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【修了考査】原文あたって解いてみました #01 R3-第1問-会計

第一問

問1【ストック・オプション】

問題文

(1)権利確定条件が付されていない場合の会計処理

原文
「ストックオプションに関する会計基準の適用指針」第18項

原文の位置
●会計基準
「ストック・オプションに関する会計処理」
>「権利確定日以前の会計処理」(第4項~第7項)
ストック・オプションに関する会計基準

●適用指針
「ストック・オプションに関する会計処理」
>「権利確定日以前の会計処理」
>「ストック・オプションと業務執行や労働サービスとの対応関係の認定」(第17項~第20項)
ストックオプションに関する会計基準の適用指針

コメント
原文そのままでした。「結論の背景」まで問うている問題ではないと思います。

(2)権利確定日後の会計処理

原文
「ストック・オプション等に関する会計基準」第8項

原文の位置
●会計基準
「ストック・オプションに関する会計処理」
>「権利確定日後の会計処理」(第8項~第9項)
ストック・オプションに関する会計基準

コメント
どちらかというと、自己株式の処分に関する会計処理(自己株式及び準備金の額の減少等に関する会計基準)の問題ですね。 ちなみに、適用指針の[設例1](ストックオプションに関する会計基準の適用指針)が復習にぴったりかもしれません。

問2【連結財務諸表】

問題文

(1)時価評価に係る連結修正仕訳

原文
「連結財務諸表における資本連結手続に関する実務指針」第11項 連結財務諸表における資本連結手続に関する実務指針

原文の位置
●会計基準:「連結貸借対照表の作成基準」
>「子会社の資産及び負債の評価」(第20項~第22項)
連結財務諸表に関する会計基準

●実務指針
「連結財務諸表における資本連結手続に関する実務指針」
>「子会社の資産及び負債の評価」(第11項~第17項)
連結財務諸表における資本連結手続に関する実務指針

コメント
原文というより単なる計算問題として認識しがちですが、あえて原文まで辿ってみるのも一興ですね。 税効果については、[設例10]でも解説されています。
連結財務諸表における資本連結手続に関する実務指針

(2)投資と資本の消去

原文
「連結財務諸表における資本連結手続に関する実務指針」第21項~第23項

原文の位置
●会計基準
「連結貸借対照表の作成基準」>「子会社の資産及び負債の評価」(第23項・第24項)
連結財務諸表に関する会計基準

●実務指針
「連結財務諸表における資本連結手続に関する実務指針」
>「支配を獲得した場合の処理」(第19項~第24項)
連結財務諸表における資本連結手続に関する実務指針

コメント
基本的かもしれませんが、体系的に思い出すには実務指針の[設例1]が良いですね。 連結財務諸表における資本連結手続に関する実務指針


問3【金融商品】

問題文

原文
「金融商品会計に関するQ&A」Q73

原文の位置
●会計基準
「連結貸借対照表の作成基準」
>「子会社の資産及び負債の評価」(第23項・第24項)
連結財務諸表に関する会計基準

●実務指針
「連結財務諸表における資本連結手続に関する実務指針」
>「支配を獲得した場合の処理」(第19項~第24項)
連結財務諸表における資本連結手続に関する実務指針

●Q&A
「金融商品会計に関するQ&A」
>「連結」(Q70~Q77)
金融商品会計に関するQ&A

コメント
実務指針の第21項で、

「金融商品会計に関するQ&A」Q73が参考となる。

って書いてあるんですが、丁寧に見ていないと気付きにくいですね。


問4【企業結合】

問題文
コメント
準備中です。(お察しください。)


問5【セグメント】

問題文

(1)組織変更等によるセグメントの区分方法の変更

原文
「セグメント情報等の開示に関する会計基準」第27項

原文の位置
●会計基準
「セグメント情報等の開示に関する会計基準」
>「セグメント情報の開示」
>「セグメント情報の開示項目と測定方法」(第17項~第28項)
セグメント情報等の開示に関する会計基準

コメント
原文そのままです。当年度と整合するように開示しよう(比較可能性)、ということですね。

(2)【連結財務諸表】

※①は、B社とD社が関係しますが、B社については問2で触れていますし、D社からはのれんは発生しないので、割愛します。
※②は、A社が関係しますが、問2で触れていますので割愛します。

コメント
セグメントの顔しておいて、中身は完全に連結会計です。


問6【連結財務諸表】

問題文

(1)子会社株式を追加取得した場合の処理(追加取得分に係る持分変動の処理)

原文
「連結財務諸表における資本連結手続に関する実務指針」第37項

原文の位置
●会計基準
「連結財務諸表に関する会計基準」
>「連結貸借対照表の作成基準」
>「子会社株式の追加取得及び一部売却等」(第28項~第30項)
連結財務諸表に関する会計基準

