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⑨痛みについて

 ふだんは痛みのことを『疼痛』と呼んでいる。疼痛は身体に異常が起こっていることのお知らせをしてくれているけれど、同じ疼痛でも人によって感じ方が強さが変わってくる。


大袈裟な痛み

痛みには『侵害受容性疼痛』と『神経障害性疼痛』や『内臓痛』『体性痛』『関連痛』などさまざまな分類がある。いずれにしても疼痛のある患者さんがいたら「何によって痛みが起こっているのだろうと考えるようにする。怪我によるものなのか、手術、感染症、がん、精神的なもの…いろんな要素がある「Aさん痛みが出てます」以外の部分を疼痛が起こる要素を考えながら本人から話を聞いたり、観察を行ったりする。
採血をする患者さんがいて、
・はじめての入院、採血も全く行ったことない患者Aさん
・2回目の入院、数ヶ月前に交通事故で手術歴があるBさん
がいたとしたら同じ採血でもAさんの方が痛みを強く感じるし、Bさんは「あの時に比べたら」なんて話しそうだと想像できる。そんな感じで痛みについてはその人の背景によって全く感じ方が違う。
さすがにそんなには痛くないのでは…と思うことはある。でも自分にとっての大袈裟な反応なだけでその人にとっては辛い体験なんだ。


薬剤が効くまで耐える

鎮痛薬を内服してもらったあと効くまですこし時間がかかる。前日リハビリ後に鎮痛薬を使った記録があれば今日はリハビリ前に内服しておくことを提案する。一日何度も追加で鎮痛剤を使っていれば内服薬の種類や、量、時間を調整してもらうことを提案する。
それでも急に痛むことはある。使ったときに効くまではただただ我慢しなくてはならないことをあるかもしれないけれど、効果が出るまで少し時間がかかることを伝える、クッションをあてて痛みが強くならないような姿勢になってもらう、冷やす…などできることをやっていく。


誰にも言えないで耐える

私は小さい頃からナースコールを押せないタイプの患者だったので、「痛い!」と大声を出す人を見ていて羨ましい気持ちになっていた。
「めちゃくちゃ痛いから今がピークなんじゃないのか」と思って様子をみたり、この痛みは手術をしたから痛くなって当然と我慢していた。今思うと疼痛指示(とんぷく薬)使ってもよかった状況だよな…と思っている。でも当時は布団を被って泣きながら痛みに耐えていた。そういう人が中にいることは忘れないようにしたい。
脈拍や血圧が増えていないか、顔の表情、冷や汗などの変化に気づいて声を掛けるようにしたい。

薬を使いすぎるとよくない

ふだん薬を全く飲まない人に多かったりします。薬を飲みすぎたら効かないとか、身体に悪影響があるとか…「我慢すればそのうち治るでしょ」という考え方をして耐えている人がいる。薬を使いすぎないようにその人に合わせた薬を使うことができるのが病院なので使っても大丈夫なことを説明する。あとは痛みを放っておくと体を動かすことができなくなったり、精神的な苦痛(うつ、不眠になったり)、血圧が上がり心臓に負担がかかったり出血などの他の症状が出現するなどのリスクがある。痛みは身体の大切なサインではあるけれどずっとかかえていく必要はないというのは意識したい。

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