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逆輸入


「言葉は時として凶器になり得ます。

ナイフや銃と同様、言葉には人を殺す力があるのです。

じゃあ………使うしかないでしょ!!


我々殺し屋業界は常に危険と隣り合わせでした。
銃の取引をするときのハラハラ感なんてたまったもんじゃないですよね。
でも、『言葉』があればもう怖くない!

今回は、犯罪に巻き込まれる確率を格段に低下させた、安心安全のプランをご提案させていただきます。
きっと我が社の成長を担うサービスとなるでしょう。

方法は簡単。
我が社にインターネット部隊を創設し、ターゲットのSNSに罵詈雑言の雨あられを浴びせる、これだけ!

本当にそれで人が殺せるのかとお思いでしょうか?
でも、画面の向こうには人間がいることを忘れないでください!
『中傷は気にしてない』なんて言ってても、どうせ口先だけですから!


そして『インターネット特殊部隊』に関してですが、こちら特別な技術・覚悟はほとんど必要ありません。

だってスマホで悪口打ち込むだけなら老若男女誰でもできますよね?
自分が殺しに加担している感覚もありませんよね?

今まで射撃の技術やサイコパスが採用条件だった我が社でも、ダイバーシティ豊かな人材登用を実現できるようになるのです!


しかもこの方法、東京湾にドラム缶沈めるよりはるかにクリーンな解決方法になっております!
SDGsが叫ばれる昨今。我が社は新たに、地球の"掃除屋"をも目指していくというのはいかがでしょう?

処理代・凶器代もかかりませんから、費用だって抑えられます!

クールな殺し屋のイメージからは程遠い陰湿さかもしれませんが……裏社会にも働き方改革の波が押し寄せているのです!殺し屋2.0です!
価値観をアップデートさせていきましょう!




じゃあ具体的にどんな言葉を浴びせるのか、一例を掲載したスライドをご覧ください!

まず、ターゲットが『このスイーツ最高!』と投稿したとします。
ここに我々は『それ他の人も投稿してたけどステマでは?』とリプライを……

あっ

大変申し訳ございません!
誤りの画面が表示されていますね……



おい!!!!

誰だこのスライド作ったの!!!!

このリプライ『批判』になっちゃってるぞ!!!
根拠を示して改善のための指摘してんじゃねえか!!!
批判と中傷ゴッチャにすんじゃねえよ!!!
修正版あるだろどっかに!!!



すみません!お待たせしました。
こちらのスライドをご覧ください。

そうそう、『こんなブスが食ってる飯買うわけねえだろ。バカなの?』
これです!明らかに改善を求めない人格否定!
貶めたい、ただそれだけの強い気持ちが凶器になりうるのです!
時代はドスよりブス!チャカよりバカ!

我々の稼業は死ぬこと以外かすり傷ですから、殺さないと意味がありません。今後もこのような殺傷能力の強い銃弾を取り揃えていきます!

……とはいっても言葉は銃刀法には引っかかりませんからね!ご安心ください!




さて、ここまでのプレゼンで私が発案したプランの魅力が少しでも伝わったんじゃないでしょうか?

ボス、サービス導入のご英断よろしくお願いします!」






「ふむ……確かに悪くない提案だ。しかし……

こんな斬新なプラン、どうやって思いついたんだ?」











「表社会の人がやってたんですよ!」




















サポートは生命維持に使わせていただきます…