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【競馬】「強さ」とは何か。クロノジェネシスの連覇が語るもの/宝塚記念振り返り

レースでの力比べに勝つことが「強さ」なら、常に安定したコンディションを保ち続けることもまた「強さ」と呼ぶべきかもしれない。宝塚記念連覇を果たしたクロノジェネシスの圧倒的なパフォーマンスを目の当たりにし、そんなことを考えさせられた。

初の海外遠征帰りで鞍上もルメールとはいえ初めての騎乗。もしかしたら思わぬ結末が待っているのでは..と心配していたが、そんなものはドコフクカゼである。いつも通りの末脚で、他馬を圧倒してみせた。

ひとつだけ「いつも通り」と異なったのはポジショニング。これまでどちらかといえば序盤は折り合いに専念する形を取っていたが、今回は4番手で1角をクリア。最大の相手であるレイパパレを意識したのか、いつも以上に前の位置を確保。そして直線でゴーサインが出されると、あっさりと前を捕まえてみせた。

昨年のアーモンドアイを見ていても同じことを感じたが、早くから活躍した牝馬が5歳を迎えてもピークアウトの気配を見せないのは近年の傾向なのだろうか。クロノジェネシスも2歳時から阪神ジュベナイルFに出走するなど、早くから一線級で戦いながらも衰えを微塵も感じさせない。

となれば、レース後に参戦の意向が示された凱旋門賞へのチャレンジにも期待がかかる。昨年のこのレースで道悪を全く苦にせず、それどころか追い風にして6馬身もの差をつけた実績からもフランスの柔らかい馬場は得意なはず。ちょうど先日の英国オークスを16馬身差で圧勝したディープインパクト産駒スノーフォールなど強敵との対戦は避けられないだろうが、ぜひとも態勢を整えて挑みたい。



ユニコーンライオンのレースぶりも充実ぶりを感じさせるものがあった。鳴尾記念を楽に逃げ切ったものの、これまでの実績から単勝7番人気の低評価に甘んじるのはやむなし。しかし見せ場は十分に作った。
レイパパレを制して果敢にハナに立つと、ペースを落として前半1000m60秒ちょうどで息を入れながらの逃げ。前走と同様、少し早めにペースアップを仕掛けると、直線半ばでは一度レイパパレに前に出られながらも差し返す粘り腰。昨年の今ごろは準OPで結果が出ず、芝だダートだと迷走していたのが信じられないほど。まだ5歳と年齢的にも若く、これからもG1級での活躍が見られそう。

そしてG1でも格負けすることなくこの馬の地力をしっかりと引き出す騎乗を見せた坂井瑠星。今月はG3を2勝するなど、大きい舞台で名前をアピールするチャンスが増えてきたように思う。そして今週は土日で3勝と勝ち数も着実に積み重ねており、いよいよ覚醒の予感が漂ってきたように思うのだが気のせいだろうか..



レイパパレは初黒星を喫することになったが、この内容なら悲観は無用。前に馬を置きながら我慢の競馬ができたし、大阪杯がフロックではないことも証明できた。この馬のスピードと持続力ならまたG1のタイトルが手に届くこともあるはず。

前が止まりにくい馬場もあり、4番手以降は少し離れての入線に。カレンブーケドールはいつものことながら突き抜けず崩れずの善戦。「足りない馬が勝つのが宝塚記念」ではあるが、それでも悲願達成はならなかった。

キセキは大外枠が奏功したこともあってジワッと流れに乗りながらの先行策。こういう競馬ができるならまだ一線級でも食い下がれるし、「大逃げか出遅れるか」でレースに大きな影響を与えずに済むという点でも好感度が高い。

雨予報に裏切られたモズベッロ。この時計で前が止まらないとなると厳しい。アリストテレスはいい位置どりだったと思うが、追われてからさっぱり伸びず..武豊は「きれいな馬場の方がいいかも」とコメントを残していたが、これまでの実績からも悪くはない条件だったはず。むしろ状態面に問題があったか..



やや手薄なメンバーで馬券も買わず、さほど関心が持てずにいた宝塚記念ですが、こうしてクロノジェネシスが気持ちよく勝ってくれたおかげでいいものを見せてもらうことができました。ちょうどレースの時間に甲子園で不快指数の高い試合が行われていたこともあって、余計にスカッとさせてくれた気がしていますw

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