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豹変-③

当時の彼は、クレジットカードも持ったことが無く、真面目で純粋な人に、私には見えていた。若い頃に散々やんちゃしていた事は周辺の友人達の雰囲気からも伺えたが、反省し繰り返さなければ良いと考えていた。飲酒運転で免許を失った彼を教習所まで送迎するのも、家事をするのも、足りないお金を私が補填するのも、2人の将来のため、ぐらいに考え負担に思った事もなかった。なんという見る目の無さ。呆れるばかりである。 それでもまだその時は、2人で決めた金額を毎月出し合い、喧嘩をしても仲良く暮らしていた。…そう、その時までは。

こいつおかしいぞと、こいつで本当に大丈夫かと、思うタイミングはいくらでもあった。その気持ちのまま別れちゃえば良かったものをそうしなかった。別れてフリーになるのが怖かった。私はその前に付き合っていた人とも、周囲にどう思われるかを気にして好きでもないのにダラダラ付き合っていたくらい、1人になれない人間だった。別れることを想定して付き合うカップルはほぼいないと思うが、一緒に暮らしてしまうと更に厄介である。
 こんな屑なら一生プロポーズも出来なそうだが、結婚に至ったのは付き合って3年目になろうかという頃。私は得意の英語を生かしたく、海外ウェディングもやってみたいなどと思うようになった。その時25歳。やるなら今だが、ここでのプランナーの仕事も楽しく、このまま上に上がっていきたい気持ちもある。海外への道を選ぶなら、彼との未来は諦めることになる。彼はどう思っているのか…?そのまま直球で尋ねた。
 結婚する気あるの?無いの?無いなら別の道に私は行くけど。
 そして彼はあると答えた。ま、本人はそんなやりとりも覚えて居ないだろう。

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