枯渇③

働き始めた私は、アルバイトでも毎月90,000程は稼いでいたが、無認可保育所に55,000円を払い、その保育所が隣の市の為、片道30分の送迎のガソリン代でほぼ消えた。僅かに残った分は、溜まりに溜まったカードの支払いに充てたが、毎月かかる携帯代などの引き落としで、払っても更に負債が増えていくようだった。
それでも、保育所から連絡があれば快く帰らせてくれる職場環境には感謝しかなかったし、こう融通が効いて90,000円を超えるパートやアルバイトなんて、そうないだろう。子育てや生活環境は変化するから、それに合わせていつでもキャリアアップしていいと人事からは言われていた。夫は特に反対はなく「自分で送り迎えができるならいいんじゃないのか。でも(自分の母と同じ)共同売店の方が近いしそのくらいは余裕で稼げるぞ?」等言っていたが、売店を否定するつもりは無いが、私は専門学校も行って学んだ業種、昔から憧れていた大企業で働ける事に信念があった。稼いだ給料は泡のように一瞬で溶けてなくなったが、私はやりがいに満ちていた。仕事が終わると30分かけて娘を迎えにいき、保育所から30分かけて家に帰る。朝は始業の1時間前に家を出て、30分かけて保育所へ送り、そして30分かけて職場へ向かう。そんな生活が、約半年間続いた。
翌年の春には認可保育所への審査が通り、家から職場までの5分圏内にある保育所に晴れて入所した。保育料は17,000円。時間にも、お金にも少しだけ余裕ができた。そんな中、人事から私に、そろそろ契約社員に上がっておかないかと声がかかった。アルバイトでは得られないボーナスの対象になるし、ゆくゆくは正社員登用を考えるなら…と、喜んで雇用形態を変更した。
後輩も入ってきて、これまでの経験や知識を活かせて、仕事はとにかく順調。早くクレジットカードの負債を無くせるように願った。



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