「カジュアルEDH」の始め方

 当記事は「統率者(EDH)を始めたいけどどうしよう」みたいな人のための覚書となっております。
 もちろん僕の個人的意見なので、参考程度にしていただければよろしいかと思います。


1:【はじめ方】

 百枚の統率者用デッキを購入して、仲間3人と卓を囲みます。以上。
 ――冗談のようだけど、真面目にコレです。
 その上で間違いがあったら、都度修整すればいいだけなんで。
 トライ&エラーもカードゲームの楽しみなので、やってみてで良いと思います。
 プレイングがわからない? 安心しろ! 僕は未だにプレミしまくりだ!
 ルールがわからない? 安心しろ! MTGのルールは複雑すぎて勉強してても未だにわからん!
 仲間3人がいるなら、そのメンバーで「あーでもない、こーでもない」って言い合って作れば良いです。完璧です。それ以上はない。
 ビバカジュアルEDH! 身内で延々回す! それ以上の贅沢があるだろうか、いやない!
 以下は、上記の条件を満たせない方向けの文章になります。
 具体的には【遊ぶ相手・場所がない】あるいは【デッキ百枚に悩んでいる】人向けです。




2:【遊ぶ相手・場所がない】

 近所のカードショップ等で統率者の大会予定とかを調べるとよろしいかと。
 近所に開催店舗がないなどの場合は、SNS等でコミュニティを探しても良いかと思います。
 ツイッターなら「MTGプロフィール」などのタグで調べるのもいいでしょう。
 ただ、ネット上での初対面はやはりリスクもあるので、会う場所はカードショップのデュエルスペースなど、公共の場所をお勧めいたします。
 僕はネットで知り合って遊んで痛い目に遭ったことはありませんが、お互い安心して気持ちよく遊ぶことが大事。
 また、僕は初対面の相手にも馴れ馴れしすぎるぐらいの人なので困ったことはありませんが、

(´ω`)「あの人っぽいけど、違ったらどうしよう」

 と、なるケースがしばしばあるので、当日の服装なんかは事前に連絡しておくと安心です。
 仙台近郊の方でしたら声かけていただければ、僕が遊びたいです。
 僕のところのフリプ会も最初は4人とかから始まって30人超えたので、コミュニティが無いなら作るのも選択肢としてアリだと思います。




3:【デッキ百枚に悩んでいる】

 最初は発売されている百枚の構築済みデッキが手軽ですが、これもカードショップが自主制作しているもの、公式が発売しているものがあります。
 前者はデッキパワーや価格帯も望むものが選べますが、言語が日英混在だったり、キズありカードが入ってることもあります。
 後者は全カード新品で原語統一されていますが、全体的にデッキパワーが抑えめとなっています。
 もちろん前者でもお店によって仕様は様々ですし、後者も噛み合えば強力なコンボを搭載していたりします。
 この辺りはネット通販のサイトを回ってみたり、近所のカードショップを巡ってみてもいいでしょうし、購入後にカードを入れ替えて改造してもOKです。
 では、構築済みではなく、オリジナルデッキを作りたい方は、そのまま次へ。

3―A:【オリジナルデッキを作ろう】

 構築済みではなくオリジナルデッキを使う理由は様々でしょうが“組みたい”ならば、それ以上の理由はいりません。
 まずは“何をしたいか”を決めて、自分だけの愛機を作りましょう。
 もちろん、一度組んでも気に入らなければ直したり、統率者を変えたり、崩したりしてもかまいません。
 好きなデッキを作り、使い、悩み、仲間と遊ぶ。
 それがこのカードゲームの醍醐味であり、最も贅沢な時間であると僕は確信します。
 レッツカジュアルEDH!


3―A1【使いたいカードがある】

 使いたいカードは何でもいいです。
 パックから出た、他のフォーマットで使っていた、憧れていた、ショーケースやストレージで一目惚れした、動画で見た、勧められた、効果に惹かれた、イラストが良い、高額である、部族が良い、崇拝している、そのカードからしか摂取できない栄養がある、前々々世から探していた……なんでも構いません。
 最近では指輪物語にストリートファイターにトランスフォーマーなどのタイアップカードも多いですから、そういったカードで組むのも楽しいです。

 そのカードが伝説のクリーチャーなら統率者決定で良いでしょう。
 もちろん、統率者として指名する旨味がなかったり、コンボカードが本人の固有色に合致しないなどのケースはしばしばありますが、大概はお気に入りのクリーチャーを繰り返し統率者領域から出し続ける構造が楽しいです。
 それが伝説のクリーチャーではないなら、そのカードを強く使える統率者を考えます。
 例えば、こういうカード。

