『パイオニア墓地対策考察』 2024 その1
皆さん、あけましておめでとうございます。
これ書いてるのはバリバリの2023年ですが、更新は新年一発目なのであけおめから始まる84gです。
今年も妄想と研究の間みたいな記事を作成していきますので、よろしくお願いします。
今回はパイオニアサイドボードにおける採用基準の考察・まとめとなります。
記事のスタートとしては、自分もサイドボードに何を採用するかでどっちが強いかわからなくなったのでまとめが欲しくなったので。
どっちが強いんだ……?
たくさん有って、どれも強そうでどれも弱そう。それが墓地対策。
わかっている人はサラっと決められるのでしょうが、自分のようなハンパな腕の人間は考察しながら必死に決めています。
というわけで、自分用にまとめているので、「それって違うんじゃない?」みたいな指摘があればどんどんお願いします。
《風化したルーン石》
シンプルに墓地から呼び戻すようなカードを防げます。
《孤光のフェニックス》のような自力で墓地から復活できるカード、更に《大牙勢団の総長、脂牙》で機体を呼び戻す動きも止めることができ、拘束力は中々に高いです。
欠点は「墓地からカードを消すわけじゃない」こと。
《ルーン石》が除去された場合、今まで抑えられていたカードが全て力を取り戻します。
墓地から消さないということは、墓地をコストに払う探査には干渉しないということでもあります。
他フォーマットでは出禁になったりもしている強力カード群。
フェニックス系、青系コントロール、新生化コンボなどなど。
最近だと《豆の木を登れ》とのシナジーがあるので新デッキも研究されているカード群ですが、ここに対して全く対応できないのは構造上の欠陥ですね。
半面、他の墓地対策カードと一線を画す強力な能力として『デッキからカードを呼び出す効果も止める』という特性があります。
アマリア探検コンボで、他の墓地対策も効く《戦列への復帰》・《救出専門家》以外にも、《集合した中隊》・《召喚の調べ》といったキーカードを防ぐことも可能。
野茂みアマリアは《スカイクレイブの亡霊》や《機能不全ダニ》のような、このカードを突破できるカードもありますが、
そもそも、それらを探すサーチカードを止めることが可能となり、対策として有効といえるでしょう。
更に《異形化》や《銅纏いののけ者、ルーカ》、《奇怪な具現》、《新生化》への対策にもなります。
もう、これ、《アトラクサ》の対策カードじゃねーか!
これらのカードは構造上、デッキの専用化が必要なフィニッシャーであるため、機能が停止すると大幅な戦力低下が望める。
ちなみに、類似する《不屈の独創力》や《白日の下に》は、ライブラリーから公開してはいるものの、スタックを経由して唱えているので、ライブラリーからは出ておらず、止まりません。
とはいえ、そもそも墓地対策のカードで二次的に防ぐことができると考えれば範囲は狭くはないのですが。
総合的にはかなりバランスのいいカードなんですが、戦場に干渉ができないため、複数枚重ね引きするとツライのがありますね。
例えば、イゼットフェニックスなら《帳簿裂き》、緑タッチの脂牙系なら《エシカの戦車》など、対策だけしてれば勝てるというわけではないため、盤面に触れないのがデメリットとなります。
更に、自分もそれらのカードを使えないことが致命的で、自分もこれらのカードを使いたいときは率直なマイナスとなります。
結構、墓地利用がメインではなくても1~2枚くらい該当してしまうデッキがかなり多いのではないのでしょうか。
こういう対策カードを使うとロングゲーム化しやすく、手札に引きこむ確率も上がり、裏目となる確率が高い。
また、この前、地元のカードショップで《異形化》の上手い人と大会で当たったときに試してみたのですが、僕のクリーチャーに打たれて普通に除去として機能してしまいます。
本来ならそこから補填でクリーチャーが出てくるのですが、それを自分の《ルーン》が止めてしまい、普通の除去になっている。
お互いに永続的に封殺されてしまうこのカードだから起きる怪現象。
筆者の勉強不足という指摘は断固として無視します。
幅広い対策が可能ではあるため、該当するカードを用いないデッキでこそ真価を発揮する対策カードと言えます。
範囲が広すぎるのが最大の弱点かもしれません。
《夢を引き裂く者、アショク》
《風化したルーン石》と同じく《召喚の調べ》・《新生化》・《奇怪な具現》への対策になるカード。
ただし、あくまでめくったカードを出すだけの《集合した中隊》や《異形化》・《ルーカ》は止まりません。
パイオニアではフェッチランドがないので、あとは《異界の進化》、《白日の下に》、《出現の根本原理》、《寓話の小道》、《廃墟の地》辺りを妨害できます。
墓地対策のついでに防げるのはもちろん魅力的です。
最大5回まで墓地をリセットできるものの、プラス能力を持たないため、使うたびに忠誠度=耐久力が目減りしていく。
