クリスマスの想い出
26歳となり、人生再起をかけ、大学を再受験している二浪目。11月に扁桃炎で何回も熱が出ることから、扁桃腺を切除することを決意した。手術は無事に終わったが、痛みにめちゃくちゃ弱い俺は、入退院を2回繰り返し、2回目に病院に戻った時は、看護師が呆れたような、苦笑いを見せ、受け入れてくれたことを覚えている。そして受験は今年は無理だと諦め、少しほっとしたような気持ちになり、クラブW杯を待合室のテレビで声を上げながら夜遅くまで、となりの見知らぬおじさんと観戦し、一緒に看護師に怒られたりしながら謎の一体感をもったりしていた。
クリスマスもあいもかわらず入院していた俺は、夕食病院の食事の食後にコンビニに売っているような、チョコケーキが出て、それをまだ喉の痛い俺はゆっくりとゆっくりと、余命いくばくもない超高齢者のような気持ちで味わい食べた。クオリティがどうであれ、チョコはチョコであるからある程度は美味しい。
そして見舞いに来た母親に、いかに自分の喉が痛いかアピールし、病室の窓から、恵比寿ガーデンプレイスのイルミネーションに群がるカップルたちを、ビニール傘をショットガンと見立てて、イマジネーションで撃ち続けていた。そんな俺をなんともいえない苦笑いで母親が見ていた。そんなクリスマスだ。
どうだろうか。30年生きてきた俺のクリスマスの思い出。こんなしょうもないクリスマスを過ごしてきた人がいて、「俺だけじゃなかった。」と思ってくれたら幸いだ。もしかしたら俺だけかもしれないが、、、