 ストレージから適当に出した。

 試しに「破壊的な逸脱者 統率者」とかでグーグルさんやデッキレシピサイトで検索します。
 僕は「晴れる屋」さんや「DECK-UP」さんを探してみることが多いです。
 そこでピンと来るリストが有ったら、それをコピーしつつ、高額カードを差し替えたりしてゴールでも良いです。
 リストが無かった、あるいは、もっとオリジナル方向に行く場合は、統率者を探します。
 選択肢として、例えば今回のケースだと色は青と黒が入る統率者となります。
 カードリストサイトで「青と黒の入る伝説のクリーチャー」を検索します。
 僕は「Wisdom Guild」さんを使用させていただくことが多いです。
 ちなみに、テキスト中の色シンボルも本来は含むのですが、大概のカードリストの検索だと弾かれるので、選択肢としては他にもありますが、大部分はチェックできます。
 マナ総量には色を含まないがテキスト中に含む『黄金牙、タシグル』や『帰還した王、ケンリス』など、あとは複数の統率者を使用できる共闘・背景選択・永遠の友などがありますが、とりあえず【マナシンボルに青と黒の入る伝説の生物】で大部分の該当カードが見れます。
 それだけでも二百種近くありますが、なんとなく斜め読みして逸脱者とシナジーがありそうなら、メモしておきます。

 地道に作業を実際にやったのが以下。

 『死の波のアラウミ』
 →墓地肥やしカードと相性が良く、逸脱者のコピーを三体出して呪文を唱えれば後半の効果がそれぞれに誘発し、相手のデッキを大幅に切削できる。

 『ディミーアの黒幕ラザーヴ』
 →ラザーヴ本人で相手の墓地を増やす必要があり、相互に強化できる。

 『ンガスロッド船長』
 →ホラーシナジーがあり、相手のデッキを削れるので噛み合いが良い。
 
 『恐怖の顕現、ウンブリス』
 →ホラーとして生かせる。本人の効果は追放なので相性が悪いが、デッキ破壊に寄せるならばアリ。

 『蒐集家、ザンダー卿』
 『精神を飲む者、ミルコ・ヴォスク』
 『欺瞞の神、フィナックス』
 『秘密の王、ザデック』
 →強力なデッキ破壊能力があり、パワーが爆上がりする。

 など、選択肢が出ます。
 ここからピンと来る統率者がいたら、そこをデッキリストサイトやグーグルで検索してみましょう。
 ここでいうシナジーは効果そのものの特性以外にも、サブタイプ、このカードなら『ホラー』の部族デッキなども検討できますね。
 類似する効果を持つカードを選ぶのも良いでしょう。
 こうしていく内に仮組してみて、最終的に『破壊的な逸脱者』自身が抜けてしまうこともありますが、それはそれで自分の組みたいデッキになっているので、僕としては良い結果だと思います。


3―A2【使いたい戦術がある】

 バーンやデッキ破壊をしたい、などの場合ですね。
 その場合は、自分のイメージを煮詰めましょう。
 例えばバーン戦術なら赤や黒の統率者から探してみるのが良いでしょう。
 テキスト検索のできるカードリストサイトで「ダメージ」などを検索してみると良いと思います。
 それで使いたいと思えるカードがあれば、3―A1に繋がります。
 ここでいうテーマは、ゴブリン、オーラ、氷雪、多相、瞬速、毒カウンター、パーティ、装備、蓄積カウンター、当事者カード、などなど多岐に渡り、実際に今挙げた要素を煮詰めた統率者デッキは存在します。
 リストとして眺めるだけでも面白いので、「MTG Wiki」さんの『能力語』ページや『クリーチャー・タイプ解説』ページに一覧があるので、それを見てみても良いでしょう。
 そのカードタイプで統一するだけで、自然と百枚集まったりします。


3―A3【自分が何をしたいのかわからない】

 進路相談みたいな話になってきていますが、オリジナル統率者を組みたいけど、で止まっている人って結構多い気はします。
 ストレージ漁ってお気に入りカードを探すか、キーワード一覧を漁って惹かれる要素を探しても見つからないときは、自分がどんなゲーム体験をしたいかを整理しましょう。
 まず、自分が「勝ちたい人」なのか「負けたくない人」なのかを考えてみましょう。
 2人対戦のゲームではこの二つの差は出にくいのですが、4人対戦だと、「1位になりたい」と「4位になりたくない」と言い換えることができます。

