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【フルートの選び方】今まで使ってきたフルート(小学生〜中学生〜高校生〜音大生〜現在)の解説や値段、オススメ

こんにちは!フルート奏者の佐々木華です。

普段は演奏やレッスンの活動をしながらYouTubeやライブ配信での発信活動もしているのですが、このたび初めてnoteを書いてみました。

YouTubeで演奏動画のほかレッスン動画をいくつか出していることもあり、動画のリクエストとしてフルートの基礎についてや楽器についての説明などをしてほしいというものもいただいています。今回は動画とnoteの2本立てで、初心者から今に至るまでの自身が使ってきた楽器の紹介をしながら、選び方のコツなども解説していけたらと思います。


①今まで使ってきたフルートのモデルや値段

・小学4年生〜YAMAHA YFL-221(白銅・銀メッキ,キイは洋銀・銀メッキ)

ヤマハの一番初心者向けのモデル。YFL-221は生産完了品ですが、YAMAHAの200番台のシリーズは今でも白銅を使った「鳴りやすく、耐久性のある素材」のフルートとして多くの方の手に取られています。価格も65,000 円という、貴金属の楽器としては非常に手頃な値段です。

初めてフルートを吹いて「鳴った!」という喜びを覚えた楽器で、今でも大切に保管しているので思い入れがあります^^。キイはカバードキイで指の形に沿うオフセットなので楽器の持ち方に慣れていない方でも比較的音を簡単に出すことができます。


・中学生〜MURAMATSU DNモデル リングキイ 総銀製フルート

中学2、3年生くらいからは、洋銀の楽器では物足りなさを感じ、頭部管のみ銀製にして銀の重みに慣れるようにしつつ、最終的にムラマツのDNモデルという総銀製フルートを使用していました。DNモデルも今となっては現行ではなく、DSモデルの前身のモデルなのですが、独特の渋い深さのある楽器だったかな、と思います。この頃からソロでのコンクールなども少しずつ出始め、楽器としてある程度のボリュームで鳴るものが必要になってきていました。

価格としては現在中古で売られているもので50万円前後のものが多いようです。


・高校生〜POWELL  ハンドメイドシルバー 総銀製フルート

高校生になってからは日本の中でも本格的なコンクールを受けたり、東京芸大の受験に向けて本格的な準備をするという目的もあり、さらに華やかな音を求めて、アメリカ製のパウエルのハンドメイドモデルを使っていました。華やかなキラキラした音色を奏でてくれる菅体に加え、キイにはストロヴィンガーという特殊な製法のパッドが使われており、音のキレがよくはっきりとした音を出すことができるモデルです。販売価格は通常新品だと約 200万円ほどになります。(ムラマツ〜パウエルの楽器の購入の際はは以前使った楽器を売ったり、新しい楽器も中古の購入のやりとりをしていただいていました。それにしても、とても貴重な楽器に中高生の頃から触れさせてもらえたことのありがたみが今になって分かります...)

・受験〜芸大時代  POWELL ハンドメイド総14Kゴールドフルート

とにかく実技の1次試験では音と確かなテクニックが勝負の芸大受験。お守りのような14金のフルートで挑みました。輝かしいサウンドに、音の厚みも非常に豊かでパワフルな楽器です。この楽器は自分の体には重すぎて、今はそのあと購入したシルバーの楽器をメインで使用しているのですが、佐々木家の家宝として(笑)実家にあり、どうしても必要な時はゴールドも吹いています。

お値段は..秋田に小さな家が建ちそうです.....