●実務指針
「連結財務諸表における資本連結手続に関する実務指針」
>「子会社株式を追加取得した場合の処理」(第37項~第40項)
連結財務諸表における資本連結手続に関する実務指針

コメント
この原文は、[設例5]と一緒に読まないと、混乱してきますね。

(2)子会社株式を追加取得した場合の処理(資本剰余金が負の値となる場合の処理)

原文
「連結財務諸表における資本連結手続に関する実務指針」第39-2項

原文の位置
●会計基準
「連結財務諸表に関する会計基準」
>「連結貸借対照表の作成基準」
>「子会社株式の追加取得及び一部売却等」(第28項~第30項)
連結財務諸表に関する会計基準

●実務指針
「連結財務諸表における資本連結手続に関する実務指針」
>「子会社株式を追加取得した場合の処理」(第37項~第40項)
連結財務諸表における資本連結手続に関する実務指針

コメント
原文そのままで十分書ききれそうですが、「自己株式及び準備金の額の減少等に関する会計基準」の「結論の背景」からさらに書き足せそうですね。 第40項の、次の部分です。

自己株式の処分が新株の発行と同様の経済的実態を有する点を考慮すると、利益剰余金の額を増減させるべきではなく、処分差益と同じく処分差損についても、資本剰余金の額の減少とすることが適切であると考えた。資本剰余金の額を減少させる科目としては、資本準備金からの減額が会社法上の制約を受けるため、その他資本剰余金からの減額が適切である。 なお、その他資本剰余金の残高を超えた自己株式処分差損が発生した場合は残高が負の値になるが、資本剰余金は株主からの払込資本のうち資本金に含まれないものを表すため、本来負の残高の資本剰余金という概念は想定されない。したがって、資本剰余金の残高が負の値になる場合は、利益剰余金で補てんするほかないと考えられる。

自己株式及び準備金の額の減少等に関する会計基準

問7【固定資産の減損】

問題文

(1)①②共用資産の減損損失の測定・配分

原文
「固定資産の減損に係る会計基準の適用指針」第48項 ※特に第48項(5)

原文の位置
●会計基準:「7.共用資産の取扱い」 固定資産の減損に係る会計基準
●会計基準注解:注8 固定資産の減損に係る会計基準注解
●適用指針:「共用資産及びのれんの取扱い」 固定資産の減損に係る会計基準の適用指針

コメント
原文そのままですね。


💡コラム:会計基準の設定主体
URLリンクを探していく過程で、会計基準の設定主体の歴史についてわかったことがありましたので、簡単にまとめてみたいと思います。
会計基準の設定主体は、金融庁(旧:大蔵省)の諮問機関である「企業会計審議会」でしたが、2001年に民間10団体が共同して「財務会計基準機構」が設立、その中の「企業会計基準委員会」が設定主体となりました。こうした背景については、日本総研のレポートでも触れられています。 https://www.jri.co.jp/page.jsp?id=16168

しかし、こうした審議会組織が今後わが国の会計基準設定主体でよいのか、という点については、大きく分けて2つの側面から検討する必要がある。(中略)第2は、官民活動分担の考え方である。(中略)会計基準は、そもそも市場のルールであり、基準づくり自体に行政が関与すべき理由は、それほど強固なものではない。

2002年はちょうどその過渡期だったのでしょう。「固定資産の減損に関する会計基準」は「企業会計審議会」から公表されています。
いまだに企業会計審議会から公表されている会計基準は、以下の6つです。

  • 連結キャッシュ・フロー計算書等の作成基準

  • 固定資産の減損に係る会計基準

  • 研究開発費等に係る会計基準

  • 外貨建取引等会計処理基準

  • 税効果会計に係る会計基準

  • 財務報告に係る内部統制基準・実施基準 …会計基準ではありませんが、開示基準という意味では同様の趣旨に該当するかと思います。

これらの会計基準は、理論的には「財務会計基準機構」に移管していくべきなのでしょうが、誰も文句言っていないのでこのままで良いってことなのでしょう。


(1)③減損損失の開示

原文
「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(通称:連結財務諸表規則)第63条の2
→「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則」(通称:財務諸表等規則)第95条の3の2