 あなたが前者(1位になりたい)なら、他3人を倒せる勝ち手段から先に考えましょう。
 例えば統率者には、コンボが成立すると無限ループや莫大なダメージでそのまま勝利まで走れるようなタイプのカードがあります。
 これは「統率者 コンボ」とか「MTG 無限コンボ」なんかを検索すると出てきますし、この辺りは別のコラムになっちゃうので割愛。
 既に先達が大量に良記事をまとめてくれてますからね。
 使いたいと思えるコンボに伝説のクリーチャーが絡み、そのコンボカードの固有色を達成できるなら、それを統率者にすればよろしいかと。
 使いたいコンボに伝説のクリーチャーが絡まないなら、そのコンボのカードを固有色に含み、かつ相性の良い伝説のクリーチャーを選択すべきでしょう。
 例えばそのコンボが無限マナなら、それだけではマナの使い道がないので、『墓後家蜘蛛、イシュカナ』のようにタップや生け贄を伴わないダメージ能力があるカードを統率者にしておけば、そのままライフを削り切って勝つことができますし、『眷者の神童、キナン』ならデッキ内の人間ではないクリーチャーを出し放題となり、勝ち手段となりえます。
 他にもコンボカードを探すためのドローソースやサーチ能力を持つカード、墓地肥やしができるカードなど、さまざまです。
 ダーッと眺めてみて、勝ち手段としてイメージできるものを決めたら、それを組み込めるデッキを考えてみましょう。
 もちろん、考えている最中に別のアイデアが出てきたなら、それでも構いません。

 あなたが後者(4位になりたくない)なら、負けないための手段を考えましょう。
 具体的には前述の「1位になりたい統率者」は、いわゆる“ヘイトの高い統率者”に該当しやすいです。
 コンボカードが何枚か揃えばそのまま勝ってしまうわけですし、他プレイヤーから打消しや除去の的になりがちです。
 で、更に自分がヘイトを集めすぎる場合、自分に除去や妨害が集中してしまい、他のプレイヤーが動きやすくなることもしばしば。
 相対的に、ヘイトの高いカードが多い卓は決着が早くなる傾向があるように感じます。
 なぜなら、「除去・妨害札=ゲームを長引かせるカード」よりも「フィニッシャー=ゲームを終わらせるカード」が多いのですから。
 では、4位になりにくい統率者とはというと、「リソースが切れにくい統率者」だと思います。
 継続的にドローができるとか、墓地回収ができるとか、トークンが並ぶとか。
 もちろん、その能力が高すぎると普通にヘイトを稼ぎますが、「ほどほど」をであるとアピールさえできれば倒されにくいと言えます。
 勝ち切るタイプのデッキは走り始めるタイミングを見極めるセンスが問われますが、こちらは盤面全体との交渉術を求められるボードゲーム的な技量が必要となり、趣が異なると言えるでしょう。
 他のプレイヤー同士が疲弊し、温存したカードを叩きつけて最後に勝利を持って行く、そんな立ち回りをしたいときにオススメです。
 もちろん、そうするには勝ち手段は必要にはなってきますし、無限コンボやらを搭載できるならしても良いですが、
 無いなら無いで、疲弊した状態でそれなりに強力なフィニッシャーになれそうなカードを継続的に叩きつけても勝てるときは勝てるので、必須ではありません。

 ちなみに、『早く勝ちすぎる』のと『ゲームが長引く』はどちらも嫌がる傾向のあるプレイヤーはいますが、そんなのはやってみないと分からないし、構築や環境にも寄るので、最初は考えなくていいと僕は思います。
 ゲームスピードにまで意識が行くようになったら初心者を卒業していますし、その段階で考えれば大丈夫です。



