パイオニアにおける《集合した中隊》というカードの雑感。
《集合した中隊》というカードがあります。
デッキトップから3マナ以下のクリーチャーを2体を、なんとインスタントタイミングで出せるカードです。
4マナで6マナ分の仕事を、しかも通常はソーサリータイミングでしか出せないクリーチャーたちを直接2体戦場に。
相手のエンドフェイズに不意に出てくる2体のアタッカー。
ダメージレースを破壊し、1枚でゲームエンドもありえます。それがたったの4マナで。
ぶっ壊れカードです。最強です。
これがエターナルではなくモダンやパイオニアでも使える? 正気ですか?
今すぐ禁止カードにすべきでしょう。正常な判断とは思えませんね。
それでは今回はここまで。
ウィザーズの禁止改定によって正常な環境が戻ってくるのを待っています。
……いやまあ、現実的にはパイオニアでの《集合した中隊》はトップメタにはあまり存在していません。
筆者もオリジナルデッキ、《巻きつき蛇》で《集合した中隊》を数年間使っていましたが、これでは勝てないと判断し、頓挫しました。
その辺り、長年相棒として一緒に勝ち、負けてきたひとりとして、一考しておこうと思います。
今回も画像はMTG日本公式より引用しています。
・『なぜ《集合した中隊》は使われていないのか?』
最大にして唯一の理由は『搭載するデッキを選ぶから』です。
デッキトップから6枚確認してそこからクリーチャーを2枚出す。
言い換えれば、6枚見た中に3マナ以下のクリーチャーが2体あれば良いということですね。
他のカードゲームだったら結構簡単なんですが、MTGでは土地カードがあります。
デッキを構成するカードの少なくないパーセンテージは土地が占めます。
6枚めくると2~3枚は土地だと思って良い。
細かい計算とかは置いといて、数年間《カンパニー》を使ってきた体感として軽量クリーチャーはデッキに最低23枚、理想としては26枚はないと強くは使えないように思いました。
まあ、6枚見たうちの2枚なので、3分の1。
60枚デッキの内の20枚は絶対超えないとダメっていうのは直感的かと思います。
細かい計算については他サイトを検索、参照ください。
僕は数字に疎いので、体感でしか喋れません。
とはいえ60枚中26枚ってそんなに難しい? と感じるかもしれません。
しかしながら、MTGでは土地が23枚程度、更に《集合した中隊》自身がハズレ牌として必ず入ります。
《中隊》の効果で《中隊》がめくれたら、それはもうただのハズレです。
そうなんです。
もちろん、引かないといけないので《中隊》は4枚投入すべきです。
そのためにデッキを専用構築にしているので、引けないなら話になりません。
そうすると土地23枚に《中隊》4枚で27枚。
60枚デッキでクリーチャー26枚を目指すなら、あと7枚しか4マナ以上のクリーチャーや非生物呪文を入れられません。
ただまあ、クリーチャーの質も高くなっている昨今。
意外と形にはなるんですよ。
除去やハンデスを搭載しているクリーチャーも多いですからね。
この辺りで捌けばデッキになるんですが、サイド後がキツイ。
メインのクリーチャー率が高いということは、《至高の評決》のような全体除去を有するアゾリウスコントロールなどは厳しい。
そのため、サイドにも枠を割くべきです。
緑なので除去対策は豊富です。
って、このカードたちがまず非生物呪文じゃねーか!
