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《意志の力》に憧れない僕たちの、レガシー参入障壁。

 皆さんこんにちは。自称中級者、84gです。
 MTGは無限にフォーマットがあり、それぞれに異なる魅力があり、正に沼。
 筆者は公式フォーマットではリミテッド、スタンダード、パイオニア、モダン、パウパー、統率者、エクスプローラー、
 非公式フォーマットでは、ヒュージリーダース、パイオニアEDH、パウパーEDH、ダンダーンゲーム、オースブレイカーなどの経験があります。

 プレイ経験のあるフォーマットの数でいえば、中の上程度かとは思います。
 上には上がいるというのがMTGですし、そもそも数の多寡そのものに意味はありません。
 それでも、MTGを通じて友達を作り、熱中して全力で遊んできたことだけは自負があります。

 そんな自称中級者くらいの筆者ですが、プレイできていない公式フォーマットがいくつかあり、そのひとつがレガシーです。
 今回は、なぜ未だにレガシーに手を付けられないのか、その辺りの分析の記事となります。

 ちょくちょくツイッターの方で言ってる愚痴と被りますが、
 何度も口にするのもアレだし、整理したい気持ちから言語化しています。
 愚痴です。
 別に何かの参考のための記事でもない、お気持ち表明以外の何物でもないです。
 


1:『そもそもレガシーって何よ?』


 レガシーは、エターナルと呼ばれるフォーマットのひとつで、
 今まで発売されたほぼ全種類のカードを使用できる構築戦です。
 モダンやパイオニアは使用可能カードがよくわからないとよく言われますが、
 このフォーマットはほぼ全カードが使えるため、その心配もないといえますね。
 この“ほぼ”の部分を取り除いたのがヴィンテージで、8割型は同じようなカードが使えます。
 ヴィンテージに次ぐ莫大なカードパワー。それを使いこなし、叩きつけ、一撃必殺のカードとそれを抑えつけるパワフルな抑止力が荒れ狂う。
 それがレガシーです。

2:『なんでやらないの?』


 結論から先に書くと、組めるデッキがないになります。
 全カードが使えるなら選択肢がかなり多いように思えますが、僕からすると逆です。
 極端な話、スタンダードやパイオニアのデッキをそのまま持ち込んでも、レガシーのデッキです。
 上環境では解禁されているもののレガシーでは禁止されているカードさえ使わなければ、なんなら即席のシールドデッキでも広義にはレガシーデッキ。

パイオニアでは使えるが、モダン・レガシーでは出禁。
(フェッチな土地があるため)
パイオニア・モダンでは使えるが、レガシーでは出禁。
(思考が渦巻くため)

 現在、スタン範囲で使えるレガシー禁止はないので、
 スタンダードのデッキは全てレガシーのデッキといえるが、それは本当の意味でのレガシーではない(禅問答)。
 上環境のデッキでレガシーに負けても、本気で悔しがれる気がしない。
 全力で組んだと言えないデッキならば、相手に申し訳がないし、自分が納得できないもので遊ぶ意味がない。

 ゲームをする以上、ゲームには目的がなければならない。
 RPGなら魔王を倒す、レースゲームなら最速でゴールをする、恋愛ゲームなら恋人を作る。
 TCGにおいては、対戦相手に勝利することが目的になるわけです。

 ここで立ちはだかる問題点が、金額
 筆者はMTGにそこそこの金額を使っていますが、レガシーを試行錯誤するにはそれでも高額がすぎる。
 色を足して汎用パーツを買い足すだけで、他のフォーマットで使いたいカードを諦め、節約し、それでも足が出る。
 それがレガシーの汎用カード。

 「無理をしないと遊べない、しかし、無理をしても納得できるか分からない」
 それがレガシーに参加しようとする、自分の現実的な状態です。


3:『組めるデッキでやれば?』

 金額面の話をすると必ずされるアドバイスが『〇〇なら安く組めますよ!』というもの。
 言いたいことは正しい。
 赤単バーンや感染、黒単、ポストなど、モダンやパイオニア級の金額で組めるリストも有ります。
 ただ、俺が組みたいのはそれじゃない。
 先述の戦法が好きとか嫌いではなくて、逆張りな性格なので「これで遊べ」と呼ばれて遊ぶ気はしないし、趣味に合わない。
 じゃあ、自分が合うデッキを試行錯誤するしかないが、試行錯誤するにはカネが掛かりすぎる。
 
