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金属の実験ノート

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金属は、加工方法が豊富なだけでなく、化学反応で様々な表情に変化します。そんな金属の面白さに魅せられながら、色々な研究・実験をして金属について手探りで学び、ここに記していくためのノ…
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実験6. 銅板に模様をつけてみたい

銅は水に濡れるとすぐに変色する素材です。 その反応の速さを利用して、模様をつけてみようという実験です。 用意するのは銅板と霧吹き。 銅板は表面をコーティングしていないものをチョイス。 手順は霧吹きで銅板に水を吹きかけるだけ。 ポイントは水滴の大きさと量でした。 銅板に直接噴霧するより、空中に噴霧して、落下してきた水滴を銅板に乗せる方が調整しやすかったです。 あとは濡れないところで放置しました。 数時間もすると、少しずつ模様が浮き出てきました。 写真は24時間後、水分が完

実験5. 銅をお酢につけ置きすると、どうなるか?

10円玉をお酢やトンカツソースで磨く、というような実験を子供の頃にやった記憶がありますが、それを改めてやってみようという簡単な実験です。 銅板、お酢、それから塩を少々入れて、漬け置きしてみました。 2〜3時間くらい、漬けるだけ。 左が何もしていないもの、右はお酢に漬けたものです。 10円玉だと小さくてあまりわからない、このマット感。これはこれで良い表情です。 ちなみに裏面はこんな感じ。 容器の底と接地していて、少量のお酢としか触れなかったため、あまり反応はありませんで

実験4. 真鍮を手で揉み込んで表情をつくってみる

今回は、ピカピカの真鍮を自分だけの道具に育てる方法について。 表面にクリアラッカーなどの変色防止処理がしてあるものは大丈夫なのですが、金属素材そのままの状態のものは、手でさわるとその部分にだけ指紋跡が浮き出てきて、汚れのように目立ってしまいます。 早い人だと1日待たずに、写真のような指紋跡が浮き出てきます。 (こういう金属をすぐに錆びさせる人のことを「錆び手」と呼んだりします) 僕は、荒々しく経年変色したものもアリだと思うタイプなのですが、指紋跡はちょっと、、という感じ

実験3. 銅が雨に打たれると、どうなる? -5日間、外に出してみた-

結果. わずか5日でも、模様ができたり、変色したりと、色々な変化を見ることができた 今回は、雨を使った実験です。 銅板を表札にして、5日間、玄関の壁に貼り付けてみました。 軒や庇のないところだったので、雨に晒される状況です。 なお、銅板の表面にはクリアーラッカー塗装など、一切の変色防止加工を施していません。 どんなふうに変化していくのか、1日ごとに変化を見ていきます。 <1日目> 磨きたて、ピカピカの状態です。 ランダムヘアライン仕上げにしているので、ピカピカという

実験2. 土の中で何色がつくれるか? <後編>

結果. 赤、黒、白、緑の4色をつくることができる。 鉄、銅、真鍮、アルミニウム、計4種類の金属を4ヶ月ほど土の中に入れておいたらどんなふうに変化するのか。 今回は一つずつ確認していきます。 ① 鉄鉄は赤と黒に。 ぱっと見た感じは、金属がもろもろの“THE サビ”という感じ。 折り曲げてみるとパリパリっと音がして表面の土がはがれ、中から黒色が出てきました。 ちなみに、はがれた土をみてみると、こちらも黒に。もはや土が金属になってしまったようです。 <もうちょっと詳しく

実験2. 土の中で何色がつくれるか? <前編>

結果. 赤、黒、白、緑の4色をつくることができる。 今年の6月ころ、土の中にいろんな金属を入れておきました。 湿度の高い時期もそろそろ終わりということで、4ヶ月ほど入れっぱなしにしていたこれらを抜き出して変化の具合をチェックしていきます。 それぞれ変化が起きやすいように、表面を研磨してむき出しの状態にしてから土の中へ。 こちらが取り出したもの。 左から鉄、銅、真鍮、アルミニウムの4種類。 結論から言うと、鉄は赤と黒、銅は赤と緑、真鍮は白と黒、アルミは白と薄い黒となりまし

実験1. 真鍮のお皿に砂鉄を載せるとどうなるか?

結果. 黒っぽく跡が残る 真鍮のお皿に、砂鉄を載せてみました。 これが次の日の様子。 使い古された五円玉と同じように、黒っぽくなっています。 この黒っぽい模様は錆びです。 真鍮と鉄、異なる種類の金属がふれ合うことで、錆びのスピードがぐっと早まり、たった一晩でクレーターのような模様ができました。 <もうちょっと詳しく> この錆びのことを「異種金属接触腐食」と言います。 イオン化傾向(錆びやすさ)の大きい金属と小さい金属が接している部分に、水がふれることで激しい腐食が起こ

金属の研究・実験ノート、はじめます!

はじめまして。 86400"の代表、山本展久(やまもとのぶひさ)と申します。 僕たち86400"(はちろくよん)は、建築・都市計画をバックグラウンドに、家具や日用品を開発、販売しています。 東京都荒川区を拠点に町工場の職人と協働しながら、一人ひとりの細かな生活を形にする「生活の道具」をデザインしています。 僕は、大学で建築・都市計画を学び、卒業後は現在まで、一級建築士として住宅や店舗、展示会場、家具・プロダクト等を対象に、それぞれに適ったオーダーメイドデザインの仕事に携わ