4【そもそも“カジュアル”とは? “良い統率者デッキ”とは?】

 初心者さんはあまり意識する必要はないので、この項は読み飛ばして大丈夫です。
 統率者は4人で行うゲームなので、平均的な勝率は25%です。
 しかしながら、昼から集まって夕方までやっても他フォーマットをやったり、ロングゲームが発生したりで4ゲームできないこともあり、仮に4ゲームできても、キレイに1勝・1勝・1勝・1勝とは並ぶとは限らず、一日遊んでも一勝もできない参加者、というのは当然発生するわけです。
 では、一日遊んで一勝もできないデッキは悪いデッキであるかといえば、それは早計でしょう。
 なぜならば、そのデッキの目的は“楽しむこと”であるはずです。
 そのデッキがなければ、そもそもゲームが別のものになっていたでしょうし、楽しめたのならばそのデッキは役割を果たしています。
 しかしながら、なら勝利に価値がないのかといえば、それはそれで齟齬があります。
 勝とうとしている相手に“勝利とかどうでもいいから”という態度はコミュニケーションとして問題でしょう。
 それは、トロフィーを獲得するゲームで、そのトロフィーに価値がないと泥を塗る行為であり、紳士的とは言い難いですからね。
 そういった観点から、勝利を目指す必要は対戦相手への礼儀ではあります……が。
 ここで“ガチ”や“C・EDH”と呼ばれる考え方が出てきます。
 「環境を考察した上で最適化して、勝利する確率が最も高く妥当性のあるデッキを使う」、これもかなり楽しい遊び方です。
 なんですけど、コレってこのテキストで触れている他の要綱と必ずしも合致しないんですよね。

 例えば、オリジナルでデッキを組み、結果としてデッキパワーが水準に満たなかった場合。
 これでももちろん楽しめれば問題ないんですが、勝利に重きを置く対戦相手からすれば「最低限の礼儀を守っていない、勝利を汚すようなデッキ」と感じる人も、中にはいるかもしれません。
 これ、良い・悪いではないんです。感じ方ひとつなので。
 カジュアルEDH用に作ったデッキでも、競技用EDHデッキに勝つことも普通にありますしね。
 スタンダードのデッキでパイオニアやモダンのデッキと対戦するような感覚ですね。デッキパワーが違うけど、勝てるときは勝てる。

 この辺りが、よくツイッターなどでも話題になる統率者のパワーレベルとかの話に繋がってきます。
 パワーレベルの定義についても様々な意見が日々議論されていますが、絶対的な基準はありませんし、今後も出ないでしょう。
 僕個人は一日遊んで一回も勝てなくても気にならない側で、勝利よりもみんなでワイワイやりたい、が先に来るタイプ。
 ただ、同じ負け方ばっかりだと盛り上がらないし相手にも悪いので、家に帰ったら改良したり、新カードが発表されるたびに試したりする程度にはデッキ強化はします。
 一般的な統率者レベルで言うところの、5~7くらいで遊んでいると思います。

 個人的には、「一日遊んで一勝もできなければ自分はどう思うか」ということだと思います。
 「一日一勝くらいはしたい!」と思えるなら、そのモチベーションで勝利に向けて舵を切るのが良いでしょう。
 「勝利もしたいけどこのカードも使いたい」ならどっちもやれば良いと思います。
 それでコミュニティ内で、パワーレベルが合わなくても楽しめているならばそれで問題ないと思います。
 パワーレベルの差から楽しめないと感じるなら、そこは、とても難しい問題です。
 正解は多分、そのコミュニティごとに違うんだと思います。
 パワーレベルを合わせたデッキをいくつか作ってみても良いでしょう。
 良い統率者デッキとは、仲間と一緒に遊べるデッキであると、僕は考えます。



5【まとめ】

 自分が何がしたいのかが分かれば、あとはストレージやカードリストを時間が許す限り眺めると良いでしょう。
 もちろん、最初から高額カードいっぱいに買っても良いですし、ないならないで代替カードを探すのも楽しみです。

 仲間を作る、仲間ができる瞬間というのは、自分はとても好きな瞬間です。
 一応、自分はフリープレイ会の有名無実とはいえリーダーをしているんですが、自分を経由して、それまで他人だった人同士が友達になるのを見ることが多くあり、それは自分の友達を作ることとは別の次元の喜びがあります。
 MTGは最高の時間を共有ギャザリングできる相手を探し出し、友達を作ってくれる、紛れもない魔法マジックのカードゲームです。
 そして統率者は、複数人と一度に繋がれるフォーマットであると思っています。
 ヒュージリーダース、タイニーリーダース、パイオニアEDH、パウパーEDH、オースブレイカー、プレインチェイス、双頭巨人。
 様々な亜種が溢れる統率者界隈。
 きっとこれからも多くの戦術、遊び方、デッキが生み出されていくでしょう。
 ようこそ。EDHへ。
 きっと、あなたの参加を待っているテーブルは、たくさんある。
 

当記事はファンコンテンツ・ポリシーに沿った非公式のファンコンテンツです。
ウィザーズ社の認可/許諾は得ていません。
題材の一部に、ウィザーズ・オブ・ザ・コースト社の財産を含んでいます。
©Wizards of the Coast LLC."

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?