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【競馬コラム】夏の小倉最終日の第12R(1勝クラス・芝2600m)が好きだ

毎年、夏の小倉最終日の第12Rに決まって組まれている「芝2600mの1勝クラス戦」。07年に初めて施行され、今年で記念すべき15回目を迎えることになるのだが(20年のみ最終週土曜の12Rで施行)、この隠れた名物とも言うべきレースが、最高にたそがれた雰囲気を感じさせてくれるので大好きだ。

まずは何といってもロケーション。

少しずつ日没が早くなる9月初旬、ほんのりと暮れゆく16時半の薄暗さが夏の終わりを感じさせて最高にさみしくなる。そう、今年も熱くて短い夏競馬が終わるのである。

そして芝2600mという条件設定がたまらない。

ローカルの1勝クラスで芝2600mを使ってる馬なんて、言っちゃ悪いが瞬発力のかけらもない落ちこぼれ集団ですよ。上のクラスで出世するビジョンなど描けない中、懸命にその粘り腰を武器に繰り広げられる我慢比べの戦いがもう哀愁しか漂ってない。でもそれが競馬、それも競馬。華やかな舞台の裏で、必死に生き延びるために稼ぐ馬たちがたくさんいるのだ。

しかも時節柄、未勝利を脱出できていない3歳馬が生き残りをかけて格上挑戦を仕掛けてきたりもするのだから最高に泣ける。惜敗続きならまだしも、大敗ばかりでどうしようもない状況からのヤケクソチャレンジとかつい応援したくなるよね。たとえ勝てなくても、見せ場を作れれば現役続行あるぞ..とか。

今年はどうやら11頭での争いとなり、未勝利馬のエントリーは無し。現級で好走している馬も多く出走し、上位拮抗の戦いになりそう。
行く夏の終わりを惜しむように、コーナー6つのトリッキーなコースをのんびりと駆け抜ける2分40秒の戦いを眺めながら、2021年の夏を振り返ってみてはどうだろうか。

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