トレカはただプレイするのではなく、自分でデッキを組むのも醍醐味であると思います。
 つまるところ、『カードが高い』というレガシーの悩みに対して『〇〇や✕✕なら安く組める』という解答自体、
 『ゲームをプレイしたい』という問題は解決できるものの、『構築を楽しみたい』という問題を解決できてないわけですね。

 文句だけ言ってもしょうがない、僕がやりたいデッキを調べてみる。
 僕がやりたいアーキタイプは相手の攻撃を受ける、そして受けたところで自分の技を打ち込むプロレス的なゲーム、いわゆるフェアデッキと呼ばれるものを嗜好します。
 レガシーでもフェアデッキを組みたいと思ってリストを観ましたが、まー、使いたいデッキがない。
 動きで言えば、マーベリック、ニックフィット、ズー、デスタク辺りが該当っぽいんですが、使いたくねぇカードが多い。


サイドインならいざしらず、メインでは……。
人間や兵士デッキでもなく、相手の妨害のためだけにクリーチャーを選びたくない。
モダンや統率者でも思うけど、多くのカードの上位互換すぎる。
黒単の最高額カード。

 引いたときにワクワクできる気がしない。
 完全に筆者の趣味ですが、1枚で相手を機能不全にするようなカードは好みません。
 相手に使われるのは良い。自分が使うのがイヤだ。
 スゴい動きをする相手を、正面突破することこそMTGの美学!
 
変質者という自覚はあるようです
 他フォーマットだと、リストを見るだけで「組みたい」と思うのがいくつかは見つかるんだけど、レガシーだとリストで名前を見ただけでゲンナリするカードが多すぎる。 

 メインボードから相手を転ばす置物は趣味じゃない。
 もちろん、指摘として「入れないとコンボに勝てないよww」も理解します。
 ただ、僕のリアクションは「そう言われてやりたいと思うか?」となり、ゲンナリしてしまっています。
 「なくても勝てる相手には勝てますよ!」も理解しますが、それも半分だけの回答でしょう。
 ただ、勝てない相手とのゲームが存在する環境でデッキを探すのが、とても疲れる。

 MTGの良いところは、自分でプレイスタイルを選べる点だと思っています。
 一撃必殺のコンボや打消しの応酬、ビッグマナをやりたいなら使いたいデッキが見つかるかもしれません。
 ただし、筆者のようなリミテッドめいたビートダウンのライフレースを嗜好する人間にとっては窮屈です。
 ならリミテッドやれって話ですし、それが参入障壁だよねって話なんですけど。
 スタン・パイオニア・モダンではできるそれが、筆者の経済力と構築力ではできないわけですね。
 なんでも使えるレガシーだけど、 「アンフェアな相手に勝てるフェアデッキ」は組むのが疲れる。
 そもそも、ライフレースが重視される環境ではなく、レガシーはフェアデッキ回す環境ではないのかもしれません。
 ただ、ここで指摘されているのは『レガシーの限界』ではなく『筆者の限界』なわけで、そこは混同なきようにお願いします。

4:『筆者の足掻き』

 既存デッキで組みたいデッキが存在していなかったことで色々と調整し、形になりそうなものを模索してました。
 

サリアを使っても良いと思える部族から逆算。
兵士デッキ。
レガシー固有のカードを選ぼう選手権。

 《隊長》から《サスキア》を叩きつける動きで勝てるだろと検討するも、調整するうちに《サスキア》が抜け、かつ《金属モックス》なんかもお財布事情で買えないので、構成カードがほとんどモダンになる。
 「じゃあ、モダンで良いじゃん」となり、立ち消え。