更に3マナというのも小さくない弱点で、後手番で3ターン目の着地はかなりキツイです。
相手が2・3ターン目に打点のあるカードを置くと、着地させても返しのターンで殴られてかなり厳しいです。
根本的な欠点として、ソーサリータイミングの忠誠度能力なので、こういうのに対応できないです。
《アショク》が墓地を掃除しても、そのターンのエンド時に《忌まわしい回収》で墓地に《パルヘリオン》のようなカードを落とされ、返しのターンで《脂牙》を着地させると、もう対応できません。
インスタントタイミングで墓地を肥やして、返しでキメる動きはフェニックス系などでも見られますね。
現パイオニアにおいて、主に対策が必要な墓地利用系であるパルヘリオン系、フェニックス系はどちらでも搭載されており、絶対的な耐性を持つわけではありません。
では使えないカードなのか? いえ、このカードにはこのカードにしかない特性、それが「4枚の切削」です。
テキストがやや分かりにくいですが、切削する対象は自分自身を指定できます。
自分自身を対象に取れないケースはあまり存在しないため、そのあとの対象を指定せずに墓地追放する効果が不発になるケースはほぼありません。
つまり、自分の墓地を肥やせるんです。
これは他の墓地対策カードにはない特性で、相手の墓地利用は咎めつつ、自分は使えます。
そのため、フェニックス使い同士のミラーマッチなどの対決でも強く光ります。
更に、デッキ破壊(LO=ライブラリーアウト)デッキでも、相手の墓地を増やさず、更に切削を進められます。
追放で削れるのはパイオニアではコレと《ターシャズ・ヒディアス・ラフター》くらいですからね。
更に特有の長所として、青黒の混成マナなので青か黒のどちらかが濃ければ使える上、二色のカードなので《ニヴ・ミゼット再誕》で手札に加えられるという特性もあります。
自分自身のデッキ構成を歪めることなく、墓地対策をしながら自分の戦術を進めることができます。
自分も墓地利用をする、LOを狙う、二色であるなど、二次的な目的を達成できる唯一の墓地対策カードと言えますね。
《未認可霊柩車》
墓地対策の本命。
シンプルに毎ターン起動ができ、かつ構えておけば《フェニックス》や《パルヘリオン》を釣り上げるタイミングで弾くことができる。
ヒマなときは墓地をチマチマ追放しておけば、《宝船の巡航》のような探査コストも削っていけますし、自分が墓地を使わないならヒマなときに自分の墓地を入れておけばP/Tを上げられます。
このため、墓地対策にありがちな『他の状況で仕事をしない』ということもありません。
捌き合いの消耗戦に持ち込めば、二桁のP/Tも珍しくなく、巨体で殴り掛かれます。
墓地対策をしつつ、色拘束もなく、欠点らしい欠点は特にありません。
一応、1ターンに1回、かつ2枚までしか対処できないので、中盤以降にトップデッキした場合、既に3~4枚落ちてる《孤光のフェニックス》に対処できないなどのシチュエーションはあり得ますが、そう多くはないでしょう。
そもそも、その状況なら既に戦場に出ていることも多いですからね。
実質的にデメリットになることも少ないでしょう。
搭乗と追放がどちらも起動型能力であるため、以前までは《大いなる創造者、カーン》で止まるという欠点がありましたが、禁止化したことでこの裏目はありません。
(このカード自身を《カーン》でサーチする動きもできなくなったため、直接的な強化かは微妙)
強引に欠点を上げるなら、《デニック》のような《地の封印》系の効果で防がれる程度。
スタンダードではかなり流行しているカードですが、パイオニアでは採用数が少ないため、そこまで大きなリスクではなさそうです。
このカード自身が墓地利用カードなので他の墓地対策カードで弾かれる欠点もあり、併用できない点はデメリットですね。
総合的には現パイオニアにおいて特別な理由がなければ《霊柩車》を選択しても問題ないと考えています。
《虚空の力線》
多くの環境で活躍する墓地対策の決定版。
力線と呼ばれるサイクルは何度か登場し、他の色の力線は収録ごとに別のカードに差し変わることも多いですが、黒の力線は初代からずっとこの《虚空の力線》が担当。
そのため、他の色の力線は色で呼んでも分かりにくかったりしますが、このカードだけはただ単に『黒力線』と呼ばれ通じます。
それほどに人気のこのカードは、力線固有の初期手札にあるときにプレイできる効果から、4マナでありながらゼロマナ、かつ唱えることすらなく戦場に出すため、打ち消されることすらありません。
アーティファクトより対処札の少ないエンチャント、かつ《ウィザーブルームの命令》で干渉できない4マナと出てしまえば対処は困難。
自分の墓地利用には一切干渉せず、相手の墓地だけを虚無へと導く。
まさに絶対無敵、最強無比。墓地対策のハイエンドカード。
このカードさえあれば、他の墓地対策なんていりませんね!
