MTG小ネタ劇場 「オルヴァールはドクターなのか?」
いやあ、心地よいですね!
【エルドレインの森】の新規カードが次々に発表されています。
今回から大幅にスタンダードが三年ローテションとなり、強力なカードは三年間戦い続けることとなります。
ですが、今回の考察はスタンダードではなく、ドクターフーコラボセットからとなります。
今回も画像はMTG日本、公式より引用です。
#1 【ドクター】とは!
僕はよく知らないのですが、海外ドラマの長期シリーズらしいです。
共通して、白・黒を含まず青を含む二色の伝説のクリーチャー、なんですが、今回はこのカードたちは、これ以上考察しません。
本題は「コンパニオン」です。
つまり、パートナーと一緒に統率者となることで色を追加できます。
独善的な黒を持つことはない辺り、シリーズの主人公っぽいですね。
《10代目》に《ヤズミン》を加えた場合のみ二色となりますが、
効果自体は噛み合ってますし、マナ基盤の安定という意味では全然アリでしょう。
ところでこのカードの発表時、僕はこんなことをツイートしてました。
テキストでただ単に記入する場合、それはクリーチャー・タイプを指すと考えるのが自然です。
つまるところ、「ドクターのクリーチャー・タイプを持っていればそれドクターである」というのは自然な解釈です。
とはいえ、完全新規のクリーチャー・タイプなので既存カードは関係ない、そう思われます。
しかしながら。
彼らは多相という能力で全てのクリーチャー・タイプ、すなわち「ドクターでもある」のです。
#2 本当に【ドクター】なのか?
そもそも多相って場にいないときも適応されないんじゃない、というのは杞憂です。
《カヒーラ》を相棒に指定する場合、特定部族を持たないクリーチャーをデッキに入れられないのですが、多相は猫でありエレメンタルでありナイトメアであり恐竜でありビーストなので問題ありません。
これは特性定義能力というフィールド以外でも参照し続ける効果であり、構築段階から機能します。
特性定義能力によって統率者を指名する場合、最も代表的なのは《グリスト》ですね。
通常、統率者指名できるPWは「統率者に指名できる」能力を持っていますが、
このカードはその能力を持っていなくても「戦場以外ではクリーチャーである」という特性定義によって構築段階では「伝説のクリーチャー」であるため、指名できます。
というわけで「特性定義能力」は構築段階から参照するというのは、MTGの基本です。
つまり、「オルヴァールたちはドクターのクリーチャータイプを持っている」と考える方が自然です。
書式としては背景と背景選択が近いです。
背景選択というエンチャント・タイプそのものには特殊な能力はありません。
もちろんクリーチャーではない(エンチャントクリーチャーである《正体を隠した者》は例外)ので単独では統率者になれません。しかし。
背景選択を持つ伝説のクリーチャーの能力によって統率者として指名することができます。
これは【ドクターのコンパニオン】と同じような書式。
背景そのものに特殊テキストがないように、各種ドクターには共闘のような二体同時使用を許可するテキストを必要としません。
#3 【ドクター】ではないだろう。
ツイッターでウィザーズ開発部の方の発言。
できないらしい。
タイムロードとドクター以外のクリーチャータイプを持っているヤツは対象外、だそうです。
なるほど。それなら他のクリーチャータイプをいっぱい持っている多相は対象外ですね。
はい、解散!
……って、ちょっと待って。
そんなの、どこにも書いてなくない?
原語版においても「タイムロードであること」を参照する旨の一文は発見できません。
いやまあ、フレーバー的に省略している可能性はあります。
《4代目ドクター》の用いる歴史的は、「伝説かアーティファクトか英雄譚であること」を省略できる文言です。
他にも「改善している」なら、装備や自分のオーラがついているかカウンターが乗っていれば改善していることになったり、テキストとして省略することができます。
常盤木能力である飛行や警戒なども、「飛行も到達も持たないクリーチャーにブロックされない」や「アタックしてもタップしない」の省略なわけだし。
とはいえ、「コンパニオンのテキストにおけるドクターとは、ドクターでありタイムロードであり他のクリーチャー・タイプを持たないカードのみを指す」というのは読解できませんし、特に略語でありながらクリーチャー・タイプであるドクターと全く同じ用語となってはテキストから判読することは筆者の知る限り前例はありません。
もちろん、コラボ用、言うなればお祭り用のカードなので、雰囲気を重視したテキストにすることも許容されるでしょう。
しかしながら、ならばこそ、逆に、それ専用のコラボらしい固有名詞を新たに設定すべきではないでしょうか。
他のカードゲームでは「同じようなテキストでも違う裁定となる」ということがしばしば起こります。
MTGはルールを知っていれば正しく遊べるというゲームであるはずで、この略称はさすがに読解することが困難であるように思います。
やや批判的な文章になっていますが、筆者の84gとしては「どっちでも良いんじゃない」と思っています。
つまるところ、多相が使えようと使えまいと、MTGの歴史として面白いと思うんですよね。
「テキストから読解できない効果」として用いられる場合、少なくとも「ルールを勉強している一般」レベルのユーザー(筆者とか)にその違いが認知されるわけです。
それなら、それは無駄じゃない。
もしもテキスト通りに使えるならば、それは統率者の新たな歴史である。
基本的に統率者は、発売段階で共闘を持たなければ、固有色を増やすことができないゲームです。
それが今後、後出し拡張で統率者を強化することが可能となります。
クリーチャータイプでなくても、『8マナ以上の単色の統率者のコンパニオン』とか『パワーがタフネスの倍以上の統率者のコンパニオン』、『防衛を持つ統率者のコンパニオン』、「PWのコンパニオン」なんかも作れるかもしれません。
《カヒーラ》の相棒ルールのような話で、今までは注目されていなかったカードが一躍人気統率者に、ということもあるかもしれませんね。
#4 【ドクター】じゃないなら何か意味があるのか?