(減損損失に関する注記)
第九十五条の三の二 減損損失を認識した資産又は資産グループ(複数の資産が一体となつてキャッシュ・フローを生み出す場合における当該資産の集まりをいう。以下同じ。)がある場合には、当該資産又は資産グループごとに、次の各号に掲げる事項を注記しなければならない。ただし、重要性が乏しい場合には、注記を省略することができる。
 一 当該資産又は資産グループについて、次に掲げる事項の概要
  イ 用途
  ロ 種類
  ハ 場所
  ニ その他当該資産又は資産グループの内容を理解するために必要と認められる事項がある場合には、その内容
 二 減損損失を認識するに至つた経緯
 三 減損損失の金額及び主な固定資産の種類ごとの当該金額の内訳
 四 資産グループがある場合には、当該資産グループに係る資産をグループ化した方法
 五 回収可能価額が正味売却価額の場合にはその旨及び時価の算定方法、回収可能価額が使用価値の場合にはその旨及び割引率
2 前項各号に掲げる事項は、財務諸表提出会社が連結財務諸表を作成している場合には、記載することを要しない。

原文の位置
●法律:「金融商品取引法」>「第二章 企業内容等の開示」(第2条の3~第27条) ※第24条第1項

●省令:「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(通称:連結財務諸表規則)
>「第三章 連結損益計算書」
>「第五節 特別利益及び特別損失」(第62条~第64条)

●省令:「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則」(通称:財務諸表等規則)
>「第三章 連結損益計算書」
>「第五節 特別利益及び特別損失」(第95条の2~第95条の4)

コメント
財規が原文ではありますが、これを追うのはあまりにも大変すぎます。
日本公認会計士協会の会員・準会員(試験合格者)限定ページですが、「中小監査事務所連絡協議会」のページに「中小事務所等施策調査会研究報告第4号『有価証券報告書に関する表示のチェックリスト』」があります。各会計基準ごとに、以下の部分を見ると体系的な理解につながると思われます。
「Ⅲ-1財務諸表に関する表示のチェックリスト」…単体用ですが、単体を理解したうえで、連結との差分を探して行った方が良いでしょう。

  • 注記方法(186頁)~重要な後発事象の注記(277頁)

(2)IFRSとの差異

原文・原文の位置

コメント
1段階アプローチ(IFRS)・2段階アプローチ(日本基準)の違いについて触れられれば良い内容なんですが…


💡 コラム:IFRSはどこで見ればよいのか?
結論としては、日本語訳を無料で手に入れる手段はありません。 日本公認会計士協会も、有料課金するように案内しています。 https://jicpa.or.jp/specialized_field/ifrs/ifrs_ifric/text/
こんな状況で「一般に公正妥当」と言えるのかは大いに疑問ではあります。
しかし、日本基準とIFRSの差分については、大手監査法人が解説しているものがあるので、これがとても役立ちます。
◆EY新日本有限責任監査法人 https://www.ey.com/ja_jp/ifrs/ifrs-insights/2021/ifrs-others-other-ifrs-jgaap-comparison-v7 比較的詳細に書かれています。条文番号まで丁寧に記載してあるので、個人的にはもっともおすすめです。 2020/6/30時点と、ちょっと古いのが不安要素。
◆有限責任あずさ監査法人 https://home.kpmg/jp/ja/home/insights/2019/04/ifrs-compared-to-japan-gaap.html 毎年更新してあり、1つのPDFファイルにまとめてあるので、検索しやすいのが魅力ですね。


問8【連結税効果】

原文
「連結財務諸表における税効果会計に関する実務指針」第30項、第33項~第38項

原文の位置
●実務指針:「連結財務諸表における税効果会計に関する実務指針」
>「一時差異の会計処理」
>「子会社への投資」(第29項~第38項)
連結財務諸表における税効果会計に関する実務指針

●実務指針:「連結財務諸表における税効果会計に関する実務指針」
>「設例5 在外子会社の留保利益及び為替換算調整勘定に係る税効果」
連結財務諸表における税効果会計に関する実務指針

コメント
出題趣旨でも、以下のようにコメントされており、ほとんど設例のままでした。

留保利益の基本的な問題である。実務指針の設例から出題した。


問9【連結キャッシュ・フロー】

(1)連結追加・連結除外に伴う現金及び現金同等物

※③にフォーカスして原文をご紹介します。

原文
「連結財務諸表等におけるキャッシュ・フロー計算書の作成に関する実務指針」第46項

原文の位置
●会計基準:「連結キャッシュ・フロー計算書等の作成基準」
連結キャッシュ・フロー計算書等の作成基準

●実務指針:「連結財務諸表等におけるキャッシュ・フロー計算書の作成に関する実務指針」
>「連結追加・連結除外に伴う現金及び現金同等物」(第46項)
連結財務諸表等におけるキャッシュ・フロー計算書の作成に関する実務指針

コメント
会計基準の方に実質的な内容は大して含まれていないので、実務指針だけ見ることになると思います。 第46項は、「結論の背景」として位置づけられているのですが、どの指針に対しての「結論の背景」なのでしょうか…? 「結論の背景」で「新たな結論」を導いている気がしてなりません。


次回は、監査実務を解いてみます。
ご覧いただきありがとうございました。

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