まあ、そんなわけないんですが。
確かに“初手に有るなら”最強です。異論の余地はありません。
しかし、サイドチェンジ後、7枚のバランスは良いが、このカードがないハンドをキープするかはかなり判断基準が難しいです。
マリガンして《虚空の力線》を探せたとしても土地が0~1枚とかキープ基準に満たなかったり、4枚フル投入していたとしても1マリガンでは引けない確率の方が高いでしょう。
2マリガンしてこのカードを探せたとしても、相手もサイド後に墓地対策が飛んでくることはわかっているのですから、墓地に依存しない攻め札も用意していると考えるべきでしょう。
イゼットフェニックスなら《弾けるドレイク》、アブザンパルヘリオンなら《エシカの戦車》などが該当しますね。
マリガンを繰り返して痩せた手札でこれらのカードの相手をするというのはかなり厳しいです。
4マナで使えるといっても、黒のダブルシンボルはどのデッキでも出せるわけでもなく、4ターン目となれば墓地に既にカードを仕込み終わっているケースもしばしば。
このカードの着地前に墓地に送られたカードに干渉できないのも、このカードの欠点といえますね。
(初期手札にあればその欠点も存在しないのですが)
初手で引けたとしても2枚目以降の力戦は完全に死に札ですし、ハイリターンではあるものの、それに等しいリスクを兼ね備えるカードと言えます。
総合的には、《霊柩車》の方が強い場面が多いように思います。
ただ、高速アグロなど2マナの損失すら許容できない、《ケルーガ》を相棒にして軽量カードを採用できない、《奇怪な具現》のコストにできるエンチャントである、黒の信心を参照したい……などなど、このカードにしかない長所もかなり多いです。
パイオニアではそこまで採用数が多くない印象がありますが、適正なデッキを見極めることができれば、文句なしに最強のカード。
ぜひ使いこなしてほしいですね。
ちなみに、次項の《安らかなる眠り》もそうですが、このカードの効果で《錠前破りのいたずら屋》の出来事や《ガイガン(深海の破滅、ジャイルーダ)》は止まりません。
詳しくはこちら。
つまり、本来は効果を及ぼす領域が変更されると不発になるんですが、
追放領域は表側で追放されるのであれば公開領域であるので、問題なく探すことができる、と。
《安らかなる眠り》
エルドレインの王権のおとぎ話枠での再録で一気に安くなった白くなった《虚空の力線》とでも言うべきカード。
効果範囲は《虚空の力線》と同じなんですが、平等の白ということもあり、自分の墓地も追放してしまいます。
そのため、《風化したルーン石》のように自分の墓地利用も否定するので、墓地依存度が低い白を用いるデッキで検討されます。
白特有の裏目としては、《サリア》の課税対象なので、手札に両方ある場合にどっちを先に置くのかが難しくなる点ですかね。
そこは自身の手札、相手のデッキをを考慮しつつ的確に判断したいところ。割りと勝負の分水嶺になることも多いです。
白がそこそこ入っており、自分の墓地依存度が高くなければ投入を検討しても良いでしょう。
《トーモッドの墓所》
《虚空の力線》を除けば、パイオニア唯一のゼロマナ墓地対策。
一切のテンポ損なく墓地対策を行うことができます。
しかしながら1回使い捨てです。
アブザンパルヘリオンを例にとれば、《脂牙》が《パルヘリオン》を釣り上げようとしているのを止めても、《脂牙》本体は残っているのでもう一度墓地にカードを落とされれば対応できません。
テンポアドは取れますがハンドアドは逸してしまい、お互いに妨害を撃ち合っての消耗戦となった場合、リソース差で敗色が濃厚となってしまいます。
もっと下環境ではカードパワーが高く、一撃を防げば返しのターンで勝てることも多いので採用意義もあるのですが、パイオニアのカードパワーでは裏目が強く出やすいカードといえますね。
そもそも、そこまでテンポを重視するなら高速型のデッキのはずなので、初手になければ意味がない場合も多いので《虚空の力線》を優先される印象があります。
とはいえ、《エムリー》で繰り返し使えたり、《ティボルトの計略》で打ち消して強力呪文を打つコンボだったり、果敢や《創造の歌》の誘発をしたりなどなど。
固有のコンボは多く軽視できる1枚ではありません。
カードパワーも構築級なのは確かですが、環境に即していないという立ち位置に思います。
さて。
量が多くなってきたため、今回はここまで。
記事のスタートである《アショク》と《風化したルーン石》、そして代表的なカードたちを紹介してきました。
来週は各色の強力カードの分析を行っていきますので、次回もお付き合いください。
当記事はファンコンテンツ・ポリシーに沿った非公式のファンコンテンツです。
画像はMTG日本公式より引用しています。
ウィザーズ社の認可/許諾は得ていません。
題材の一部に、ウィザーズ・オブ・ザ・コースト社の財産を含んでいます。
©Wizards of the Coast LLC."
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