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【競馬】ジャングルポケットはトニービン産駒そのものであった

シーザリオが去った哀しみも醒めぬうちに、また一頭の名馬を見送ることになった。ジャングルポケット死去。

ちょうど先月に亡くなったクロフネと同じ、大好きな01年クラシック世代のスターが旅立った。残念なことだが、やがて来るその時が訪れたと思っている。

例によって現役時代の功績は簡単に振り返るだけにしておく。アグネスタキオン・クロフネとの最初で最後の激突となったラジオたんぱ杯3歳Sは永遠に語り継がれるべき伝説。翌年の皐月賞では3着に終わるも、日本ダービーでは外国産馬として初の参戦を果たしたクロフネを打ち破り世代の頂点に。そしてジャパンCでは当時の王者テイエムオペラオーをマッチレースの末に下し、01年の年度代表馬にも選出された。ちなみに、同年に日本ダービーとジャパンCの両レースを制したのは、未だにこのジャングルポケットのみである。

一時はセーフティリードにも思うほどの差をつけた覇王を一刀両断。オリビエ・ペリエの豪快なアクションも含めカッコよすぎる。若き挑戦者を真っ向勝負で迎え撃ったテイエムオペラオーもカッコいいし、何なら世紀末覇王のベストバウトはこれじゃんじゃないかと思うほど。

「トニービン魂」を最も色濃く、そして強く受け継いだ産駒だと思っている。とにかくトニービン産駒といえば東京コース。広い直線をどこまでも駆け抜けていきそうな息の長い末脚こそが最大の武器だった。もしアグネスタキオンが無事に日本ダービーに出られていたとしても簡単には譲らなかったはず。
その反面、器用さには欠けるのか他のコースでは爆発力が今ひとつ。よりによって02年の秋は東京競馬場が改修に入ったことで天皇賞・ジャパンCが中山での開催となったのが最高に不運だった。シンボリクリスエスと東京2000mで対戦するところも見てみたかった。
あとはあの首の太さな。エアグルーヴやレディパステルにも共通する、トニービン産駒の首。付け根にかけて台形のような形に広がっていく独特のフォルムも継承していた。何のこっちゃと言われるかもしれないが、これはうちの弟も証言していたので間違いない。

紛れもなきトニービン魂の正統後継者。種牡馬としてもオウケンブルースリやトーセンジョーダンなどのG1勝ち馬を出したが、その後継が出るのは絶望的な状況。トニービンは他のサイアーラインも断絶してしまいそうで、あれだけ日本競馬に貢献した血の直系が途絶えてしまいそうなのは残念。

だからこそ、忘れずにいたいものだ。ジャングルポケットのパワフルな走りと、その原動力となったトニービンの血統を。

ジャングルポケットはトニービン産駒そのものであった。

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