在宅ケアマネとして
最後の職場と考えて転職をしたのにすぐに後悔をして、またまた新しい職場で働いて3か月が経過した。
気持ちは春の桜の美しさを堪能できなかったが、気が付けば梅雨明け近い猛暑予想の夏である。
行う仕事内容は同じなので、経験を活かせるので緊張感はそうない。
まして以前一緒に働いていた知人が立ち上げた事業所なので事業所ビジョンは想像がつく。
直ぐに胃癌の転移のある末期癌4月に70歳になられた男性を支援することになった。
初回訪問でのその人の状態をみれば短い命であるだろうとわかった。
それなのに主治医から2度目の抗がん剤治療を勧められていた。
初回訪問から直ぐに大学病院での入院治療の為に仲の良い顔立ちや話し方も可愛らしい妻とも会えなくなってしまった。
妻は反対だったが、本人が少しでも長く生きていたいとの希望にかけたいとの抗がん剤治療目的の入院だった。
治療の前に私の予想通りに病院で寝たきりになり動けなくなった。
主治医の考えがありその判断になったのかもしれないが、患者へそのステージでの説明をされたと思えない。
家で心配だけで待つ妻はへは、病院からの病状説明もない。
何度も妻からや担当ケアマネの私より連携室に連絡をしたことで、やっとズームでのカンファレンスが行われることになった。
その場での医師は介護チームが参加することを知らなかった。
医師からの説明で、自宅へ戻ることは難しいために療養型病院に転院の流れになった。
自宅での介護は始まっていないのと同然であり、医師との面識もない大学病院の先生に在宅の介護チームが何も言えるわけがない。
一方的に病院側の病状説明で終了しかけた時、本人からの発言があった。
「命が短いのであるから、自分は家に帰りたい。」
そこで家に帰ることに話し合いの流れが一気に変わった。
家で介護を送る為の準備をした。
そして、介護タクシーでの退院も大変だったが、自宅へ戻られた。
「やっぱり、家はいいね。」と仰った。
退院日には、医療と介護のチームの訪問介護と福祉用具の担当者も集まり、サービス担当者会議を開催しチームが固まった。みんな、帰って来たことを喜んで良いチームだと感じた。
だけど、訪問医療の医師より夫のいない所で、「もしかしたら一週間単位と考えてください。夫と良い想いでを作ることを心がけてください。」
と、妻は告げられた。「会わせたい親戚になるべく早く来てもらってください。」とも伝えられたそうである。
その日に兄弟が集まった。みんなこんな状態とは知らなかったと驚いていた。
その夜に吐血し亡くなられたのである。勿論、訪問看護と訪問医療が駆け付けた。
「大好きだよ。愛している、有り難う。」と手を繋ぎ、妻へ別れの挨拶をされたと後になり伺った。
その言葉があることで夫との生活や介護へ対する後悔や残された人生への気持ちが大きく変わるのではないかと感じた。
ケアマネジャーの役割としても後悔はない。
本人の希望が叶えられるには、様々な環境や社会資源が整うことも自宅でも看取りの基本条件だと思う。
こんな素敵な夫妻に巡り合える機会と支援させて頂けたことに感謝したい。
私の務める事業所は東京都内ではない。
東京近郊の他県にある。
住む東京では都知事選挙があったばかりである。
都知事の施策で、今年の春より住宅費との名目で介護支援専門員に東京都に存在する居宅介護支援事業所のケアマネジャーに対して一人につき1万円から2万円の補助金が都より出ている。
これは、今春に急に決まったのであるが、ケアマネジャーの人材不足を改善できればとの都知事の考えで決まったそうであるが、本当にその意味だけだったのか私には疑問に感じる。
「都から発信して他の県へも浸透してください。」とのことらしい。
東京都はお金があるが、他県はそういかないでしょう。
東京一極集中であり経済が集中的に潤っているのだから。
若者の投票率が高かったのは、今の東京や国への政策への抗議も大きかったに違いない。
私も同じくであるが、日本を愛する人が少ないのは何故なのか。今回の都知事選の勝ち負けよりも今後のより良い変化を期待していることを知事を初め議員の方々は知ってほしい。
そして日本の未来の社会保障のことも国民の一人一人が考えていかなければならないと感じる。
私事として給料は減ったし、都からの補助も頂けない。
そうはいっても職場にもなれて精神的にはとても安定してきた。
再度、私淑である三浦春馬さんの作品もゆっくりと鑑賞したい。
三浦春馬さんのSNSの発信の中で、「国力」という言葉を選んだことによりネットで騒がれたことがあったことを思い出す。
今回の都知事選での候補者の1人が発言していた。
その時には違和感なく聞き入れることができた言葉の一つでもあったと思う。
映画「太陽の子」の一場面で三人が手をとりあいこれからの明るい未来を願った様に、私も日本の明るい未来を願っている。
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