 続いて、

 《ベルベイ》のマナから《超越種》を叩きつけるデッキを考えたものの、
 《炎樹族の使者》や《霊気の薬瓶》で出す方が安定し、やはり構成パーツの大部分がモダンになり、「じゃあ、モダンで良いじゃん」となり、立ち消え。
 強いカードを探そうとすると、高額カード以外はモダン範囲で完結できることが多いのも厳しい。

貧乏フェアデッキ最大の壁。
これを使わない理由をまず考えるのがネック。

 ボクシングの階級制じゃないですけど、 中量級モダンが明らかに向いている選手カードで、
 「じゃあ重量級レガシー試そうぜ」をするには、階級を増す理由が僕には必要に思えます。
 例えば、赤白召集。

こういうカードで横並べ。
召集で着地!

 この戦術、スタンダードでも8割型組めます。
 《イモデーンの徴募兵》も《毅然たる援軍》も《ヴォルダーレンの美食家》《内なる空の管理人》も有りますからね。
 しかし、パイオニアやモダンでも組む理由があります。

《遍歴の騎士》に並ぶ二枚看板。

 スタンでは《遍歴の騎士》1種4枚しかない召集から出るフィニッシャーがパイオニアでは2種8枚。
 更に、モダンだと《上機嫌の解体》のほぼ同型カードである《カルドーサの再誕》が使えます。

パウパーでもお馴染み。

 スタンではそれぞれ1種4枚しかないカードが、ほとんど似た動きをするもう1種を加えることで2種8枚になる。
 もちろん、レガシーでも使えるでしょうが、パイオニア・モダンの時点でリストとして完成度が高く、レガシーに移す旨味があまりない印象があります。
 ならば、そのデッキに合った階級で戦うのが自然なのではないでしょうか。
 結局、そこが担保されないなら、スタンやパイオニアのデッキをレガシーに持ち込むのと変わらなくなってしまいます。

『ショックランドを使っているのはコレのためですよ!』
と、デュアランなしを正当化できるカードだが、正当化のためにカードを選ぶのか……?
色拘束の弱いデッキなら、そもそもコレを4枚買う話になってしまう。
再録禁止の高額カード。

 つまり、二色土地を使わない=単色のデッキでありながら、シンボル数の多い=信心めいたデッキから選べ、と、カードプールからプレッシャーを掛けられているような状態になっているという。
 なんのこっちゃ。

 僕が探しているレガシーのデッキ。
 そこまで高額でなく。
 ビートプラン。
 モダンとは差別化でき。
 拘束するようなカードを使わず。
 瞬殺勝ちも瞬殺負けもなく。
 できれば僕のパーソナルカラーである緑の入るデッキ。
 もう、「カロリーを抑えて調理の手間も掛からないトンカツラーメン」みたいなのを考え続け、疲れた。
 仮想敵が多様な強さを持つため、オールインで走り切って倒した方が安くて安定してしまう。


5:『《意志の力》とはなんのか』

 以前、ツイッターで見た話題で気になっていたものがあります。

 「《意志の力》が高額すぎませんか?」という話題に付いていたレスポンス。
 「僕も頑張って買いました」や「2枚で1枚を止める弱いカードなので無くても大丈夫」みたいな意見。
 全部正しいと思いますが、それを見た筆者の感想は「頑張らないと遊べないカードゲームってなんだよ」とか「2枚で1枚を止める弱いカードを4積みしないといけない環境ってなんなんだよ」でした
 そういう感想が出る人間にはレガシーが向いてないんだろうなぁ、とも思った。
 《意志の力》に限らず、数多の高額カードに憧れず、無くても楽しいと思えるならモダンなりパイオニアなりをやっていた方がコスパが良いし、構築の自由度が高い。
 安くてもレガシーは組めるとは言うけど、金額によってフォーマットを評価するなら他のフォーマットの方が優れている話にはなってしまう。
 《暗黒の儀式》のような安価のレガシー固有カードが存在するのは知っているが、逆に安価で強力なカードから選ばなければいけないというのも窮屈。
 安くてもレガシーはできる、というのは、お財布事情と戦いながらでもレガシーをしたいというモチベーションのある人の選択肢。

