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免疫力をあげよう~脾と肺と気の話~

今日は、免疫力についてのお話。

感染症の広がりが心配ですが、漢方・薬膳の知恵では、自分で自分のからだのバランスを取るために、できる工夫がたくさんあります。ワクチンができることを待つよりも、自分自身の免疫を保てるように、自分でできることを少しずつでも取り入れていけたらいいですよね。

免疫力UPは、脾と肺と気が大事

漢方・薬膳のもとになっている「陰陽五行論」では、「五臓」という考え方があります。これは、からだの中の機能・役割を「肝・心・脾・肺・腎」の5つに分ける考え方です。

5つに分類された臓それぞれが、循環したり適度に抑制しあったりしてバランスを取り合い、私たちの健康を保ってくれています。

免疫力に大きくかかわるのは、この五臓の「」と「」。
そして、「」と呼ばれるものです。

気という漢字は、「元気」「やる気」「病気」「気持ち」「気づかい」などいろんな言葉につかわれます。漢方・薬膳の世界では、体内のエネルギーを表します。「気」は、からだを暖めたり、必要な臓器を動かして健康を保ったり、いろいろな役割がありますが、その一つに「防御機能」があります。これが免疫力と大きく関わりがあります。

その1 気は飲食物から作られる

では「気」は何から作られるのかというと、

一つは、飲食物からです。

これは、飲食物から気が作られる工程です。(図の右側①②③)

食べたものが脾に入り、消化吸収されエネルギー(気)に変わります。脾で作られた気や体表面に必要な潤いが肺に運ばれ、肺から全身にゆきわたります。これを「衛気(えき)」と言って、からだを外部の刺激・邪から守るもの、つまり免疫力と言われます。

そしてエネルギーを作り出してくれる脾が弱ると、肺にエネルギーを送ることができず、結果的に衛気が減ってしまします。そうすると、免疫力が下がり、風邪をひきやすくなったり、皮膚がかさかさして荒れやすくなったり、鼻水、鼻詰まりや喉の痛み、咳などのトラブルが起こりやすくなったりします。

脾が弱る原因は、甘い物、脂っこい物、味の濃い物、アルコール、生もの、冷たい飲料水などを、たくさん取り過ぎるなどです。脾がキャパオーバーになってしまい、消化吸収しきれず弱ってしまうのですね。

お正月においしいものをたくさん食べ、この時期の脾はだいぶおつかれの方が多くいらっしゃると思います。

気をつくりだす脾を元気にする養生

では弱ってしまった脾を元気にするには、どんなことが必要かと言うと、

・腹八分目。よく噛んで食べる。
(よく噛むことはそれ自体、消化活動をする脾を助けることにつながります)

・飲み物は暖かいものにする。
(生野菜やお刺身などを食べるときには、一緒に暖かい汁物を飲むなど。脾は冷えが苦手です)

・甘いお菓子はドライフルーツに変えてみる。
・蒸し物やゆでた調理のものを食べる。
・たくさん食べた次の日は、一食お休みして胃腸を休める。


などです。全部でなくていいので、ご自身で取り入れられる工夫をしてみてくださいね。


その上で、脾によい食材をご紹介すると

・じゃがいも、さつまいも、山芋、里芋などの芋類。大豆、えだまめ、そら豆など豆類。キャベツ、かぼちゃ、豆腐、納豆、甘酒、かぶ、椎茸、しめじ、まいたけ、アボカド、なつめ、はすの実などです。

基本的に脾によいものは、素材そのものに優しい甘みのあるものが多いです。お芋も豆類も、そのものでほんのり甘いものが多いですね。素材が冷たいままだと脾に負担をかけるので、火を通して食べるのがおすすめです。

その2 気は呼吸から作られる

そして、もう一つ、気は呼吸から作られます。

呼吸は鼻・口から入り肺でエネルギー(気)となり、全身に運ばれます。(図の左側(1)(2))

体調が悪いとき、心が落ち着かないとき、忙しいとき、人は呼吸が浅くなりがちです。そうすると気がつくられず、全身の機能もうまく回らなくなり、結果的に免疫力がさがってしまうことがあります。

朝起きたら、ベランダに出て朝日を浴びて深呼吸。深くリラックスした呼吸ができるヨガ。また、大気中の気を取り入れるという意味で、ウォーキングやジョギングなどの有酸素運動もおすすめです。

「免疫力をつけるためにしっかり食べましょう」といのは、よく耳にしますが、漢方・薬膳では、飲食物だけでなく、大気中のエネルギー(清気といいます)も呼吸によって取り入れて、体内に「気」として変換して、からだの免疫力を保っているというのは、面白いなぁと思います。
食べ物は大事。そして呼吸も、清気を取り入れるための有酸素運動も同じくらい大事。どちらも合わせて、免疫力アップにつながるのです。

私の最近の養生記録

毎年のごとく年末年始の食べ過ぎで、脾と肺のおつかれのサインが出ました。もともと、脾と肺が弱い体質で、アトピーや鼻炎に昔から悩まされています。手がかさかさ、かゆい、鼻水が止まらないときは、私の体質では、だいたい、食べ過ぎ飲み過ぎ、忙しくて、心もからだも休めていないのサインです。

たくさん食べたお正月明けには、また手がかさかさかゆくなりそうだったので、ここ一週間は、大好きな甘いものとあまり飲める体質でないのに、ついつい飲んでしまっているお酒を減らしています。ここ数日は養生のおかげか、肌の乾燥が少なく、ハンドクリームの量も少量ですんでいます。日々のちょっとした工夫で、からだは変化するのだなぁと改めて実感しています。(ずぼらなので、これを長く続けることが今年の個人的な目標です…)


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