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狼のいる毎日

ある会社説明会でのこと。

人事担当の人が「会社のTwitterアカウントで就活生から質問を募集してみたんですよ。そしたら匿名で悪口とか投げてくる人がいて、辛くなってやめちゃいました(笑)」
と冗談交じりに語っていた。

すると周りの就活生からは一斉に笑いが起き、最前列の軍団はタレントみたいなリアクションで「エ~!!!!」とか「ワ~!!!!」とか言っていた。
その時も僕はなんとなくヘラヘラしていた。

しかし、今思うとこの状況は笑ってる場合ではない。
会場内に書き込みの犯人がいる可能性があるからだ。

周りを見渡して、唯一笑ってないやつを探すべきだったのではないか。




※こんな書き方をすると「だって犯人は私なのだから…」的なオチになりがちですが、そういうわけではありません。




〇〇のネットが炎上!みたいな話は常に第三者の視点から語られている。

しかし、炎上ほどの社会現象になっているなら一定数「炎上させている層」がいるのは当然のことで、そこらへんでスマホ歩きしてるお姉さんが実は渦中の人物にとんでもない罵詈雑言を浴びせている可能性もある。

いや、通りすがりどころではない。

「お父さんがクソリプおじさん」とか「お母さんがネトウヨ」も全然あり得る。

ただ、「私のストレス発散ですか?芸能人をネットで罵ることですね(笑)」とか「私は!!芸能人の不倫が!!本当に!!許せません!!」なんて自分から言う人がいるわけないので、真相は藪の中だ。

ネット弁慶と呼ばれる人は、その存在だけは確かなのに現実世界で見つけることが難しい。

なんだか人狼みたいな話だ。

人狼は昼間は市民に紛れているが、夜になると「悪」の匂いを嗅ぎつけて市民に襲いかかるのである。



そして、たまに人狼サイドの人間がガチ事件を起こして処刑されることもある。

その時、人狼は初めて正体を表す。

正直、人狼はその姿をあまりに表さないので半分UMAなんじゃないかと思ってしまうが、こういうニュースがあると「本当にいるんだ!」という気持ちになる。

定期的に吊られるのもまた人狼らしい。




何の面白みもない現実社会も、この中に人狼がいると思うとちょっとエキサイティングに思えてくる。

あの地平線 輝くのは 
どこかに君を 隠しているから だ。

僕たち善良な市民は、人狼が潜む毎日を刺激的なものと捉えてヘラヘラ過ごすしかない。
人狼の面白みは人狼が誰かわからないところにある。


やたらと市民アピールすると怪しまれそうなので、ここらへんで止めておこう。





それでは、恐ろしい夜がやって来ます…
























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