 筆者は2018年頃、基本セット2019の頃から始めたので、その頃から存在しているカードが一番思い入れがあります。
 『ホニャララブロックの頃やってましたー』とか『コレが欲しかったんです』という思い出話がないタイプです。
 友達から「小学生の頃から憧れてたカードを買った!」というエピソードを聞くと、その体験そのものを羨ましがっている人ですね。
 何を組めばいいかの指針がない感じです。
 使いたくないカードの引き算ばかりはあるのに、使いたいカードの足し算ができてない。
 パイオニアには我が相棒、《巻きつき蛇》があるので参入時のデッキは秒で決まりました。

MTG開始時からの相棒。
《稲妻》や《剣を鋤に》に弱いのでパイオニアが適正環境。
下なら《歩行バリスタ》が使えるのは魅力だけども。

 で。
 ここまででなんとなくお察しかもしれませんが、筆者はどちらかといえばピーピングハンデスが好きではありません。
 具体的には《思考囲い》とか。

黒の“挨拶”。
相手の手札は見ないでプレイしたい派の僕は、あまり評価してない。

 だがしかし、《巻きつき蛇》とはマナカーブ的にも1→2で動けるので好相性です。
 相棒である《巻きつき蛇》の強さを引き出すためなら、俺のカードの好き嫌いなんてどうでも良いので、普通に使ってます。

 もう、これが答えですね。
 なんだかんだパイオニアが開始時からずっと使ってきたから《思考囲い》自体も好きになってきてます。
 家の近所だからそこそこ食べに行く、不愛想だけど味は悪くないラーメン屋くらいの好感度になってます。 

 そもそも《巻きつき蛇》で勝つためだったら、《三なる宝球》でも《罠の橋》でも《虚空の杯》でも《謙虚》でも、なんでも使うし、《金属モックス》でも《ガイア揺籃の地》でもなんでも買うと思います。
 使いたいカードのためだもん。
 ただ、《巻きつき蛇》のカードパワーと特性的にパイオニアで戦うことに不満がないので、レガシーをやるモチベーションたりえません。

 使いたいカードがない。
 ちょっと良いなと思っても、それがレガシーという環境で使う必然性がなくモダンで良くなり、無理をしないと遊べないコスパ。
 安くて強いものはあるが、そもそもそれに憧れていない。

 《意志の力》は高額であるが、逆説的に「おカネを貯めてでも《意志の力》を使いたい!」と憧れられる人が辿り着くフォーマットな気がします。
 (《意志の力》に限らず、それが《実物提示教育》や《むかつき》でも同じ)

 現在のスタンダードでは許されず再録されないバランスブレイカーなカードたち。
 見方によっては失敗デザインですらあるストーム値の高すぎるカード群。
 それらに対抗すべく構築済み統率者やマスターズ系で生み出された下環境専用のパワーカード。
 筆者はそんなカードたちへ憧れがない。

 そもそも、趣味でコスパって言いだす段階でおかしくねぇかって話なんですが、限度がある。
 現状、モダホラやユニバースビヨンドでパワーカードが大量に追加され、徐々にモダンがレガシー化しています。
 安価なカードでその境界を定義しようとすると、やはりパワーカードになってしまう。

安価で強いカード代表。
手札が減ってテンポを取るカードだが強いときがアンフェアすぎて使う気がしない。
レガシーの色拘束の薄いデッキの基本パーツ。1枚1万円。
『コレを買いたくないから色拘束強いカードを使おう』とか考えている時期もあり、
バカバカしくなってました。

  “憧れていない”ことが、筆者の一番の参入障壁な気がします。



当記事はファンコンテンツ・ポリシーに沿った非公式のファンコンテンツです。
画像はMTG日本公式より引用しています。
ウィザーズ社の認可/許諾は得ていません。
題材の一部に、ウィザーズ・オブ・ザ・コースト社の財産を含んでいます。
©Wizards of the Coast LLC."


 
 
 



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