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箸置きを作る実験

本当に、なんでも ”実験” とすればよいような感じになっています。今回はちょっとだけ試行錯誤がありました(実際には、以前試行錯誤して埋もれそうになっていたのをまとめる感じです)

目的と試験方法

目的:Printablesコンテストのお題 ”Chopstick Holder”を作る!
実験環境: 3Dプリンタ Snapmaker J1
      ノズル:0.4mm Kaika 
      交換時期:2023年2月18日
      フィラメント:Prusament, Snapmaker 他PLA

フィラメントはいろいろ使用しています。サンステラさんの福袋に入っていたPLA, 3色シルクPLA、Prusament、 Snapmaker J1に付属されていたPLAなど。
Prusamentはこちら。お気に入りの色なので大切に使用しています。Prusamentは高価だし、とっておきなので開封後のものはすべてカメラの保湿庫で保管しています。

コンテストへのリンクはこちら。

箸置きのデザイン Fusion360

デザインにはFusion360を使用しました。プリントして問題が見つかったりして、最終的にこちらのデザインに行きつきました。
本当は、季節感のあるものにしたかったのですが、思いついたのは桜と梅だけ。それなら陶芸で作品にしたい、ということで雪山をデザインすることにしました。初めは、家ともみの木が丘に立っている風景としたのですが、それだと掃除しにくそうなので雪をかぶせました。丘の中は中空です。

デザイン1 雪山。季節感なしです。

本当に何も思いつかずリボンを作ってみました。リボンはFormでデザインしました。リボンを結んでクシャっとなった感じがちょっとだけお気に入りです。リボンとして作っていたのですが、中にゴミがたまりそうなのとスライスしてプリントすると問題が発生しましたので、内部は埋めるようにしました。(それ自体結構面倒)

デザイン2 何も思いつかず、リボンに水玉を配置しました。
デザイン3 無地のものです。これなら男性でも大丈夫?

雪山モデルはスケッチして押し出しだけで済みますので結構簡単ですが、やはりFormにはいつも泣かされます。ということで、泣かされたポイントを重点的に記録しておきます。

Formで形作る

Formで形作る際にも、私はいつも”あたり”をスケッチします。あとで、サイズが大きく違った!ということの無いように、です。実は失敗していて適当な大きさを想定したのですがプリントしたものが大きすぎて、サイズを半分とかに小さくした、というオチ付きです。

実際には完全に無視しているわけですが。
初めにリボンをまとめるループを押し出しで作ります。作ったら両サイド削除します。そうすると、エッジがくっきりします。

リボンの部分を作ります。こんな感じです。

かなりひだをはっきりさせないと後で形に現れてきません。

中心の面でカットしておきます。こうしないと後で立体化しにくいのです。

サーフェスで修正、ソリッド化

リボンの部分をミラーリングします。先ほど余分な部分をカットしておいたのでぴったりくっつきます。

サーフェス機能でパッチするためにループの重なる中心に縦の線を描きました。奥も同様です。面にパッチを入れれば立体化できるということはわかっているのですが、いかにパッチをあてるかで試行錯誤しました。リボンの部分をまとめてパッチすることはできないようです。

初めにループを継いだ部分(濃い緑色)にパッチをあてました。(後で考えると、これは不要)

次にリボンの部分を順にパッチしていきます。下の図は、手前のリボンの側面をパッチしています。

次にサーフェスをスティッチ(縫い合わせ)します。すべての辺が閉じられると、ソリッドに変換することができます。これを見ると、5枚のサーフェスをパッチしていますので中央部分(濃い緑色で示したもの)のパッチはなくてもよかったようです。縦の線はループ部分のパッチをするために必要です。

リボンのループ部分にもパッチをあてて立体化します。初めに側面を削除していましたが、Formでエッジをつけておけばこんなことしなくて済んだ気がします。

ループとリボンを結合したら出来上がりです。

あとは、ドットを描いて押し出してリボンと交差させればドットの出来上がりです。
もう少し丁寧に説明すると、
1. りぼんを複製する(リボン1,2とします)
2. ドットを描く
3. ドットを押し出す。この時、あとでリボンと重なるようにする必要があります。私の場合には、スケッチを描いた水平面の上下にまたがってリボンが存在しますので、ドットも上下対称に押し出しました。
4. ドットとリボン1の交差をとる。このとき、ツールは維持します。あとの作業に必要だからです。
5. リボン2からドットを引き算する。そうすると穴が開きます。

