう。
わたしがXマウント機ユーザーだった頃はまだ小型軽量で良かったものの、Zマウントに移行してからはレンズが大口径なので指が回らず、外でレンズ交換をする事にすごく不安がある。そうなると尚更「使いたい」と思えるレンズのハードルは上がってしまう。

しかしこのAPO-LANTHARはその高いハードルを余裕で超えてくる。
最短撮影距離が短い訳でもなく、開放F値が明るいわけでもなく、スペックシート上は特段優れているレンズではないが只者ではない描写をしているのはファインダーを覗けばすぐにわかる。出来ればこれをずっと手元に置いておけるほど写真に対してモチベーションを持っていたいものだ。
(それと、カラフルな絞りの刻印やアポクロマート設計を示す3色のマークがとても可愛らしく、キレッキレの写りとのギャップがあるのもわたしが気に入っている点の一つ。)

もじゃもじゃのケバケバまでよく解像されている
接写時の被写界深度が薄すぎて絞り開放だとキレ味が出にくい印象がある。この写真はf4まで絞っている。

それにしても、このレンズを使うと草花ではなく人工物や無機質な物を撮りたくなるのだが、案外それらを主に写真を撮りに行くというのは難しい。写真撮影可能な美術館に行くのが手っ取り早いかもしれないが、他人の創作物を被写体にするのはなんというか他人の褌で相撲を取っているような気がして忌避感がある。
まぁ、それを言ったら他人の肉体を被写体にするのも他人が設計した建物を被写体にするのも他人の褌かもしれないが。

自転車の抜け殻

■KANI ホワイトミストフィルターNo.1

最近流行りのこの手のフィルターは小手先の遊びだと思っていたが、ホワイトミストは逆光時などにハイライトを拡散させる作用があるのがちょっと良さそうに見えた。
ランドスケープの撮影なら夕焼けや朝焼けなどがもっと情緒的になりそうで期待している。少し使ってみて思ったのはC-PLフィルターなどと同じようにAFに悪影響を与えていてめんどくさいということぐらい。まだ理想的な状況では使えておらず効果もなんとも言えないし、思いっきり晴れた日の夕方にまた使ってみたい。

それと併せて、アリエクでKASEというメーカーのねじ式のフィルターをマグネット式にするアタッチメントを買った。これはメーカーや規格の違いを考慮しなくてもフィルター径さえ合っていれば全てマグネット式レンズフィルターとして使えるすごく便利なアクセサリーだ。
一般的なNDフィルターはともかく、C-PLフィルターや上に挙げたような変わり種フィルター、ハーフNDフィルターなどは頻繁に付け替えたり向きを変えることを想定しているのに、マグネット式の物は無かったり、あっても高価だったり、手持ちのフィルターが無駄になってしまったりで使いにくい。痒いところに手が届くのがこのアクセサリーというわけだ。信頼できるメーカーのフィルターを使えるというのも大きい。

この手のアイテムは国内でも販売されていそうなものだが、2018年にMANFROTTOから発売された後ディスコンのような状態になっており、定価で売られている在庫もほとんど無い。こういう時にメーカーや質はどうであれリーズナブルでなんでも在庫があるアリエクの存在は有難い(Amazonで売られているのは恐らく転売品でだいぶ高いのであまりおすすめしない)
デメリットとしては、広角側だとケラれやすいということ。z24-120mm/f4はフィルター径が77mmだが、広角端だと僅かにケラれる。

(余談だが、アリエクは無法地帯なので斬新なアイデアを実現した便利グッズもあれば怪しいもの・明らかにアウトなものまで色々あって面白い。わたしは暇な時にサブカル系の雑貨屋感覚でよく見ている。)
ストアを見ていると、同メーカーからマグネット式のレンズキャップも出ているようなのでこれも注文した。今東シナ海を渡ってくるのを待っているところだ。

■余談・構図の話

最近世間で話題の漫画家で藤本タツキ先生という方がいる。彼は無類の映画好きとして知られ、作品の中で映画のような緻密に計算された構図をよく使っており、それに由来する奇想天外かつインパクトのある絵作りが人気の一因となっている。
しかし代表作「チェンソーマン」がTVアニメ化された際に、アニメの制作会社がその原作にあった構図を無視しているとして一部のファンから批判の声が上がっていたのだ。
該当するシーンを見てみると、確かに原作のコマはカチッと1枚の絵画のように立体感・躍動感のある構図に収まっている一方でアニメ版は引きの構図になっていて、原作に比べたら躍動感は薄い印象がある。

しかしよく考えてみれば漫画とは右から左に読む静止画で、コマの割り方による違いや見開きのページなどあれど基本的には1:1.6の縦長の紙に絵を描く物だ。対して、TVアニメは常に16:9の横長の画面で、しかも動きを付けられる物。
これは写真で例えると縦構図の写真から横構図にクロップするようなもので、しかも16:9の縦横比は写真の35mm判フレームで使う3:2のフォーマットより上下が狭い。動画なのでカメラは動かさないというわけにはいかないだろう。
それらを踏まえてイメージしてみると、漫画の原作の完全再現は上手くいかないのではないかとわたしは思った。原作を徹底的に完全に再現しようとするとTwitterの広告などでよく見られるちょっと動きが付いた漫画みたいになりそうだ。

とはいえ少なくともその回に限って言えば原作にあったような躍動感が失われていたという話は理解出来なくもなかったし、こうした批判が出てくるのは逆説的に構図が与える無意識的な影響を証明しているような気がした。
百発百中とは行かなくても、わたしももっと妥協せずしっかりと構図を考えてシャッターを切ろうと思った。

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