『読書する女たち』読書メモ

『読書する女たち フェミニズムの名著は私の人生をどう変えたか』(ステファニー・スタール 著/伊達尚美 訳/イースト・プレス)
母親になったことによる混乱を免れない私たちが、読書(や勉強)に救われるのだということを思い出させてくれる名著でした。

〈無数の形で子供とつながっている母親として、私はフェミニストのり想像を現実の世界に当てはめることの難しさを無視することはできなかったが、かといってフェミニズムに背を向けることもできなかった。(『読書する女たち』まえがきより)

読んだテキストに共感することが読書の喜びであった時はもう遠く、今「共感したい」という気持ちで本を読むことはほとんどないと思う。でもこの本(の、主に前半)を読んでいるとき、私はあまりの共感で押しつぶされそうになったし、多くの働く母親がきっとそうだと思う。

自分が「良い母親」として子どもに接し、家事に勤しんで、そこに喜びを感じるとき、「こんなはずじゃない」という気持ちがあって、でもそうしているときはたしかに家族の安定がある。私はずっとその矛盾に引き裂かれそうになってきたし、そのことに混乱してきたのだ、とこの本を読んで初めて気づけた。

著者はそこから、自身が学生時代に受講していた、母校の「フェミニストのテキスト講座」を学生たちに混ざって改めて受講するという決断をして、文字通りものすごい勉強をしていくのだけど、私にそのバイタリティはない。たぶん今後もない。ただ、それでも本を読んだらいいのだ、勉強したらいいのだ、ということには今更ながらハッとするし、この本によって著者の代えがたい活動の追体験はさせてもらえた。

もちろんフェミニズムの名著のブックガイドとしても成立しているのだけど、私にとってはそれだけではない学びの1冊でした。同じように、今この状況をなんだろう、どうしてこうなんだろう、って混乱している母親たち(シスター!)に特に勧めたいです。

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