これで、ドットとリボン2(穴が開いたもの)が残ります。

ドットを白で、リボンを赤で表したものが以下の図です。
シンプルなリボンも一緒に表示してあります。これはこれでアリだと思います。

Prusaslicerでのスライス

PrusaslicerはまだXLに対応していないからか、IDEXに対しては不完全です。左右でノズル径を変えたときに射出幅を変えることはできませんし、Fanの設定も共通です。また、フィラメントの設定を左右それぞれ個別に持つ必要があります。幸い、設定ファイルを用意して共有いただける方がいらっしゃったりして助かっています。McBybeerさんの設定ファイルには大変お世話になっています。

今回、細かいデータということでスライス設定に工夫した部分を中心にこちらにまとめます。あくまでも自分向けの備忘録ですので、言葉足らずです。もし、知りたい方がいらっしゃればご遠慮なくどうぞ。Fusion360のプロジェクトファイルでもなんでも共有します。

問題① 変な押し出しが発生する

こんな押し出しが発生しました。デザインにない箇所を描こうとしています。いろいろ設定を変更してどの設定が影響しているかを調べました。

プリント設定のレイヤーと外周にある、ブリッジ境界線の検出が影響していました。チェックしてあるとうまくいかないことがあるようです。今回はその例であって、別のモデルだと特に問題なくいきました。ってことで、プリントする前にスライス結果をチェックすることが大事だねってことです。(私の場合には、デザインしてスライスしてプリントして、って中にチェックが抜けることが多い。PDCAならぬ、PDAってことですね。)

ちなみに、同じ条件でブリッジ境界の検出なしにすると、問題ありません。今は再現しなくなっているので、別の要因との組み合わせっぽいです。

問題② マルチエクストルーダー部分の厚みが薄い

これはバグっぽい気がします。下の図の、リボンの厚みが明らかにマルチカラーのほうが薄くてスカスカなのです。まったく同じデザインで片方にはドットが入っているだけなので、同じく3層になりそうに思います。この結果のままに、うまくいくかもなんて気持ちでプリントできません。なにせ、コンテストの締め切りは日本時間の月曜日朝なのですから。いつも通り、ぎりぎりです。

この解消は、アラクネの設定でできることがわかりました。最少境界線幅をデフォルトの85%から50%にしました。これは、以前別のプリントをした際に細部がプリントされない感じでしたのでいろいろ(というほどでもないけど)調整して50%に行きつきました。ついでに前回うまくいったので、最小フィーチャーサイズも変えています。設定は、上級者向けにあります。

これにより、まだ不完全ではありますが壁が2層になりました。

元の結果と比較して、ドットの周りの隙間も埋まっていることがわかります。

雪山のほうでも効果を確認してみます。
こちらは、最小境界線幅を50%にセットしたもの。

こちらはデフォルト。変わりませんでした。

先に描いた通り、リボンのほうは内側を埋める(ソリッド化)ようにしました。アラクネの設定により少しは改善したものの、やはり外周2では弱いこと、内側に汚れが入ると掃除がしにくいと思ったためです。

プリント結果

雪山

サンステラさんの福袋に入っていたPLAを使用しました。この色(ティール)、好きです。本当はもっと濃い色にしようと思ったのですが、手持ちのPLAで濃い緑はシルクしかなく、J1との相性が悪く途中で詰まるので断念しました。今のところ、相性が悪いとわかっているのは、Polymaker シルクPLA, Overture シルクPLAです。Prusa Mini+では正常にプリントできていますので、明らかにJ1との相性が悪いです。きっと、ヒートブレイクで熱分離ができていないためだと想定しています。ばらして確認しようと思ったのですが、固くて無理でした。今週末にも試してみます。

自分から見たところ
横の人から見える景色

リボン

作ったリボンを並べてみました。こうやって見ると、白や背景が白のリボンがよさそうな気がします。実は、サポートの具合がPrusa Miniのほうがサクッと外れてよい感じで、J1だと全般的に外れずらいです。もしかしたら温度設定が高いのかもしれません。マット系のほうがサクッとサポートが外れる感じですが今回は色と質感にこだわるということで。(白はSnapmakerのマット系ですが、がっちりしています。すなわち、サポートも外しにくいです)

データはこちらに置いておきます。よろしければダウンロードしてみてくださいませ!

Happy Printing!

雪山

リボン


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