「いつもの。」

日曜日の昼下がり。
雰囲気の良い喫茶店で小説を読む。
もう5回は来ている。
そんなに混んでいる店でもない。

そろそろじゃないだろうか。
もう良い頃合いだろう。
顔も覚えられている気がする。
入ったら会釈をされている、気もする。

いや、念には念を。
失敗するわけにはいかないのだ。

なんて言い訳をしながらボソボソと珈琲を注文した。

そうして今日もマスターにヘラヘラと曖昧な会釈をしてすごすごと帰る。

次は絶対言うぞ、と心に誓って。


きっと言えないんだろうけど。

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