というわけでここからは、「もし仮にテキスト通りに多相&コンパニオンが成立した場合」という空論となります。
これで公式発表のリリースノートで「できねぇよ」と言われたら完全に無意味なスペースとなります。
とはいえ、そこはそれ、シュレディンガーの猫。
観測(発売)されるまでは、箱の中の猫は生きてもいるし死んでもいる。
現実に収束してしまう前に、今だけ遊べると量子力学が背中を押してくれている。
多相なのでもちろん、《オルヴァール》たちは猫でもあります。
箱の中の多相クリーチャー、お楽しみください。
《限りないもの、モロフォン》
最初から5色コマンダーなので色は増えない。
このカードの主な用途は、「5色統率者も持たない部族の5色統率者」。
例えば、猫の部族デッキで《宴の結節点、ジェトミア》(緑赤白)、《ディスプレイサーの仔猫》(青)、《黒猫》(黒)を入れたくても、五色の伝説の猫は存在しません。
そのときにこれを統率者領域に置けば制約なく5色で組むことができ、軽減と全体強化ができます。
コンパニオンたちのクリーチャー・タイプは全員人間。
探偵という新規タイプもありますが、新規だけに今回は無視しても良いでしょう。
誰を指名しても手札が1枚増えて99枚のデッキが98枚に圧縮できるのでメリットがありますが、あえてここは《ローズ》を推しておきます。
他の2枚は補助的な役割のコンパニオンですが、《ローズ》は単独で21点統率者ダメージを狙えるコマンダー。
《モロフォン》で全種類の待機カードを使用できる状態にし、《ローズ》の右ストレートを叩き込め!
《万物の姿、オルヴァール》
モダンでの《残虐の執政官》の対策カードとして有名ですね。
ハンデスを受けたときに捨てればコピートークンが産まれ、《執政官》を迎撃します。
統率者では基本的に手札に来ないので、前者能力でパーマネントを対象にしてコピーする挙動を行います。
ドマイナーなこんなのでも、キャントリップつきインスタントのコピー生成。
土地でもファクトでもクリーチャーでもなんでもこい。
単独でも普通にデッキとして成立している強い統率者ですし、それが赤か白の固有色を得られる。
オススメは《サラ》。
土地を対象にできるカードが結構あるのでマナが伸びるから手掛かりも使いやすいし、何より固有色として白の恩恵がデカい。
《霜のモーリット》
本家ドクターと同じくシミックカラーなので赤も白も被らない。
基本的にはアンコモン、5マナの《クローン》なので大してカードパワーは高くない。
しかしながら、他のカードにはない強力な牙を隠し持っている。
お勧めのコンパニオンは《ヤズミン》だ。
効果自体はシナジーがないのだが、赤という色が《モーリット》の固有能力を必殺技まで強化する。
《モーリット》の特色、それは頑強だ。
頑強によってマイイチカウンターが乗って復活するので、都合2回使用することができる。
このカードが存在する状態で《モーリット》が登場すると、戦場に出たときに再び《エレンドラ谷の大魔導師》をコピーすることでプライチカウンターを乗せる効果が適応。
プライチカウンターとマイイチカウンターは状況起因処理により同数を取り除くことになっている。
結果、頑強のマイナスカウンターと《モーリット》のプラスカウンターが相殺。
再び生け贄に捧げたとき、マイイチカウンターが残っていないため再び頑強が適応され、最初に戻る。
すなわち、マナがある限り何度でも《否認》を打ち続けることができる。
このように何らかの手段でマイイチカウンターを消去して何度でも頑強を使う動きを俗に「無限頑強」と呼称するが、《モーリット》は自身の効果でプライチカウンターを生成することで容易に無限頑強を達成できるのだ。
無限頑強は頑強持ち+《モーリット》+サクり台の3枚による必殺コンボ。
青はアーティファクトサーチの第一色なので豊富なサーチで必殺技を決めます。
更に赤が入ることでゴブリンギミックを使用することが可能になります。
さて。
果たして多相たちはドクターなのか?
ドクターならばコンパニオンと一緒にEDHに新風を吹き込めるのか?
それともドクターではなく無免許医に過ぎないという過酷な現実を叩きつけられるのか!
ドクター・フーのコラボ商品は、2023年10月13日発売予定!
#5 【追記】
や っ ぱ り 多 相 は ド ク タ ー で は あ りま せ ん で し た 。
当記事はファンコンテンツ・ポリシーに沿った非公式のファンコンテンツです。
画像はMTG日本公式より引用しています。
ウィザーズ社の認可/許諾は得ていません。
題材の一部に、ウィザーズ・オブ・ザ・コースト社の財産を含んでいます。
©Wizards of the Coast LLC."
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