・現在(フリーランス奏者) SANKYO ハンドメイド総銀製フルート  ピュアシルバー(AG997)

これが現在の使用楽器で、大学を卒業した年にローンを組んで初めて自分で購入したフルートです(無事完済しましたが死ぬかと思った😂)

軽くて持ちやすく、かつ自分の音色を出せる楽器が欲しかったのですが、芸大時代のほとんどは14金の楽器を使っていたこともあり、通常のシルバーでは満足できなかったようで、強化銀という通常のシルバー(AG925)よりも銀の純度がさらに高い素材のフルートを選びました。典型的なシルバーの音色を超えたところで歌うことができ、様々なジャンルや、多彩な音色作りにも応えてくれる相棒です!また、日本のプロ奏者ではあまりしない選択ですが、C足部管のオフセットリングキイという内訳で、体のバランスを保つことを重視し手が非常に小さい自分でも吹きやすく、かつ音の抜けが良いスタイルで今は使っています。サンキョウ独自のニューEメカという元々ピッチが高くなりやすいEの音の運指に合わせてGのトーンホールを小さくするものが標準装備でついているのですが、他の音の抜けや音程バランスを損いたくないなということで従来のEメカシステムをカスタムしています。頭部管はRT-2というモデルで、標準のSTモデルよりも力強い低音域とダイレクトな反応を得られるモダン設計のものを使っています。

価格はカスタムしたものを含めて120万円くらいでした。


②フルートの選び方

自分で楽器を何本も使用してきた経験や、生徒さんの楽器選びをしていて感じたことからタイプ別に楽器の選び方のアドバイスを書いてみました。

・初心者全般...初心者の方でも手にする楽器は様々ですが、多くの方が気にされるのは「この楽器を購入したとしていつまで使えるものか」ということだと思います。最初の数年間だけ使って、徐々にグレードアップしていく前提ならば、初心者の方でも難なく吹きやすいカバードキイ(キイがリングでないので塞がらない心配がない)で管体は洋銀製(楽器そのものの質量が軽く、楽器鳴らすのに必要なエネルギーも少ない)に加えて予算が許せばリップ銀や頭部管銀程度のものが良いと思います。初めからリングキイの楽器や総銀を買ってずっと使う、という方ももちろんいます。約10年が寿命と言われている金管楽器よりもフルートはずっと長持ちしますので、定期的なメンテナンスや必要に応じた金属以外のパッドなどの部分の交換をしていくことで数十年使うことができます。自分の気に入った楽器を吹く、ということがやる気と上達につながるということは大いにあるので、憧れのモデルが決まっているのであれば、ずっと使いたい一本を選んで、初心者期間は必要に応じてリングキイを埋めるためのプラグや持ち方の補助具などを上手く使って楽器に慣れていくという方法も可能です。

・小中学生...小中学生で初めて楽器を手にする場合は、体の負担を小さくするために、U字管のフルートを用いることもできます。また、肺活量があまりにも足りない場合、リコーダーやファイフなどの小さく音が出しやすい笛から慣れていき、ソルフェージュの要素と合わせて勉強を始めるという方法もあります。

・メーカーについて...日本、海外と様々なフルートメーカーがありますが、材質のラインナップや価格、響きの明るさや重さ、吹奏感など吹き比べてよくみていくとそれぞれ違いがあります。どのメーカーが良い、悪いということよりも、自分の演奏スタイルや演奏する場所に合った響きを見つけること、そしてメーカーごとにメカニズムやキイの形も違うので、違和感なく扱えるものを選択していくことが大切です。また、楽器購入後にもさらに目指す音や演奏のしやすさを追求するためにクラウン・反射板・キイの高さや重さ、位置の微調整、U字管とストレート管・C足部管とH足部管の交換などをすることもできるので、メーカーやリペアの方と相談しながらより良いフルートをカスタマイズしていくこともオススメです!


③最後に...

今回はこれから楽器の購入を考えている方、そしてすでにフルートを楽しんでいていろいろな楽器に興味のある方に向けて楽器選びについての記事を書いてみました。

「弘法筆を選ばず」とは言いますが、優れたプレイヤーならばどんな楽器でもある程度扱える一方で、より自分の演奏やスタイルに合わせて良さを引き出してくれる楽器を選ぶのもまた実力と思います。

そして今は海外の楽器のフェアがあったり、インターネットでも中古の楽器をやりとりすることができたりなど、選択肢が本当にたくさんあるので、お気に入りのカスタムを作るといった楽器の楽しみ方もまたありなのかな、と...

そして今回はモダンのフルートにのみ触れましたが、特殊管や古楽器の記事も書いていけたらな〜と思っています^^

最後まで読んでいただきありがとうございました。





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