つまるところ、これもメインボードの非生物呪文との入れ替えになります。
そうしないと、今度は《中隊》のヒット率が下がるというトレードオフになります。
選択肢としてはアリですが、サイドをしているのに勝率が下がりかねない事態です。
極端な話、デッキの中の非生物率が上がりすぎた場合、《中隊》をサイドアウトせざるをえない場面もあります。
どうしてこうなった。
他にも。
サイドボードのカードは元々非生物呪文が多いです。
クリーチャーは、クリーチャーである段階で最低限の戦力なので、そこまで尖った効果にしにくいんでしょうね。
全体除去や打消しなんかはソーサリーやインスタントの特権ですしね。
3マナ以下のクリーチャーに実用的といえるレベルで付与したら、それはそれでゲームとして問題ですし。
結果として《集合した中隊》に寄せたデッキとなると対応力に欠けたリストになりがちです。
対応力がないなら高速アグロに寄せれば良いのではないかと考えもあります。
例えば『ボロス・ヒロイック』や『赤単バーン』、『奇襲隊レッド』のようなデッキ。相手が何かする前に殴り倒すことが可能です。
しかしながら、《中隊》デッキは、当たり前ですが4マナの《中隊》を撃たなければなりません。
それなら土地はそこまで削れませんし、そもそも1マナ域のクリーチャーを増やしすぎると今度は《中隊》から1マナ域×2だけ出る、という悲しい結果にもなるため、アグロに割り振る形も難しいです。
こうなってくると、アグロにするなら《中隊》は抜いた方が堅実とすら感じます。
パイオニアのアグロにとって土地4枚って引きすぎの部類ですからね。
結果として《中隊》デッキはそこまで速くなく、かつ妨害札がかなり少ない。
そのため、そこそこの速度でゲームを決定付ける『緑信心』や『アゾリウスロータス』、
必殺コンボを有する『異形化』や『独創力』は相手にしていてかなり苦しかったですね。
・『じゃあ土地を削ればいいじゃないか!』
妨害札を増やしたいなら、土地を削って枠を作る。
《中隊》は緑のカードであり、緑でならクリーチャーからマナを出すのは楽勝です。
これらが有ればかなり絞れるのでは……!?
考えてやってみたんですが、結果としてはイマイチでした。
まず、《中隊》から《ラノエル》が出るとかなり弱いハズレになること。
というのも、散々言っていますがデッキ内に《中隊》以外はほとんど3マナ域のクリーチャーです。
ということは《中隊》が撃てている=4マナがあるわけで、そこから出る《ラノエル》は5マナ目……そう、完全なマナフラッドです。
そういう意味では土地を削って《ラノエル》を増やしても、抜本的な戦力増強に繋がっていないのです。
もちろん、《中隊》を早く打つために《ラノエル》の採用はアリなんですが《中隊》のスカ率を下げるという意味の対策とは言い難いんです。
むしろ《ラノエル》をクリーチャー1枚分と数えていいのか? という話です。
《グレート・ヘンジ》が着地してれば《ラノエル》でもドローになるって?
それはそうですが、そもそも《グレヘン》が定着してるなら《中隊》がなくても勝勢。
更にかなり都合の良いドローをし、相手に妨害を食らってない想定ですし、《グレート・ヘンジ》自体が《黙示録、シェオルドレッド》や《大いなる創造者、カーン》に弱く、トップメタとの戦いでは裏目になることも。
悪くはないものの、これを取ってしまい、デッキ内のクリーチャー率を下げているのも問題。
じゃあ、《カザンドゥのマンモス》は、というと、これも本末転倒で。
普通に手札に引いたときに事故率の低減にはなりますが、
そもそも《中隊》を搭載しているデッキが一番やりたいのはテンポよく1マナ生物、2マナ生物、3マナ生物、4マナカンパニーとテンポよく脅威を叩きつけていく動きでしょう。
このときの土地が《カザンドゥ》しかなかったら、これができません。
どこかで土地のタップインで動きを妥協しています。
そうでなくても、このデッキは4マナ上のマナ域のカードが少ないということは、捌き合いの引き合いになったら不利になります。
今引きで強力といえるカードは、《集合した中隊》のみですからね。
序盤~中盤で強い動きをし続けなければいけないデッキで、タップインなんてしている場合なのか?
