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【競馬コラム】ずっとメイケイエールのことが嫌いだった

人気者であることを承知の上で言わせてもらうと、ずっとメイケイエールのことが嫌いだった。一人でガイガイやってるうちはともかく、昨年の桜花賞以降、スタート直後から制御不能になって他馬にタックルして迷惑かけまくる所作はとても擁護できるものではなかった。
にもかかわらず武英智調教師から聞かれるコメントは「気性が悪いんじゃない。一生懸命に走ってしまうだけ」みたいに悪びれる様子は一切なく、それどころか「まともに走れれば能力は一番」みたいに吹いて回る言動はとても好意的に捉えられるものではなかった。まずはまともに走れるようになってからレースに出てこいよと。きっと藤浪晋太郎に対する他チームのファンが抱く感情もこんなもんだったんだろうなと、客観的な立場に置かれて初めて気付くのであった。

しかし少女は大人になった。明け4歳初戦のシルクロードSを制すると、それ以後は折り合いも大きく破綻することなくスムーズなレース運びが可能に。春の京王杯スプリングCに続き、スプリンターズS前哨戦のセントウルSも制していよいよG1制覇も目前に迫ってきた。そりゃあ元々むちゃくちゃなレース運びをしておきながらG1で掲示板に載るくらいにポテンシャルは高い馬である。メンタルさえ整えば自ずと結果もついてくる。

もはやこうなっては彼女を蔑む感情などもうどこにもない。大衆人気に応えるべくG1を勝つもよし、シーイズトウショウのようにG2G3をたくさんコレクションするもよし。どんな道が待っていようとも、大きな課題を克服した名馬として語り継がれるべきだろう。

しかし実際スプリンターズSはこの馬が1番人気になりますかね。春の王者ナランフレグはさすがに全幅の信頼を置くには心もとないし、昨年の覇者ピクシーナイトは故障で休養中。サマースプリントシリーズで活躍したナムラクレアあたりが対抗勢力筆頭格として名前が挙がるのであれば、実力を発揮できれば自然とタイトルに手が届きそう。

収めた狂気さえ再び顔を覗かせなければ..w

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