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孤独③

育児休業給付金を知られ…

 2017年7月。夫の給料は、昨年から義母が管理していたが、20日の給料日以降は私が管理するという事になった。実家への家賃は大人2人で6万円を義母に、日々の小遣い(通勤のためのガソリン・お昼ごはんなど)、模合、結婚前の借金、昨年度無職だった為に滞っている村民税を月々分割で支払う。3LDKにいた頃とあまり変わらない6万円という家賃には正直モヤッとしたが、弟達も1人3万を入れているのだからという理屈だった。それは家政婦つきの3万だよね…と思いながらも、光熱費と食費が込みなら仕方がないと受け入れるしかない。どちらにせよ、私が握るのであればこれまで以上に財布の紐を固く締めるしかない。ただ、夫はというと義母に管理させたいのが本音だった。理由はひとつ。日々のお小遣いはもちろん、残高の有無に関わらず必要な時に必ず受け取れるATM、つまりは【打出の小槌】なのである。
 財政が義母から私に交代される、その日を目前に控えた7月16日。義母が、いきなり私に通帳を渡して来た。
「これ、早いけど渡しておくわね。明日から、毎日1,000円のお小遣いをあげてね。」
は、はあ…と、その一瞬、義母が何を言っているのかわからず、私は必死で脳内を整理した。え、1日1,000円って、ガソリン込みでも多くない?まだ給料日じゃないけど先に預かっちゃっていいんだ…。
「あ、それ残高はゼロだから。」
??それってお小遣いを私のお金から出せって事?1日1,000円を?馬鹿げてる!!物申したい気持ちをグッと抑え、通帳を預かった。翌朝、小遣いを義母に要求し私に管理が渡った事を聞いてすぐさま掌を私に向けて来た夫。残高がゼロなら当然無い。これまでの小遣いのあまりが多少なりあるはずなのだから。文句を言いながらも時間がないと足早に出勤して行った。
 義母は何かのきっかけで、私に「育児休業給付金」が振り込まれた事を知ったのだろうと察しがついた。

そして、不満爆発

 小遣いを渡されない日が2、3日続いたところで、夫の不満は爆発した。「なんでお小遣いをあげないの!」と義母の怒りも私に飛んで来た。
 それが引き金となり、大きな揉め事に発展した。夫と義母の私への不満が以下だった。

①今まで、夫の借金返済に協力しなかった。
②それでいて、家賃・生活費全てを夫に求めている。だから滞納してしまっている。
③夫婦で協力していない。あなたには、夫への愛情がない。

 そもそもこの借金は、何に使ったのかも知らされず、謝罪もされていないのに返済するときは人の稼ぎをあてにしようとするなんて、卑怯すぎる。協力しなかっただと?ふざけんな。何社もの金融会社のうち、比較的少ない十数万円の借金は私の少ない貯金で返済を終わらせたんだ!
 私が子どもを産んで育てている間、仕事もセーブしたり休業しなくてはならないのに、生活するための費用は夫の義務なのが当然だろうが。通帳やキャッシュカードを私から奪い取って出かけて行ったこともあるくせに、私がどう家賃の滞納を解消できるというのか。
 夫婦なんだから…って、まずお前の息子が夫として最低レベルにも達してねえんだよ!
 本来、私の稼ぎは子ども達のための貯金に回したい。でもそれが夫のせいでできていないんだ。
「誰だって貯金はしたいよ」と義母。「誰だって」とはどういうこと?僕らはみんな生きている的なその言い方には、困惑しかなかった。「今はその時じゃない」と。借金返済が先だという主張の義母。ならさっさと返せよ、知らんがな。
 いつまでもきちんと返済計画を立てず、無期限返済をだらだら待てと?私を裏切って勝手に作った借金は、私と子ども達には一切関係ない。これだけのことをしておいて愛情だ?過剰に求めてんのはむしろそっちだろうが。

 なぜ別れないのかと言われたら。それは、今この夫の収入では慰謝料おろか養育費ですら望めず、調停をするにもせめて義実家からは出る必要があること、そして県外出身の私は行くところがなく、憧れだった夢の会社で正社員に昇進しこれからという時。この業界で、実家の助けもなく1人で子育てをして働くのは現実的ではない。また、同じ業界でも日本全国どこでもできる職種では無いのだ。

 夫の給料は、夫の希望で引き続き義母が管理することになった。そして、私はおむつやミルク、離乳食、保育料など子どもにかかる費用として3万を義母からもらう事に。
 保育料について、児童手当を使うべきだと義母は言った。児童手当は保育料のための手当てではない、進学時に向けて貯金するための手当てだと言っても、「今は貯金なんてできるはずがないでしょ」の一点張りで通じない。いやそれはお前の息子の都合だろうが!そして事もあろうに、「児童手当も私が管理する」と言い出して来た。児童手当は、貯蓄型保険に充てているためそんなことは絶対にお断りだ。

 私の育児休業給付金は、給料分のおよそ6割であり満額ではない。それも毎月ではなく隔月で入ってくる。半年後にはそれがさらに減額されるのだ。昨年購入した車のローンや携帯代、私自身の村民税に充てなければならない。それを義母に伝えても、次々と別の話が返ってくるためおそらく理解はされていない。

そして、何時間にもわたる言い合いののちに義母からは留めの一言が飛んできた。「あなたの分の家賃は支払われていないのよ!ごはんだって食べているわよね!?」

 私は頭が真っ白になった。この義母は、息子の給料から、息子の分の家賃のみを差し引いていたのか。私の分は払われていないと思っていたのか…!!この育休中は夫が私を養う義務があるものと思っていたのは、私だけだったのか。
 私の分は夫が支払うべきだと主張はするも、私は参ってしまった。全身に力が入らなくなり、何を話したのかも記憶が薄い。
「もう食事は別にしましょう。いいわね!」
戦う気力を振り絞り、全身の痺れと戦いながら、「ならば子どもにかかる費用の3万に加えて、食費も請求しますよ!!」と私。
「いくら?」と義母。私は「2万」…と言いかけ、これでは呑まないだろうと察し、「1万5千円」とのべた。「その中に、息子の分も入っているのね」と義母。
 毎月私は夫の給料のうち、4万5千円を義母より受け取ることとなった。やり合いの後、絶対に忘れてはならないと、覚えていることを全てInstagramに書き綴った。そしてそれ以降、必要な時以外は、部屋から出なくなった。保育所の空き次第でいつでも仕事復帰できるようミルクで息子を育てていたが、ミルクを作りにキッチンに降りるのも嫌になり、母乳に切り替えた。食費を節約しなければならないんだ。ミルク代を浮かせなければ。私は食事以外何も飲まず食わずで、お金の計画を立てそれをInstagramに記録したり、友達にLINEをして過ごした。


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