もちろん、土地としてはないよりはマシというレベル、更にクリーチャーとしては《鉄葉のチャンピオン》などより見劣る。
安定性は上がっていますが、爆発力という意味では下がり、やはりトレードオフ。
1~2枚入れて安定性の向上を図っても良いでしょうが、コロンブスの卵というわけにはいかないでしょう。
・『じゃあ《中隊》は弱小カードなのか?』
“今は”トップメタの一角というカードではありません。
しかしながら、多くのデッキで試され、実験がされ続けているのも事実です。
アグロ型の2色、アゾリウススピリットも人気だが、
緑タッチすることで《中隊》を使用すれば、爆発力は格段に高くなる。
今はアゾリウス型の方が流行っているように思うが、今後は分からない。
5マナでソーサリーの《中隊》。
実質的に白主体の使用が強制されるが8枚体制を取れる。
現在はティア2の天使系で見るのみだが、天使は継続的に強化されています。
3マナ以下で強い天使! 3マナ以下で強い天使! お願いします!
もちろん、《カイラの再建》自体も他のデッキへの搭載もできるので研究の甲斐はあります。
そして、筆者はビートダウン脳なので殴ることを主体と考えていますが、《中隊》はコンボパーツも探せる。
《中隊》以外にもデッキ内をクリーチャーに統一する理由のあるカードはある。
《野茂み歩き》や《裕福な亭主》でライフを担保してから《城塞》が機能すればデッキトップからクリーチャーを無尽蔵に叩きつけられる。
2枚で何度でも唱えたり手札に戻したりと無限にグルグルできる。
更に。
こういうカードがあれば勝利。
これらは全て《中隊》1枚から探すことができる。
《アーチリッチ・アサーラック》&《ガイアの眼、グウェナ》などもこれに該当する。
可能性は無限大!
個人的に気になっているカードが、《錠前破りのいたずら屋》。
《中隊》から出せる2マナであり、更に出来事で《中隊》を探すことができる。
フェアリーはディミーアカラーが一般的だが、もしかしたらスゥルタイ・フェアリーのようなデッキも発生するかも……?
いや、でも、非クリーチャー呪文が使えないのは痛すぎるし、いやでも、アレで補えば……うーん、まさか……?
直近ではアマリアコンボが存在感を発揮してきました。
この2枚が揃った状態で、探検か回復のアクションが入ると、相互に連鎖して無限ループに入ります。
そして《アマリア》のパワーが20まで上がったところで全体除去が機能し、
このとき、最低18回探検するので70点越えのライフと、パワー20~21の《アマリア》が残るので、《アマリア》が殴って終わりです。
(最後の全除去で《野茂み歩き》が戦場を離れているが、探検した段階では戦場にいるので、誘発のチェックは行われ、21にもできる……はず。きっとおそらく多分)
キーカードを二種ともサーチできるため、様々な形で検討が進んでいますね。
とはいえ、このルートだと揃ってないパーツをピンポイントで確定サーチする《召喚の調べ》と競合している様子。
どちらかは自力で引かなければならない《調べ》ですが、不確定で探してダブったりする可能性もある《中隊》とは一長一短といったところですね。
そんなこんなで新しい3マナのクリーチャーが登場するたび、《中隊》は進化します。
筆者は《巻きつき蛇》と組み合わせて使うのを諦めましたが、それは相性による限界であり、カードそれぞれの限界ではないと思っています。
現在のパイオニアでは欠点が目立つといわざるを得ません。
しかしながら、それでもデッキトップから6枚をワクワクしながら見る快感は他にはありません。
最強の2枚が出せるか、まさかの土地6枚が見えてしまうのか。
あなたも自分だけの中隊、自分だけのデッキでワクワクしてみませんか?
当記事はファンコンテンツ・ポリシーに沿った非公式のファンコンテンツです。
画像はMTG日本公式より引用しています。
ウィザーズ社の認可/許諾は得ていません。
題材の一部に、ウィザーズ・オブ・ザ・コースト社の財産を含んでいます。
©Wizards of the Coast LLC."
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