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人力AI。写真のプリセットの話。

ここでも度々存在を明かしているプリセット、「nanocochrome」は日々バージョンアップを重ねている。
冬が明け、出かける回数も増え、サンプルとなるZ6のrawが蓄積されてきたので最近はより一層研究が進むようになった。

大元として参考にしているのは富士フイルムのフィルムシミュレーション「クラシッククローム」だが、センサーサイズの違いはやはり大きい。富士フイルムを貶めるわけではないが、やはりAPS-Cセンサーはフルサイズセンサーと比較してシャドウ部の階調が失われやすい。

そのため、良く言えば「パキッとしている」「コントラストが際立つ」写真が得意な傾向にあり、階調を表現しようとハイライト・シャドウを柔らかくすると印象を薄めてしまいがちだ。特に雨の日や曇りの日は被写体に光と影のコントラストが出ないことと、シャドウ部の階調表現が弱いことが悪く作用して意図的にシャドウを引き締めないと非常に印象の薄い絵になりやすい。

逆に言えば、フルサイズセンサーはコントラストを弄らなくても階調とコントラストが同時に担保されているとも言える。なので、これを是非活かそうと方向性は寄せつつも完全再現ではなくアレンジを効かせて
自分好みにカスタムすべく試行錯誤を重ねているわけだ。

プリセットを作ったことがある人ならわかると思うが、富士フイルムのフィルムシミュレーションは変えているようで変えていない。フィルムシミュレーションだけを見ているとそれぞれで大きく絵が変わるように感じるが、自由に色を弄ってプリセットを作っていると、ある程度の写実性を持たせている事が感じ取れる。この「変わっているようで変わってない」塩梅はとても難しいのだ。

そんな理想のプリセットを作るべく、富士フイルム機で撮った写真をパラパラ見て傾向を見出しながらプリセットの数値を弄っている。そんな過程がディープラーニングのようだとふと思った。
人力AIである。

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左上:試作v1、右上:試作v10、左下:nanocochrome.v8、右下:デフォルト。以下画像全て同じ順番。小さくて見づらくて申し訳ない
試作1は純粋に彩度が薄すぎる。試作10は若干やり過ぎ感があり、ここではまともに見えても明るい場面だと悪く作用しやすい。デフォルトはいかにもデジカメという感じの青色で好きじゃない。
2月の曇りの日。違いは分かりづらいかも。季節と時間、天気は光の加減に影響する重要な要素なので考慮する必要はある。
ピンクのサンプル。デフォルトの青みが強いピンクはかなり嫌いな色味だ。
やはり試作品10はやり過ぎ感、ハードすぎる感がある。汎用性を持たせるに左下のv8辺りまで変化量を落とした。この写真ではデフォルトも悪くない。
ハイライトテカテカのサンプル。普段はハイライト重点測光でこういう絵は撮らないが、ハイライト重点測光も万能ではないし検証は必要だ。

5月になればツツジやバラと言った強烈な赤やピンクのサンプルが手に入る。楽しみだ(目的と手段が入れ替わってる気がする)

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