2024/04/13 河北新報社に対する質問書

既に上梓した『「やさしさ」の免罪符 暴走する被害者意識と「社会正義」』にも一部記しましたが。


同じ東北地方、福島県の隣県である宮城の地元紙でありながら、河北新報の東電原発事故関連の報道には多くの疑問点とフラストレーションがありました。
ここで示した、信濃毎日新聞と同じ気配を感じていました。

そうした中、河北新報もまた、3月24日に信濃毎日新聞の二番煎じとなるような「風評加害」の用語を問題視する社説を書きました。


そこで4月13日、信濃毎日新聞と同様、以下のような質問書を送りました。

>河北新報社編集局長様

福島県出身・在住ジャーナリストの林智裕と申します。

先日、貴紙の3月24日社説他を拝読しましたところ、「風評加害」について事実と異なる記述や疑問点、矛盾点がありましたので、質問書をお送りさせて頂きます。お忙しいところ恐縮ですが、以下8点の質問に対して、ご担当者様の部署とご芳名を明らかにした上で、4月18日(木)17時までにメールでの回答をお願い申し上げます。
また、返答の有無や回答内容も含めた貴紙のご対応は、記事や書籍、SNS、学術論文などに記録・掲載させて頂きますので予めご了承をお願い申し上げます。

1. なぜ「風評加害」の言葉を問題視したのでしょうか。

2. 「風評加害」には当事者からの告発も多大に含まれています。なぜ、『今も福島県産の購入を避けたり、被ばくの影響を不安視する行為』に限定したのでしょうか。理由をご教示ください。

3. 河北新報様が言う「被ばくの影響を不安視する行為」についてお訊ねします。東大などが1500人(福島県内300人、県外1200人)を対象に行った調査(2021年9月)によれば、東電原発事故に伴う偏見・差別の原因を“マスメディア”と考えている割合が63.3%にのぼり、“SNS”53.5%、“政府・行政、東電”約35%と比べて際立っています。実際には、河北新報様自身の責任は「政府・行政・東電」「SNS」に比べ、どの程度の割合で存在するとお考えでしょうか。

4. 『処理水を「汚染水」とあえて言い続けるなど、苦渋の想いで解放放出を見詰める地元からすれば承服しがたい言動や行動』と書いておりましたが、河北新報様自身はこれまで、こうした言動に加担してきましたでしょうか。ある場合、具体的な記事をご教示ください。

5. 2023年9月21日に『県議会から「汚染水」に過剰反応 排除せず冷静な議論を』と題して掲載した記事にも質問させて頂きます。「汚染水と言うな」「風評加害者だ」などのやじが飛んだことを問題視していましたが、河北新報様は誤解と風評偏見を広めかねない議員の発言には『海洋放出に対する懸念の強さに同調するかは各議員の判断』として誤りを糺さず、発言に対する批判を問題視したのは何故でしょうか。その理由をご教示ください。

6. 河北新報様は『「汚染水」に過剰反応するべきでない、不当な混同に反論するためにも言葉を単純に排除するべきではない』と主張なさっている一方で、「風評加害」の言葉は社説を用いてまで問題視したのは何故でしょうか。対応が違う理由を具体的にご説明ください。

7. 河北新報様は『「加害」の責任が問われるべきは事故をもたらした側に尽きる。福島の人々をはじめ被害を受けた側をさらに加害と被害に分け、対立させかねないことは避けねばならない』とも書きましたが、たとえば「火事場泥棒の責任が問われるべきは火事をもたらした側に尽きる」が成立しないのは自明です。なぜ、原発事故については「風評加害」の責任までも「事故をもたらした側に尽きる」と断言したのでしょうか。お答えください。

8. 「福島の人々をはじめ被害を受けた側をさらに加害と被害に分け、対立させかねないこと」というのは何のことを指し、どのような事例がありますか。具体例をご教示ください。

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