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新しい旅立ち

私は、妄想性精神疾患との診断の母と同居した頃から血圧が高くなった。そして約15年間の同居生活は、自分自身の健康的な精神のコントロールも難しい状態が続いた。
奇妙な妄想の興奮的な発言への行動の対応に努力はしたが、病気とはいえ本当に大変で無理だった。母が被害を受けている妄想の被害を受けている相手を私に、やっつけてくれと言う。やりたくても出来ない。
結局、私と息子は役立たずになってしまった。
母を本当に疫病神に思ったし、実際に家族関係に悪い影響をもたらしたとも思う。
家事を行いそれ以外は、家にいない様にしていた。仕事は、努力した分成長できる。
評価も報酬もある。
資格取得の為の勉強も楽しく感じた。

昨年の11月に母を自宅で看取った。
癌の末期の時期では、精神疾患は表面化しなかった。
癌になるまでの母は身体はとても元気な人だった。元気な身体でないと、脳内物質も活性化されないのだと思う。
被害妄想を発症した原因といえるのだろう、母の苦労した人生の一部を知っているからこそ、支援をしたい私もいた。
福祉に携わる事もあり、自分の可能な限り最善を尽くした。そして後悔ない介護が終わった。
振り返ると、自分に鞭打ち頑張った事は事実である。精神的にボロ雑巾状態とも言える。いいえ、身体的にも影響があった。

以前より、降圧剤を服用している。
今年になり主治医が急な病で勇退される事になった。その医師は、血圧を水銀の血圧計て測っていた。
いつもの通院で、「血圧は安定して大丈夫です。」と言ってくださっていた。
しかしそれが、間違いだったらしい。
時間ができて体力維持の目的で、区の施設のトレーニング施設に通う事にした。
その為に測った血圧は、その医師の測る値と相当な乖離があったのだ。
温和で知識や経歴は豊富で親切な医師だった。だけどやはり、お歳ではあった。
そして、私は病院を変えることになった。経緯を話したところ新しい主治医が、
「水銀血圧計で測る医師は居ないですよ。今の機械は正確です。」「血液検査をみると、交感神経が優位の種類の高血圧です。だから簡単に下がらないかもしれないです。」と…
今は、血圧計を買って毎日血圧を測っている。何事も自分の事を疎かにしてはならないとつくづく感じた。
自分の管理は自分しか出来ない。

最近、担当の要支援の利用者さんが、介護支援を卒業した。
夫が認知症になり頑張ってきたが、益々進行してしまい、仲の良かった夫なのに強い口調で叱ってしてしまう。そんな自分が嫌になってしまった。
もう自分に夫の介護は限界と言われ、夫の特養への入所申し込みをした。そして以外に早く入所ができのだ。

妻は、独居となった。
今年のお正月は娘様の家に招かれて、楽しく過ごされたそうである。
ご自身も変形性膝関節症膝で痛みがある。
運動できる短時間のデイサービスを利用していた。しかし、夫が入所した事をきっかけに、「膝をしっかり治したい。介護サービスではない何かを見つけたい。趣味を見つけたい。知人とお茶や食事をしたい。」
その方は、今の家で夫の義母と義姉を看取った経験を持つ。
3人いらっしゃるご子息ご子女は、立派に自立されて皆さん心配はない。
「夫が自分の事を以前より、『お母さん』と呼んでいたのだけど、それが、義母と勘違いしていた事が分かった。許せない。」と仰った。
自分の結婚後、人一倍頑張ってきた人生を認めて欲しい相手。
それは、夫だったのだろう。
その話を伺い、自分も考えてみた。
私は、母に認めて貰いたかったのだと感じる。

認知症、妄想疾患、看取り、入所‥
人生歳は平等にとるが、自分の病は選べないものだ。
83歳の自分の人生を肯定し、自らの意志で介護サービスを卒業する決意をされた。
私の支援経歴の中、滅多にない経験だ。
さぞかし考え抜いたであろう決断。
新しい生活を切り開く力を見習いたいと思う。
新しい旅立ちに心よりエールを送りたい。




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